2019年6月23日から24日にかけてドイツ・ニュルブルクリンクで開催されたニュル24時間レース。「Green Hell(緑の地獄)」とも呼ばれる北コースを含む、全長20kmオーバーの難攻不落のコースで開催された耐久レースだ。
ドライバーの技量は当然ながら、クルマの作りこみ、そして耐久性も求められるレースとなる。そんなニュル24時間レースにスバル、そしてSTIは挑み続けている。
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スバルは2008年から参戦を続けるが、これまでWRCなどでクルマを鍛えてきたスバルがここまでニュルブルクリンクにこだわる理由とはなんなのか?
STIの平岡泰雄社長に現地で話を聞いた。
文/写真:ベストカーWeb編集部
■2連覇達成!! 闘いは己への挑戦となった
結論から言えば、STIがニュルブルクリンクに送り込んだWRX STIはクラス優勝を遂げ、2018年から2連覇を達成した。
2011~2012年、2015~2016年と連続優勝をしているスバルにとって、もしやするとクラス優勝というのは「最低限」のラインなのかもしれない。
ニュルブルクリンク北コースは山を切り拓いて作られたコースであり、路面の状況やコーナーの勾配など自然と人工のマッチング絶妙なコースだ
ドライバーも山内英輝、井口卓人の「SUPER GTコンビ」を主軸に、ニュルブルクリンクを知り尽くすティム・シュリック、そしてかつてSUPER GTのGT500にも参戦したカルロ・ヴァンダムを擁した万全の体制だ。
マシンも年々改良を続け、ローギア化や空力を考えた「サメ肌塗装」など細かな進化を遂げている。
このサメ肌塗装、塗装技術も必要でかなりコストがかかるものだが、その効果は客観的にいっても大きいとは思えない。しかし1/100秒でも速くなれば、そんな執念から生まれた新技術だ。まさにニュルスペシャルなマシンメイク。
そこまでの対策をしても「優勝は当然」なんて考えはもちろん現場にはなかった。フリー走行のセッションでさえも、メカニックたちのピリピリした雰囲気にこちらもシャッターを切る指に緊張が走る。
ドライバーは当然ながら、メカニックたちの「ピーン」と張りつめた緊張感は凄まじいものがあった。もちろんどんなモータースポーツでもそれは感じられるがニュルブルクリンクならではの緊張感を覚えた
それはニュルブルクリンクというコースがそうさせていることは明白だった。高低差約300m、全長約25kmのそのコースに生半可な気持ちで臨めるわけがない。
そんな光景を見てふと思ったことがある。なぜスバルはニュルに挑み続けるのか?
かつてスバルが一世を風靡したWRCのような世界選手権でもなし、優勝しても一般誌や新聞で大きく報道されるようなレースでもない。
その割りにコストも、そしてリスクも多く、もしやすると費用対効果は高くない参戦ではないのだろうか?
そんな疑問を抱きつつ、2019年4月からSTIの社長に就任した平岡泰雄氏に直撃してみた。
■「ずっとニュルブルクリンクだけに挑むというわけではない」
平岡社長は実はニュルブルクリンクへ初めて訪れるという。それもそのはず、スバルで技術畑を歩いてきた同氏がモータースポーツへ触れる機会が少なかったのは致し方ない。
とはいえ、EJエンジンなどへの開発にも携わっていた平岡社長にとって、限界への挑戦というのはワクワクするものであろう。
レース前の多忙な時間ではあったが快くインタビューに応じてくれた。
2019年4月からSTIの社長に就任した平岡氏。口調は非常に柔和ながらどこか職人のような一本筋の通った職人気質を感じた
【WRCなど世界へPRできるレースでなくあえてニュルに挑む理由は?】
「あえてニュルに参戦する挑む理由」ですか。うーん、ちょっと難しい質問ですね(苦笑)。
もちろん、このままずっとニュルブルクリンクへ参戦し続けるかはわかりませんし、多くの可能性を含んでいると思います。
とはいえ、もっとも大きな意義としてはニュルは人を育てる場所としては、変わりが効かない場所だと思います。
大きなチャレンジであることはどんなレースでも同じですけどね。ニュルというコースが凄い環境ですから。
緑に飲み込まれそうな北コースをいくWRX STI。ちなみに向かって左側のフェンスの向こうはすぐ崖であり、クラッシュなどでの危険度は高い。ここでマシンを走らせることはメカニックたちにも高い技術と作業スピード必要になる
【ニュル24時間で大きくアピールしたいものは?】
技術力、真摯にクルマに向き合ってまじめにクルマ作りに挑んでいるということが伝わると嬉しいですね。
あとはこのニュルブルクリンクへの挑戦が一過性のチャレンジではなく、10年近くにわたりチャレンジを続けていることですね。
スバルのイメージをSTIを使って増幅していきたい。その思いもSTIの社長としてはあります。
【社長ご自身にニュルブルクリンクへの思いはありますか?】
ニュルブルクリンクを冠した限定車などもあり、このコースへの尊敬は大きくあります。
厳しいコースで、一般道の延長にあるようなコースを、24時間にわたってマシンがとんでもない速さで走りますからね(編註:2019年のニュル24時間におけるWRX STIの平均時速は168km/hを計測)。
クルマとしての性能を求められますし、スバルやSTIが開発にも使うコースで戦ってそれなりの成績を残すことは大きな意義があります。
24時間レースゆえ、夜間の走行もある。2019年は予選以外に雨天がなかったが、気温の変化など多くの要素がマシンをいじめぬく
我々が持っているすべての性能や技術をもって挑む場所。天候も読めない、路面もめまぐるしく変わる場所で駆け抜ける機会が必要です。
だからこそ性能をつきつめると安全に繋がっている経験ができる。それがSTIとしてニュルブルクリンクという場所に期待することです。
■スバルがニュルに挑まないでどうするんだ??
5分ほどの時間だったが質問に対してひとつずつ言葉を選びながら、丁寧に答えていただいた。
印象的だったのは平岡社長が繰り返していたニュルブルクリンクへの畏敬の念、そして会話の中に垣間見れた「エンジニアとしての意地」だ。
スバルが挑まないでどうするんだ。そんな心意気をビンビン感じた。
現代において採算度外視に近いモータースポーツへの挑戦というものは理解されないことも多いかもしれない。
マシンはドライバーだけでは走らない。サプライヤー、そしてメカニックなど多くの要素が積み重なって前進する。決して派手な見せ場はないが理路整然としたピットワークはすばらしい
しかしスバルにとってニュルは勝利を目指す場所であると同時に、トラブルやアクシデントなく、ドライバー4人を完走させることこそが最優先のミッション。
真摯なクルマ作りがあれば、クラス優勝は自然についてくる結果だったのかもしれない。
究極の環境でそれを成し遂げた時、ロードカーへのフィードバックはより大きなものになるはず。ベストカーとしては今後の挑戦とともに、新たなロードカーの進化にも注目していきたい。
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