現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 僅か2年で絶版!! “早すぎた先駆車” ホンダ エレメント 【偉大な生産終了車】

ここから本文です

僅か2年で絶版!! “早すぎた先駆車” ホンダ エレメント 【偉大な生産終了車】

掲載 更新
僅か2年で絶版!! “早すぎた先駆車” ホンダ エレメント 【偉大な生産終了車】

 毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。

 時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。

【10年目で“顔”激変】新型RVR発進!! フルモデルチェンジはどうなる!?

 しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。

 訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はホンダ エレメント(2002-2011)をご紹介します。

文:伊達軍曹/写真:HONDA、ベストカー編集部

■日本での販売期間2年半 何が問題だったのか?

 海岸にある「ライフガードステーション(監視台)」をデザインモチーフにアメリカで開発・生産され、その後日本でも2年ちょっとの間だけ逆輸入車として販売された、「両側観音開き」のドアを備えたクロスオーバーモデル。それがホンダ エレメントです。

当時のアメリカンカルチャーをリードしていた「ジェネレーションY」と呼ばれる20代前半の世代をターゲットに開発

 エレメントの開発には「ホンダR&Dアメリカ」の若いエンジニアたちが関わり、自分たちとほぼ同世代といえる「高校生から20代前半ぐらいまでのアメリカ在住者」をターゲットに開発が進められました。

 外観上の特徴は、まずは前述のとおり「ライフガードステーション」がモチーフとなっている独特のカクカクした造形。

 そしてカクカクした造形ゆえ全高は1790mmあり、クロスオーバー車ですが室内の広さはトールワゴンやミニバンのそれに匹敵しています。

 そしてフェンダーなどのボディパーツにはあえて樹脂製の無塗装パーツが使われました。

 それに加えて大きな特徴となっていたのが「両側観音開きのサイドドア」です。

ピラーレス+両観音開きの「サイドアクセスドア」により、高さ1140mm、幅1550mmの大きな開口部を実現。リアドアは90℃の開口角度を達成している

 一見するとダイハツ タントのようなBピラーレスですが、実際はリアドアの前部にインナーピラーが内蔵されているという、「ビルトインBピラー」とでも呼ぶべき構造になっています。

 ちなみに片側だけを観音開きにしているモデルはいくつかありますが、「両側観音開き」というのはコレとマツダRX-8ぐらいでしょうか。

 アメリカでは2002年12月に販売開始となり、日本へは少し遅れて2003年4月から「逆輸入車」として販売されました。

 搭載エンジンは最高出力160psの2.4L直4 DOHC i-VTEC。北米向けには5MTと4速AT、5速AT、そしてFFと4WDがラインナップされていましたが、日本には4速ATの4WDのみが輸入されました。

 2002年(日本市場では2003年)に発売されたホンダ エレメントは、この車の地元であるアメリカではそれなりの人気を博し、2011年モデルまで製造が続けられました。

 しかし日本ではどうにも売れ行きが今ひとつで、輸入開始からわずか2年3カ月後の2005年7月には輸入終了となってしまいました。

■「異端」扱いゆえの短命 中古車は現在も評価の高い1台

 北米ではそれなり以上の人気モデルに育ったにもかかわらず、なぜ日本では、ホンダ エレメントはあっという間に廃番となってしまったのでしょうか?

 もちろん本当に正確な理由など誰にもわかりませんが、結局は「早すぎた」ということに尽きるのではないかと思われます。

水平ラインを基調としたデザインのインストルメントパネルには、「腕時計」をイメージしたコーンシェイプ独立三眼メーターや大型エアアウトレットを配置

 ホンダ エレメントは、2003年ではなく2019年に登場したクロスオーバー車であったならば、普通にまあまあ人気のモデルになったような気がしてなりません。

「あえて樹脂製の無塗装パーツを多用して道具っぽくする」というのは、まさに最近のクロスオーバーSUVのトレンドですし、1815mmという全幅も、2019年基準で考えれば「ちょい大きいぐらい」といったところでしょう。

 なにせ最近の車は横幅が広く、中サイズのSUVとされているスバルXVですら全幅1800mmですからね。ちなみにマツダCX-5の全幅は1840mmです。

 またそもそも2003年当時の日本では、「SUV」や「クロスオーバーSUV」の市場自体が小さいものでした。

 年間販売台数ランキングTOP30にはSUVのSの字もなく、いちばん売れてる登録車はトヨタ カローラ。2003年とか2004年って、まだまだそんな時代だったのです。

 それゆえ、今にして見るとなかなかステキな車だと思えるホンダ エレメントは、当時はまったく売れずにほぼ秒殺で輸入終了となりました。

 しかし既述のとおり本拠地アメリカではその後も2011年まで販売が続けられ(マイナーチェンジも行ったんですよ)、日本でもその中古車は高く評価されています。

 エレメントの新車価格は259万円でしたが、コンディションの良い個体に関しては、16年落ちであっても150万円以上の値札が付いていたりします。

「早すぎた天才」といったらホメすぎでしょうが、とにかくエレメントは「早すぎた車」であったことは確かだと思われます。

■ホンダ エレメント 主要諸元
・全長×全幅×全高:4300mm×1815mm×1790mm
・ホイールベース:2575mm
・車重:1560kg
・エンジン:直列4気筒DOHC、2354cc
・最高出力:160ps/5500rpm
・最大トルク:22.2kgm/4500rpm
・燃費:10.6km/L(10・15モード)
・価格:259万円(2003年式)

