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これでホントに公道走る気? レーシングドライバーでも躊躇するスパルタンすぎるクルマ3選

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これでホントに公道走る気? レーシングドライバーでも躊躇するスパルタンすぎるクルマ3選

 一昔前のレーシングカー以上の速さを誇るが……

 最近のクルマの高性能化は著しく、一昔前のレーシングカー以上の速さを誇るモデルも多く登場している。ボクが全日本グループA選手権にスリックタイヤ装着の三菱スタリオンで参戦していた頃は筑波サーキットのラップタイムは予選アタックで1分3秒台。決勝レースにもなると1分6秒台でラップして総合優勝した時代だ。

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 それが今ではラジアルタイヤのまま1分フラットで走れる市販モデルが続出している。しかし、速さはあるが、とても普段乗るにはスパルタン過ぎて嫌気の差すクルマも。

 1)日産GT-R初期型

 GT-Rの登場は鮮烈だった。フルタイム4WDのアテーサを採用しトランスアクスルのレイアウトでほぼ理想的なパッケージングを実現。どこのサーキットでも市販状態でとんでもない速さを叩きだす。しかし、その乗り心地はとてつもなく悪いものだった。

「ドイツのアウトバーンで300km/hで走りながら助手席の人と普通に会話ができる」と開発者の水野和敏さんは当時力説した。

 しかし、それはサスペンションや車体の周波数特性を200km/h以上の超高速域に合わせ込んで実現できたもの。逆に日本の一般道では車速レンジが低過ぎガチガチに固く感じられてしまうだけだった。路面の継ぎ目や小さな凸凹でも頭痛を感じるほどの衝撃波が伝わってきた。

 さらにコンマ2秒で変速可能とされたツインクラッチのトランスミッションも変速のたびに強い衝撃が伝わってきてスムーズさは微塵も感じられない。これをスパルタンな乗り味とすればサーキットでは抜群の性能だが一般道では乗るのが嫌になるほどの味付けと言えた。

 ただ水野さんが日産を去って、2014年に田村宏志さんが統括するようになると一般道での周波数特性への合わせ込みが実施され、2017MYになってようやく低速域でも快適に乗れるようになった。

 ベースグレードのサーキットでの速さは若干スポイルされたが、NISMOバージョンを設定し従来以上の速さに仕上げてユーザーの選択肢を拡げたのである。

 ポルシェ好きでも「ちょっと……」と考えさせられるモデル

 2)ポルシェ911カレラRSクラブスポーツ(993型)

 僕は言わずと知れたポルシェフリークであり、とくに911には大きな敬意と憧れを持っている。自身も長年964型の911ターボを所有していた。ポルシェ911はいつの時代も常に最新モデルが最良であったし、ポルシェ911から学ぶことは多かった。

 そんな911の歴史のなかで唯一「これはちょっと……」と感じさせられたのが空冷モデル最後の911となったタイプ993型のRSモデル「クラブスポーツ」だ。RSクラブスポーツはロードカーでありながら室内にロールケージが張り巡らされたスパルタンなモデルで、現在のクラブスポーツ仕様の走りとなったものだ。

 室内の内装は徹底的に排除されドアの開閉レバーもベルトバンドに替えられている。床や天井もほぼ剥き出しであらゆるノイズがダイレクトに入ってくる。通常の911は後席がある4人乗りだが、その後席部分には複雑なロールケージが張り巡らされ鞄も置けない。そのため一般道での実用性は皆無に近かった。

 それでもポルシェ911なら速ければすべてが許されるはずだったが、この911カレラRSクラブスポーツはそれほど速くなかったのが大きな問題だったのだ。エンジンは最後の空冷フラット6となる3.8リッター自然吸気仕様。

 ローギヤでクロスレシオのギヤ比配分としてスタートダッシュは強烈だったが、エンジンが高回転域になるとエア不足からかトルクの落ち込みが激しく頭打ち感が強かった。リヤウイングにエアインテークを備えたが低速域では吸気が十分でなかったのだろう。

 ポルシェが誇る可変吸気システムのバリオラムを備え中速トルクを増大させた結果、高回転域の伸びに頭打ちを覚えさせられたのかもしれない。

 また当時993型には911ターボもラインアップされていて、911ターボの快適性と圧倒的なパワー、速さを知ってしまうとRSクラブスポーツのスパルタンさと速さのバランスに疑問を感じさせられたのだった。

 だが、この993型911カレラRSクラブスポーツは生産台数の少なさと希少性の高さから最近は数千万円で取引されているという。

 3)BMW M4 GTS

 BMW M4 GTSもまたスパルタン過ぎる車として紹介すべきモデルといえるだろう。その出立ちはレースカーそのものと言っても過言ではない。

 極端に低い車高に可変式の前後スポイラーを備える。可変といっても電子制御で自動的に変化させられるのではなく、コース特性や車速に合わせてメカニックの手でボルトを外して手動で調整する。

 リヤウイングは3段階に調整でき、これはなんとか自分でもできるが、フロントのチンスポイラー(スプリッターと呼ばれている)はジャッキアップした上に6本のボルトを外し前方に適切な分量を引っ張り出し6N・mのトルクでボルト止めしなければならない。

 ショックアブソーバーもマニュアル可変式で、ニュルブルクリンク北コース用セットアップ方法が取扱説明書に書かれているなど一般道を走ることなどほとんど考えていない様子。

 おまけにリヤトランク内にはエンジンのシリンダーに水を噴射し燃焼温度を下げてパワーを引き出すウォーターインジェクション用タンクを備え、その分量はニュルブルクリンク北コース1周に丁度いいという。

 室内に張り巡らされた剥き出しのロールケージは後席を完全に封鎖していて荷物は積み込めない。硬いサスペンションで路面を弾めばロールケージに頭をヒットし一般道でもヘルメットを被っていたいくらいだ。

 欧州では休日にサーキットを走って楽しむ文化が定着していてM4 GTSのような本格的なサーキット走行を楽しめるクルマの需要が一定数あるといえるが、国内においてはスパルタン過ぎて、もはや飾っておくしかない。

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