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タクシーも優勢 日産のタクシー車両がトヨタ「JPN TAXI」にかなわない理由とは

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タクシーも優勢 日産のタクシー車両がトヨタ「JPN TAXI」にかなわない理由とは

■タクシー業界におけるトヨタと日産の戦い

 最近、東京を中心に四角く黒いワゴンタイプのタクシーを見かけることが増えてきました。これは、トヨタが2017年10月に発売した「JPN TAXI」というクルマで、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて導入されたタクシー専用車両です。

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 また、日産でもタクシー専用車両の「NV200 タクシー」を2010年から販売していますが、街中ではトヨタ「JPN TAXI」の方が見かける機会が多いです。なぜトヨタの方がタクシー業界で多く採用されているのでしょうか。

 トヨタは、2015年・2020年、そして2024年までのオリンピック・パラリンピックのワールドワイドオリンピックパートナー契約をIOC/IPC(国際オリンピック委員会/国際パラリンピック委員会)と結びました。トヨタは自動車事業のため、主にモビリティの面からイベントをサポートしています。

 オリンピック関連事業の1つとして新型タクシー車両の開発を行うことで、環境問題やバリアフリー問題にフォーカスして国際的に通用する、「世界に誇れる」クオリティのモビリティを提供することに注力しているというわけです。

 そのためには、従来タクシーの定番車として販売されていた「クラウンコンフォート/コンフォート」では環境面や利便性がクリアできなくなることから、「JPN TAXI」は次世代タクシーとして登場しました。

 トヨタのタクシー向け車両としては、この「JPN TAXI」が約20年ぶりの新型車。開発にあたって、タクシー会社やタクシードライバーからの意見を反映したことでも注目された1台です。

 一方で、日産でも2010年に小型商用車「NV200バネット」をベースにした「NV200 タクシー」を発売しています。2014年に旧型のタクシー用車両「セドリック」の生産を終了したことや、ニューヨークでタクシーの次世代標準機種に選出されたことにより、徐々に日本国内のタクシー市場でも普及し始めました。

 現在、国内タクシー会社の車両はトヨタが約9割を占めています。トヨタが一強となった理由には、90年代のバブル崩壊が要因といわれています。

 90年代に入るまでは日産がタクシー車両を独占し、シェアの約8割を占めていました。しかし、バブルの崩壊とともに日産の営業利益が落ち込み、タクシー事業から撤退せざるを得なくなったのです。

 タクシー車両について、大手タクシー会社は次のように説明しています。

「国内のタクシー市場でトヨタのシェアが高いのには、単純にメーカーのバックアップが強い以外にも、乗務員側の慣れやイメージの問題もあるかと思います。ここ数十年のタクシーといえばトヨタ『コンフォート』が代名詞でした。

 その後、ハイブリッド車の『プリウス』や新しいタクシー専用車両として『JPN TAXI』が登場するなど、常にトヨタ車がタクシー業界に定着しています。そのため、いまのタクシー業界には『タクシー=トヨタ車』というイメージがあるのかも知れません。

 また、『JPN TAXI』は登場後に車椅子の積載問題などもありましたが、改善パーツの無償配布や改良車両の登場など改善方法に関して細かな対応をしていることも信頼というイメージに繋がっています」

※ ※ ※

 タクシー業界やユーザーからの反響に対して、トヨタ「JPN TAXI」のチーフエンジニア・粥川 宏氏は「日本のタクシー業界を衰退させず、進化させるためにも、クルマ自体の悪い部分を改善し、乗務員の教育など全体で努力していくことが重要です」と述べています。

■乗車拒否問題に発展した「JPN TAXI」の改善方法とは

 2017年に“誰もが利用しやすいタクシー”として登場した、トヨタの「JPN TAXI」。導入開始から約1年半が経過したなかで、「JPN TAXI」を利用しようとした車いす使用者に対して乗務員が『乗車拒否』をするなどの事案が多発しました。

 この事案に対して車いす利用者などから、トヨタに車両改善を求める署名を提出するまでに発展するなど、大きな問題となっています。

 従来型「JPN TAXI」で車いす利用者を乗せるには、座席の折り畳み、専用スロープの設置、車いす固定、搭乗者シートベルト着用などの複雑な手順をおこなうほか、乗降時に広いスペースが必要です。

 また、スロープ自体も複雑な構造のため、設置や撤収にはある程度の時間や慣れが必要となり、知識や不慣れな乗務員による「乗車拒否」が発生するなどの問題に発展していました。

 このような問題点について、前出の粥川 宏氏は次のように説明します。

「すでに街中を走っている『JPN TAXI』既存車への改善パーツ配布を2019年2月におこない、更なる改良を施した一部改善車を2019年3月に発売しています。既存車への改善策としては、改善パーツをタクシー事業者に無償で提供。これで、スロープ設置から車いすを固定するまでに約4分で作業を行なえるようになります。

 さらに、ユーザーの反響を反映した一部改善車では、スロープのパーツなどを大幅に見直したほか、ラベリングなどで作業の効率化も図っています」

 また、タクシー会社でも車いす利用者に関する問題について、「今回、トヨタから新たな改善車両が公表されましたが、既に導入している車両すべての部品入れ替えは、それなりの時間がかかることが考えられます。そのため、導入済み車両の改良と平行して、乗務員への教育体制の確立や車いす乗降方法に関するマニュアルを作成するなどして業務改善していく予定です」と話します。

 過去に、大手タクシー会社が実施した、JPN TAXI利用者や乗務員へのアンケートでは、「車内の天井が高く開放感があり快適」、「視界が広くて運転しやすい」という好評価でした。

 しかし一方では、「後部座席の右側窓は開かず、左側も半分までしか下がらないため、気分が悪い時に風に当たれず不便」、「電動スライドドアの開閉速度が非常に遅く、混雑した状況下では不便」という不評も出ています。  トヨタ「JPN TAXI」は、2020年・東京オリンピックに向けて導入された車両です。今回の改善によって、乗車拒否問題が改善され、「誰もが利用しやすい存在」となることに期待が高まります。 【了】

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