現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 70'sスーパーカー図鑑<その6>デ・トマソ パンテーラ

ここから本文です

70'sスーパーカー図鑑<その6>デ・トマソ パンテーラ

掲載 更新
70'sスーパーカー図鑑<その6>デ・トマソ パンテーラ

ゴールデンウイークの短期集中連載企画として、日本のスーパーカーブームを築いた1970年代のスーパーカーを紹介していきたい。今回は、スーパーカーとしては長寿を誇った、デ・トマソ パンテーラだ。(ホリデーオート2018年11月号別冊付録より)

アメリカンV8をミッドシップ搭載した異色のスーパーカー
「De TOMASO Pantera:デ・トマソ パンテーラ」

1970年代のスーパーカー図鑑(1)「ランボルギーニ カウンタック」

1966年にマングスタをトリノショーで発表して、一躍スーパーカー・メーカーの仲間入りを果たしたデ・トマソが、アメリカのフォードと手を組み開発したのが、1971年に登場したパンテーラだ。
大量生産でコストダウンを狙ったスーパーカーというコンセプトは、世界初のものだった。

ランボルギーニから移籍したジャンパオロ・ダラーラが設計した基本骨格は、当時バックボーンフレームが主流だったスーパーカーとしては異例ともいえるモノコック構造で、クリーブランドの愛称を持つフォード製5.8LのV8・OHVを縦置きミッドシップ搭載している。

ボディデザインはカロッツェリア・ギアに在籍していたトム・ジャーダで、全高わずか1100mmのウエッジシェイプに仕上げた。

生産性にまで配慮したスタイルはイタリアンデザインの繊細さに欠けるが、その荒々しさが力強さに感じられるのは、優れたデザイン性によるものだろう。

ただし、リアのエンジンフードを開けても2列に並んだ美しいカムカバーは見えない。そこには、バンク中央に置かれた4バレル・ダウンドラフトキャブレターのエアクリーナーと、何の変哲もないOHVエンジン、そしてZF製5速MTが鎮座しているだけだ。

しかし、フォード製351CDIユニットは300psの最高出力を5400rpmで発生する低回転型ゆえに、メンテナンスフリーで所定の性能を発揮する。これがマルチキャブで神経質なイタリアンスーパーカーとの決定的な差だ。

しかも44.0kgmのビッグトルクをわずか3500rpmで発生したから、低速域での扱いやすさはこの種のクルマとしては抜群で、スーパーカーのイメージを覆す低速性能も発揮した。

フェラーリのほぼ半額で公称最高速度260km/hの性能が手に入る、となれば人気が高まるのは当然だ。1972年には3000台に迫る販売実績を残している。

だが、アメリカンV8ユニットは官能性能に欠ける、との指摘はついて回った。十分速いが、エンジンの吹け上がりやサウンドなど様々な要素が絡んで醸し出される速さの質が大味だというのだ。

そこで1973年に追加されたのが、ここで紹介するGTSだ。エンジンは同じフォード製351CDIながら、圧縮比を11.0:1に上げて330ps/47.5kgmまでチューンした結果、不評だった吹け上がりはシャープになり、最高速度も290km/hに上がった。

同時に、GTSをベースに500psオーバーまでチューニングしたグループ4レース参戦用モデル、GT4も開発。レースでは目覚ましい結果こそ残せなかったが、標準車と一線を画す走りを望む声に押されて、1974年にはレース仕様のGT4がそのまま市販されている。

パンテーラは第一次のスーパーカーブームが去ったあとも生き長らえ、第二黄金期となった1990年のトリノショーでビッグマイナーチェンジされたモデルも登場し、小規模ながらも生産が続けられた。

デ・トマソ パンテーラ GTS 主要諸元
●全長×全幅×全高:4270×1830×1100mm
●ホイールベース:2515mm
●重量:1420kg
●エンジン:V8 OHV
●排気量:5763cc
●最高出力:330ps/6000rpm
●最大トルク:47.5kgm/3500rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD

[ アルバム : デ・トマソ パンテーラ はオリジナルサイトでご覧ください ]