◎ベストカーwebの『LINE@』がはじまりました!
(タッチ・クリックすると、スマホの方はLINEアプリが開きます)

こんな記事も読まれています

630万円! 最上級の「3列シートSUV」発表! パワフルな「ターボ×ディーゼル」エンジン搭載した特別な「オーバーランド仕様」発売へ!
630万円! 最上級の「3列シートSUV」発表! パワフルな「ターボ×ディーゼル」エンジン搭載した特別な「オーバーランド仕様」発売へ!
くるまのニュース
ブノワ・トレルイエの新チームから参戦するヨアン・ボナートが高速ターマック戦を連覇/ERC第2戦
ブノワ・トレルイエの新チームから参戦するヨアン・ボナートが高速ターマック戦を連覇/ERC第2戦
AUTOSPORT web
アウディF1、サインツに次ぐ候補はオコンか。現ドライバーのボッタスと周冠宇は厳しい状況
アウディF1、サインツに次ぐ候補はオコンか。現ドライバーのボッタスと周冠宇は厳しい状況
AUTOSPORT web
W12エンジンを搭載する最後のベントレー『バトゥール コンバーチブル』が発表。世界16台の限定生産
W12エンジンを搭載する最後のベントレー『バトゥール コンバーチブル』が発表。世界16台の限定生産
AUTOSPORT web
今年もル・マンにAOレーシング名物の特別リバリー登場。ドラゴンカラーの『スパイク』でLMP2参戦へ
今年もル・マンにAOレーシング名物の特別リバリー登場。ドラゴンカラーの『スパイク』でLMP2参戦へ
AUTOSPORT web
IMSA、12月に予定していた公認テストの日程を変更。2024年は11月中旬に実施へ
IMSA、12月に予定していた公認テストの日程を変更。2024年は11月中旬に実施へ
AUTOSPORT web
RB、リサイクルしたカーボンファイバーを使い、F1パーツを製造。角田裕毅とリカルドがエミリア・ロマーニャGPでドライブへ
RB、リサイクルしたカーボンファイバーを使い、F1パーツを製造。角田裕毅とリカルドがエミリア・ロマーニャGPでドライブへ
motorsport.com 日本版
V12エンジン×MT搭載! 新型「“2ドア”スポーツカー」初公開! レトロ風デザイン採用の「スーパーキャット」英で発表
V12エンジン×MT搭載! 新型「“2ドア”スポーツカー」初公開! レトロ風デザイン採用の「スーパーキャット」英で発表
くるまのニュース
[15秒でわかる]BMW『M4 CS』新型...550hpで0-100km/h加速は3.4秒
[15秒でわかる]BMW『M4 CS』新型...550hpで0-100km/h加速は3.4秒
レスポンス
フィアット「500」のエンジンルームに飛び散るオイル…ステージ別に走って分かったこととは?【週刊チンクエチェントVol.36】
フィアット「500」のエンジンルームに飛び散るオイル…ステージ別に走って分かったこととは?【週刊チンクエチェントVol.36】
Auto Messe Web
シャンデリアに毛足の長いカーペット! バブルの申し子「サロンバス」がいまデコトラ乗りたちの手で復活していた
シャンデリアに毛足の長いカーペット! バブルの申し子「サロンバス」がいまデコトラ乗りたちの手で復活していた
WEB CARTOP
俳優・押田岳の「あの“絶版旧車”に乗りたい!」──Vol.7 ホンダ ドリームCB750 FOUR
俳優・押田岳の「あの“絶版旧車”に乗りたい!」──Vol.7 ホンダ ドリームCB750 FOUR
GQ JAPAN
アバルト「F595C 2nd エディション」発売 MT×電動ソフトトップ仕様の限定車
アバルト「F595C 2nd エディション」発売 MT×電動ソフトトップ仕様の限定車
グーネット
日産の新型「エルグランド」登場!? まさかの“エクストレイル顔”&アリアライト採用! 斬新なSUVスタイルの「グラシア」に称賛の声
日産の新型「エルグランド」登場!? まさかの“エクストレイル顔”&アリアライト採用! 斬新なSUVスタイルの「グラシア」に称賛の声
くるまのニュース
【MotoGP】マルケス、ファクトリー昇格に障害は無い? ドゥカティのモンエナと競合のレッドブルを『切る』覚悟アリと示唆
【MotoGP】マルケス、ファクトリー昇格に障害は無い? ドゥカティのモンエナと競合のレッドブルを『切る』覚悟アリと示唆
motorsport.com 日本版
最高峰SUV『マイバッハ GLS』さらに大規模改良!? ハイパースクリーン搭載、PHEV投入に注目
最高峰SUV『マイバッハ GLS』さらに大規模改良!? ハイパースクリーン搭載、PHEV投入に注目
レスポンス
新型「フリード」をカスタムしよう!ホンダが純正アクセサリーを先行公開!
新型「フリード」をカスタムしよう!ホンダが純正アクセサリーを先行公開!
グーネット
KINTO あの“ラグジュアリームーバー”が満を持して登場!「LM」がラインアップ追加
KINTO あの“ラグジュアリームーバー”が満を持して登場!「LM」がラインアップ追加
グーネット

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

272.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

30.0227.8万円

中古車を検索
エレメントの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

272.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

30.0227.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村