クルマに興味がなくなったのではなく購入しなくなっただけ
国内の新車販売台数は、登録車と軽自動車合わせてほぼ横ばいといった状況が続いている。国内市場は、もっとも多かった1990年代前半で700万台規模とされていたが、バブル経済崩壊後に600万台に落ち、現在は500万台で推移する。
市場が縮小した状態のままとなっている理由は何か。ことに若い世代を中心にクルマの使い方が変わっているといえる。
カーシェアリングは、20年ほど前に日産自動車やオリックスレンタカーが試行錯誤を始めている。しかし当時は、なかなか反響を得られず苦戦した。理由として、知らない誰かが使ったクルマをそのまま利用するのは気持ちよくないということもあった。人が触った吊り革や手すりに触れないとの感覚も重なったかもしれない。また当時は、クルマは個人が所有するものという意識も高かった。
カーシェアリングが拡大したのは、タイムズの時間貸し駐車場を運営するパーク24が、マツダレンタカーを買収したことに始まるといえる。不動産の空き物件を活用した時間貸し駐車場を拠点とすることで、街のいたるところにカーシェアリングと接する場が確保された。そこから勢いを増し、現在タイムズはカーシェアリングで1位の規模をほこる。
同じく時間貸し駐車場を運営する三井不動産リアルティに買収されたカレコが続き、永年カーシェアリングに取り組んできたオリックスも上位3社の一角を占める。現在、日本はカーシェアリングで世界2位の規模であるともいわれる。
実際、高速道路を含めカーシェアリングの車両と思われる「わ」ナンバーを数多く見かけるようになった。つまり、自動車メーカーが懸念する若者のクルマ離れではなく、所有離れなのである。所有すれば月々のローンのほか、毎月の駐車場代、燃料代、年ごとの税金や保険代が掛かるが、カーシェアリングやレンタカーであれば、時間や移動距離に対する料金が明快で、家計への負担も一目瞭然となり計画を立てやすい。快適な生活を維持しながら、クルマの便利さも併用できる。
クルマは、9割は止まっているとされる。そのために無駄なお金は払えないという合理性がカーシェアリングを後押しする。カーシェアリングの会員数は全国で150万人ともいわれ、それは、国内の保有台数がもっとも多かった700万台から今日500万台まで落ちた差、200万代に近い。つまり、クルマの利用者自体はそれほど減っていないといえるのではないか。事実、年齢を問わず会員は増加している。
日本の道路事情に合わない車両の大型化も原因のひとつに
理由のもうひとつは、消費者のそうした家計の合理性を度外視し、クルマ単体の性能のみを競う新車開発の仕方もあるだろう。象徴的なのが、のきなみ3ナンバー化していることだ。室内が快適であったり、走行性能が高まったり、それでいて税金は5ナンバーと変わらないとメーカー側がいっても、実用上の使い勝手は悪くなっている。
たとえば、車両感覚が掴みにくくなっていたり、クルマの周囲を確認しにくくなっていたりする。それを補うためカメラなどによる画像確認を採り入れても、画面しか見なかったりセンサーを頼りにしたりする運転は不安を伴う。
それでも軽自動車の人気が高まっているのは、軽自動車規格の車幅がじつは1960年代の初代カローラやサニーとほぼ同じで、5ナンバー車で普及の進んだ国内の道路環境に、いまもっとも適した車体寸法であるためだ。車庫入れも、駐車枠に余裕をもってできる。
なおかつ、家族のためのハイトワゴンはもちろん、SUVや本格的4輪駆動車、あるいはスポーツカーや、女性に的を絞った車種など多種多彩だ。しかし一方で、運転支援装備などの追加により価格は高止まりで、買い替えるより借りたほうが経済的であるうえ、カーシェアリングでも車種を選べる時代になっている。
スマートフォンで快適な暮らしのできる今日、カーシェアリングを利用すれば、クルマを買う意味は失われつつあるのだと思う。
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