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なぜターボ車復活? 燃費悪による衰退から再注目の理由とは

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なぜターボ車復活? 燃費悪による衰退から再注目の理由とは

■ターボ車復権! その理由は技術の進化にあった

 小さい排気量でも大きなパワーを発揮することができる「ターボエンジン」は、1980年代以降国産車でも採用例が増え、クルマ好きの間で市民権を得ていました。時代の変化によって搭載車が減少した時期もあるものの、近年再び注目を集めつつあります。

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 一時は人気が落ちたターボエンジンは、なぜ今復権したのでしょうか。

 ターボエンジンの特徴は、エンジンの排気量が小さくても大排気量車と同等のパワーが出すことができる点です。

 自然吸気エンジンの場合は、自然に吸い込まれる空気だけでエンジンを燃焼させていますが、ターボエンジンでは、排出した排気ガスのエネルギーを利用し、タービンを回すことで、コンプレッサーを回し、取り込んだ空気を圧縮して強制的にエンジンへ送り込むことで大きな出力を得ています。

 1979年に日本で始めて登場して以降、搭載車種は増えていきましたが、バブル経済崩壊後の1990年代もなかばになると搭載車種が減少していきました。

 理由は、燃費が悪くコストがかかるというターボ車の弱点です。バブルの崩壊にあわせて人々の意識やライフスタイルが変化し、クルマに求められるものがパワーから燃費性能へと移ったのです。

 また、ターボが効き始めると加速度が一気に大きくなる「ターボラグ」が起きるという問題もあったことから、運転しにくいという印象もユーザーに持たれていました。

 ターボエンジンが開発された当初は、小排気量で大排気量並みのパワーが出るターボ車は「大排気量のクルマよりも安い自動車税で同じパワーが出る」という存在意義がありました。

 しかし、1989年から平成に突入して自動車税が段階的に引き下げられたこともあり、ターボエンジンではなくコストが安い自然吸気エンジンで十分だという認識になっていったのです。

 ところが、そんなターボ車がなぜ近年になって再び注目され始めました。背景には「ダウンサイジング」「ドライバビリティの向上」「コストの低下」の3点があります。

 ダウンサイジングとは文字通りサイズを小さくするという意味で、例えば「3リッターV6自然吸気エンジン」を「2リッター直列4気筒ターボエンジン」にする、というような、エンジンを小さくして重量を軽くする代わりに、ターボを搭載して同じパワーを発揮させようという方法です。エンジンが軽くなれば、それだけ動かすための燃料の必要量が減り、燃費が良くなります。

 燃費悪化の代名詞だったターボエンジンは、逆に燃費向上の一端を担うことができるように変化しています。

 ドライバビリティ(エンジンの扱いやすさ)の面では、ターボチャージャーの進化や直噴化(燃料を直接燃焼室に噴射する)によってターボラグは大幅に減少しました。

 このような進化によって、欧州では2000年代から積極的にターボが採用されています。結果として大量生産でコストダウンが進み、さらに、ターボ化そのものはコストがかかっても、その分気筒数を減らして相殺できるなど、ターボ化にかかるコストが以前より問題にならなくなってきていることから、ターボ車が再び増えつつあるのです。

■時代にあわせてターボエンジンのありかたも変化

 日本で初めてターボ車が登場したのは、1979年です。日産から発売された「セドリック」と「グロリア」の「430型」と呼ばれるモデルに搭載されました。セドリックとしては5代目、グロリアとしては6代目の車種でした。

 その圧倒的な加速力は多くのドライバーを魅了し、今でもSNSなどでは「#430セドリック」「#430グロリア」などという固有のハッシュタグが作られて投稿されているほど、根強い人気を誇っています。

 SNSへの投稿を見ると、自らの青春の思い出や、所有している模型やミニカー、雑誌の写真などを載せているユーザーが多く存在していて、乗用車としてだけでなくパトカーやタクシーなどの業務用まで、さまざまな場面で活躍していた430型が愛されていたことがよくわかります。

 その後、走り好きな若者たちに支持されたモデルとして、日産「スカイライン2000ターボRS」や三菱「ランサーEX1800ターボGT」などが登場します。

 これらのクルマをはじめとした当時のターボ車は、前述した「ターボラグ」が起きることでも知られていたことから、俗に「ドッカンターボ」といわれていました。

 本来はアクセルペダルの踏み込みに合わせてなめらかにターボが始動するのが好ましいのですが、「ドッカンターボ」のクルマはまるで「加速スイッチ」を押すかのように、アクセルの踏み込みで急激な加速を体感できることで、クルマ好きの間で人気となりました。

 ターボエンジンが搭載された「スカイライン2000ターボRS-X」に乗っていたユーザーは、次のように話します。

「当時はテレビゲームであったターボボタンと同様に、実車の場合でもアクセルを踏み込むことで動作する『スイッチ』のようなものだと思っていました。実際に、ターボが効いたときの急激な加速感がとても楽しかったことを覚えています」

 ※ ※ ※

 日本ではまだまだハイブリッド車が人気で、ターボエンジンが爆発的に増加する状況にはなっていません。しかし、欧州をはじめとした世界的な人気を鑑みる限り、ターボエンジン搭載の車両は再び増えていくことが予想されます。

※一部修正しました(5月29日9時28分)

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