■量産クロカン4駆の先駆け的存在は三菱からデビュー
2019年4月22日に、一部報道で三菱「パジェロ」の国内販売終了と報じられました。三菱からは公式には発表されていませんが、SUVブームのなかにあっても販売台数で苦戦している模様です。
しっかり足を伸ばせて寝られる! 車中泊にオススメのミニバン5選
三菱は「ジープ」に代表される本格的な4輪駆動車を、古くから販売してきました。現在は登録車においてSUVを主軸としているメーカーになりました。
そこで、これまでに三菱が生産してきた本格的な4輪駆動車のなかから、5車種をピックアップして紹介します。
●ジープ
三菱「ジープ」は本格的な4輪駆動車の原点ともいえるクルマで、1952年に三菱自動車の前身である「新三菱重工業」とアメリカの「ウイリス・オーバーランド社」との間で締結された契約のもと、ノックダウン方式により翌1953年には第1号車が完成しました。
1956年からは国産ジープを本格的に生産し、以来約半世紀に渡って根強いファンに応え、20万台を超える台数が生産されました。
シンプルなメカニズムのパートタイム4WDシステム(切替式)と長いサスペンションストロークによって、悪路走破性の高さはもちろんのこと、トラックと同じフレーム構造に前後リーフスプリング(板バネ)の採用は、丈夫で高い耐久性を誇ります。
実際、ジープが自衛隊車両に使われていたのは多くの方が知るところですが、それほどまでに耐久性、信頼性のあるクルマだという証明でもあります。
1998年に専用ボディカラー、専用幌生地、防錆強化仕様等を採用した「最終生産記念車」が発売され、ジープは長い歴史に幕を引きました。
●デリカ スターワゴン
クリーンディーゼルエンジン搭載モデルを有し、悪路走破性も高く、日本のミニバンで唯一無二の存在である「デリカ:D5」は、アウトドア派のファミリー層から絶大な人気を誇るモデルです。
このデリカ:D5の成り立ちを遡ると、1982年に発売された「デリカ スターワゴン(4WD)」にたどり着きます。
現在のようなミニバン誕生以前、多人数乗車のワゴンはワンボックスタイプのバンをベースとしており、「デリカスターワゴン」も同様でした。
4WDモデルのシャシはトラックのものを用いており、丈夫な構造となっていて、ジープと同様にシンプルな構造から耐久性も高く、優れた悪路走破性を発揮。
他社からも4WDワンボックスワゴンが発売されましたが、デリカ スターワゴンを超えるようなモデルは見当たりませんでした。
1988年にフルモデルチェンジを行ない乗用車としてスペース効率を追求した結果、一般的なモノコックボディが採用されましたが、4WDモデルは高い最低地上高と長いサスペンションストロークを確保し、悪路走破性を維持していました。
●ストラーダ
1990年代になると4輪駆動車の人気が高まり、いわゆる「RVブーム」の時代が到来します。三菱ではパジェロを始めジープ、デリカ、RVRなどをラインナップし、RVブームを牽引していましたが、さらなるニーズに対応するべく本格的な4WDピックアップトラック「ストラーダ」を市場投入します。
1991年に発売されたストラーダは、4ドアのキャビンで5人乗りとし、5人分のレジャーグッズを積んで余裕をもって出かけられるというコンセプトとなっていました。
エンジンは2.5リッターディーゼルのみで、パジェロなどで実績のある4WDシステムを採用し、悪路走破性は折り紙付きでした。
1997年にはタイで生産されていたピックアップトラック「L200」をベースとした2代目にバトンタッチしましたが、わずか2年後の1999年に販売を終了します。
■終わりの始まりか!? 37年の歴史を刻む「パジェロ」
●チャレンジャー
パジェロのロングボディは3列シートの7人乗りをラインナップしていましたが、1996年に発売されたワゴンタイプのSUV「チャレンジャー」は5人乗りのみと割り切り、価格も抑え普及を狙ったモデルです。
シャシは2代目パジェロをベースとし、4WDシステムもパジェロと同じフルタイム4WDを基本に(上級グレードのXとXR)、4種類の走行モードを状況に応じて使い分けられる三菱独自のスーパーセレクト4WDを採用。
高速道路からオフロードまであらゆる路面で常に最適な駆動配分を行ない、経済的なドライブと走破性能を両立していました。
エンジンは2.5リッターと2.8リッター2種類のターボディーゼルと、3リッターV6ガソリンをラインナップし、ディーゼルには5MTも用意され、本格的なオフロードも楽しめる設定となっていました。
●パジェロ
三菱といえば前出のジープという元祖クロスカントリー車もありましたが、快適装備とは無縁で、優れた悪路走破性ながら普段使いには適さないクルマでした。
そこで、トラックのシャシを利用してワゴンタイプのボディを架装し、より乗用車に近い「パジェロ」を開発し、1982年に発売します。
パジェロは頑丈な作りでありながら、乗用車となんら変わらない装備とあって、とくに雪国で大ヒットしました。
その後、RVブームに乗り、バリエーションも増え、幾度かのフルモデルチェンジを経て、現行モデルに進化します。
現行のパジェロは2006年に発売され、初代から数えて4代目となります。3.2リッター直4のクリーンディーゼルエンジン車と、3リッターV6ガソリンエンジン車をラインナップ。
発売当初は3ドアのショートボディと、5ドアのロングボディでしたが、いまは7人乗り3列シートのロングボディのみとなっています。
4つの走行モードを持つ進化した「スーパーセレクト4WD II」を装備し、タイヤの空転を制御しながら高い走破性を実現。滑りやすい場所ではリアデファレンシャルギアをロックして、左右のタイヤの回転差をなくし、高い駆動力を発揮します。
近年では2018年10月11日に一部改良され、装備の充実が図られましたが、未だに先進安全装備は搭載されておらず、時代に取り残された感は否めません。
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