こんな記事も読まれています

王者ノルベルト・キスが圧巻のパーフェクト発進。両日ポールから4戦4勝の完全制覇/ETRC開幕戦
王者ノルベルト・キスが圧巻のパーフェクト発進。両日ポールから4戦4勝の完全制覇/ETRC開幕戦
AUTOSPORT web
スーパーGTスポーティングレギュレーションに小変更。GT300のサクセスウエイト上限値が50kgに
スーパーGTスポーティングレギュレーションに小変更。GT300のサクセスウエイト上限値が50kgに
AUTOSPORT web
四輪駆動の極上クーペ誕生! 最新 BMW M4 CSへ試乗 直6はCSLと同じ550ps 充足感が半端ない
四輪駆動の極上クーペ誕生! 最新 BMW M4 CSへ試乗 直6はCSLと同じ550ps 充足感が半端ない
AUTOCAR JAPAN
「ホンダ/無限」が「OAM2024」人気ブースコンテスト特別賞受賞!「Honda DNA」がしっかり来場者に伝わっていました
「ホンダ/無限」が「OAM2024」人気ブースコンテスト特別賞受賞!「Honda DNA」がしっかり来場者に伝わっていました
Auto Messe Web
バニャイヤ、課題のスプリントで今季初勝利。2位にマルク・マルケス|MotoGPイタリアGP
バニャイヤ、課題のスプリントで今季初勝利。2位にマルク・マルケス|MotoGPイタリアGP
motorsport.com 日本版
日産が「下請法違反勧告後も不適切な取引継続」報道に対する外部調査結果を公表
日産が「下請法違反勧告後も不適切な取引継続」報道に対する外部調査結果を公表
レスポンス
ミキティ、スマホでポチ買いした1400万超の「超高級車」を採点! 気になる点数は? 搭載される「斬新ド派手ドア」の開閉に「天才!」「未来的」の声も
ミキティ、スマホでポチ買いした1400万超の「超高級車」を採点! 気になる点数は? 搭載される「斬新ド派手ドア」の開閉に「天才!」「未来的」の声も
くるまのニュース
VWベストセラー商用車 新型「T7」トランスポーターは約620万円から ディーゼル、PHEV、EVを導入
VWベストセラー商用車 新型「T7」トランスポーターは約620万円から ディーゼル、PHEV、EVを導入
AUTOCAR JAPAN
ベントレーがワンちゃんの祭典をサポート!?「グッドウッド」ならぬ「グッドウッフ」で「ベンテイガ肉球フォトブース」とは?
ベントレーがワンちゃんの祭典をサポート!?「グッドウッド」ならぬ「グッドウッフ」で「ベンテイガ肉球フォトブース」とは?
Auto Messe Web
ピレリ、フェラーリと実施のF1タイヤテストに満足。冬場にできなった雨用タイヤの開発プログラムが前進
ピレリ、フェラーリと実施のF1タイヤテストに満足。冬場にできなった雨用タイヤの開発プログラムが前進
AUTOSPORT web
Moto2イタリア予選|ジョー・ロバーツが今季初ポール獲得。前戦ウイナーの小椋藍は12番手
Moto2イタリア予選|ジョー・ロバーツが今季初ポール獲得。前戦ウイナーの小椋藍は12番手
motorsport.com 日本版
【青山にレーシングカー出現】 アストン マーティン・ヴァンテージGT3 GTを戦う現役マシン
【青山にレーシングカー出現】 アストン マーティン・ヴァンテージGT3 GTを戦う現役マシン
AUTOCAR JAPAN
ドリアーヌ・パンが骨折、ル・マン24時間を欠場へ。アイアン・デイムスはラヘル・フレイを起用
ドリアーヌ・パンが骨折、ル・マン24時間を欠場へ。アイアン・デイムスはラヘル・フレイを起用
AUTOSPORT web
スバル山内英輝、十八番の“Q2最速”も「単にウエイトを積んでないから」……ブリヂストン勢とのパフォーマンス差を依然痛感|スーパーGT第3戦鈴鹿
スバル山内英輝、十八番の“Q2最速”も「単にウエイトを積んでないから」……ブリヂストン勢とのパフォーマンス差を依然痛感|スーパーGT第3戦鈴鹿
motorsport.com 日本版
新しいシボレー・コルベットE-Rayが、日本上陸!──GQ新着カー
新しいシボレー・コルベットE-Rayが、日本上陸!──GQ新着カー
GQ JAPAN
RBのバイエルCEO、2025年のドライバー決定を急がず 「角田とリカルドに満足」と強調、ローソン内定説を否定
RBのバイエルCEO、2025年のドライバー決定を急がず 「角田とリカルドに満足」と強調、ローソン内定説を否定
AUTOSPORT web
ホンダ・シビック勢、Q1で全車好タイムもQ2で勢いに陰り。その要因は何だったのか|スーパーGT第3戦鈴鹿
ホンダ・シビック勢、Q1で全車好タイムもQ2で勢いに陰り。その要因は何だったのか|スーパーGT第3戦鈴鹿
motorsport.com 日本版
「ながらスマホ」死亡・重傷事故が厳罰化以降で最多に! 警察庁も「絶対にやめて」と呼びかける
「ながらスマホ」死亡・重傷事故が厳罰化以降で最多に! 警察庁も「絶対にやめて」と呼びかける
乗りものニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村