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ワールドチャンピオンのマシンビルド、スティーブ・ホルコム車に隠された秘密

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ワールドチャンピオンのマシンビルド、スティーブ・ホルコム車に隠された秘密

Off1.jp編集部では、この数ヶ月のあいだ何度かに渡ってBetaの様々な施設やライダー、そして人を取材してきた。「the Play Bike」のモットーを元に歩み続ける、イタリアンエンデューロブランドは、今なにを思い、何を作ろうとしているのか。その方向性から探る。

ベータは、何のためにEnduro GPを戦うか
2018年、2019年とベータに敵はいない。エンデューロGPにおいて、王者スティーブ・ホルコムを抱え、さらに今季はブラッドリー・フリーマンがそのホルコムをも凌ごうとしている。

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1904年、ジュセッペ・ビアンキが自転車を作る会社をフローレンスで興したのが、ベータの起源だ。1948年にモーターサイクルを製造しはじめ、その際の出資であるEnzo Bianchi、Arrigo Tosiのイニシャルを取って、Betaの社名がはじまった。1970年にはオフロードバイクにフォーカス、この頃にはレゴラリータ、つまりエンデューロバイクを製造していた。

その後トライアルへ移行し、彼らがエンデューロに戻ってきたのは2004年のこと。他社製エンジンを使ってRRを製造しはじめ、いよいよ2009年にオリジナルエンジンをマーケットに投入。つまり、この10年で急速にその力を蓄えて、今やおしもおされぬ「エンデューロチャンピオン」のブランドになった。ミラノにあるファクトリーで感じたのは、ベータの市販車に、どんなメーカーよりも色濃く、このエンデューロGPにおけるエッセンスが反映されていることだ。あくまでR&Dはフィレンツェにあるのだが、ミラノのファクトリーとの連携が密なんだろう。

そして、そう聞くといかにもカリカリなレーシングマシンになりそうだが、エンデューロフリークの皆さんにはご存じの通り、ベータは他社と比べてもとてつもなく扱いやすい。the Play Bikeのスローガン通りである。相反しそうなレーシングシーンと、プレイバイクの局面が、ベータという会社を通すことで一つのプロダクトに落とし込まれるのはなぜか。

Beta RR2T 300
スティーブ・ホルコム車

基本パッケージは、市販されているRR2T300 Racingと同じ。細かい味付けを、ホルコム仕様にしている。フレームは、2018年から新フレームに変更。

エキゾーストは、FMF製のモナカ合わせチャンバー。始動はセルスターター・キックスターターを併用。バッテリートラブルなどでセルに問題があった時のためにキックを装備しているとのことだ。メカニックのルカ・プラティニによれば、「リアリー、スタンダード」。だが、後日MY20のリリースでこのエンジンにはバランサーが先行投入されていることがわかった。

美しい仕上がり。フローホースは基本下方向へ。

モトクロスと比べて、ワイヤリングが極端に少ないのもポイント。長い距離をライダー自体がマネジメントする必要があり、整備性を優先するからだろう。

ラジエターキャップは、16.1気圧。ラジエター自体は、スタンダード。

左キルスイッチがおしづらいように上を向けて設定。我々サンデーライダー同様、ハンドル左側に腕時計が巻いてあるのが親しみやすい。電装系のコードは、ハンドル手前側を這わせることで切断のトラブルを回避しているのだろう。

トリプルクランプは、イタリアのGECO製。オフセットは20mm/23mmでチョイスできる。

スティーブのメカニックであるルカ。2016年からホルコムのマシンを見ているとのこと。

ホルコム仕様のサスペンションを分解



こちらがホルコム仕様の前後サス。ザックスのZFクローズドカートリッジサスだ。

サスペンションに関しては、分解したものの撮影許可をもらった。とはいうものの、RR2Tレーシングの中身を、シムスタッキングで仕様変更したものだと言う。

リアショックのバンプラバーは、左のものに換装してある。右よりも、プログレッシブ性があり、柔らかい。底付いたときのショックを和らげてくれる。こちらは、20MYにも採用された。

シムスタッキング。サスペンションをばらしてセットアップできる人なら、見てもわかるのだろう…編集部には、残念ながらこれをみて何かを判断する知識はない。

リアショックのピストンは、スタンダードより大きな容量を持つものを使うようになった(右)。スタビリティに寄与している。これも、ファクトリーから市販車へフィードバックされた仕様。

ダストシール、オイルシールにはSKFを使う。これも、スタンダードと同様。

サスペンションスペシャリストのイヴァン・ザノーネ。95年からベータのトライアルセクションで働いているベータ生粋のメカニックだ。

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