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相次ぐ「アクセルとブレーキの踏み間違い事故」 高齢ドライバーに限らず若い世代でも

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相次ぐ「アクセルとブレーキの踏み間違い事故」 高齢ドライバーに限らず若い世代でも

■踏み間違いが若い世代でも起こっている

「またか…」、街頭でニュースを見ている人が呟いていました。ふたたび、高齢ドライバーによる悲惨な事故が起こってしまったからです。各種の報道によると、2019年4月19日のお昼頃、東京・池袋で87歳の男性が運転するクルマが暴走。周囲にいた歩行者数人がまきこまれ負傷し、また自転車で横断歩道を通過中の母子が亡くなりました。なぜこのような悲惨な事故が度々起こってしまうのでしょうか。

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 運転していた男性は「アクセルが戻らなくなった」と話しているそうです。この言葉は、過去に起こった事故の報道でも、よく見かけると思います。これは、高齢ドライバーによる事故だけではありません。

 また、交通事故の原因として、警察からの発表、または報道で「アクセルとブレーキの踏み間違い」という言葉をよく聞きます。

 今回の事故も「アクセルが戻らない」=「アクセルとブレーキの踏み間違い」だったのでしょうか。詳細な事故原因は、警察による詳しい調べを待つことになります。ですが、どうして「アクセル」に関わる事故が起こるのでしょうか。

 これまでこうした分野で各方面に取材した経験、また筆者(桃田健史)自身が事故に遭遇した時の経験に基づき、私見をご紹介したいと思います。

 まず「アクセルとブレーキの踏み間違い」は、いつ起こりやすいのか? 一般的に、この表現を使うのは、クルマが停止した状態から動き出す場合です。コンビニなどの店舗の駐車場から、店舗側に突っ込む事案が数多く発生しています。

 近年発売されているクルマの多くで「踏み間違い防止装置」が標準装備されるようになりました。これは、赤外線センサーやカメラなどを使って、クルマの前に壁や人がいると、仮にアクセルを多く踏み込むと、数十秒間エンジンの回転数が上がらないように車載コンピュータで制御を行います。合わせてブレーキをかける機能が追加する車種も登場しています。

 こうした開発に携わる自動車メーカー関係者に話を聞くと、「アクセルとブレーキの踏み間違いは、高齢者だけではなく、若いドライバーでも起こっている」といいます。

 自動車メーカー各社は独自調査をしたそうですが、話を聞いた関係者は、「仮に踏み間違いをしても、若い世代ほど間違いに対する気づきが早く、慌ててペダルを踏み変えるという傾向があることが分かった」とも話します。

 そのため、「アクセルとブレーキの踏み間違い防止装置」の周知を狙ったテレビCMでは、あえて高齢ドライバーではなく、若い女性タレントを起用した事例もあるとのことです。

■本当に誤操作、それともクルマも故障?

 一方、クルマが走行している場合の「アクセルとブレーキの踏み間違い」については、自動車メーカーや警察でも、その実態をつかみきれていません。なぜならば、ドライバーが「本当にそうした操作をしたかどうか」が、ドライバー自身よくわからない場合が多いからです。

 つまり、「アクセルとブレーキの踏み間違い」などの運転装置に対する誤操作は、停止中に起こる可能性は高いですが、走行中に起こることは稀だということです。そうした稀な状況になってしまうと、ドライバー自身が「なぜ、そんなことをしたのか?」、または「自分は正しい操作をしていたのに、クルマがそのように反応しなかった」と誤認識することが考えられます。

 もちろん、正しい操作をしたのに、クルマが故障していて反応しなかった場合も十分に考えされますが、そもそも「正しい操作」だったのかどうかを検証することは難しいと思います。最近のクルマならば、車載コンピュータにハンドルの操作角度やアクセルの踏み込み量などが記録されていますし、ドライブレコーダーの映像が残っている場合もあります。

 そうしたデータから、ある程度の検証は可能ですが、事故当時の心理状況を把握することはやはり難しいと思います。また、事故検証という視点でも課題があると思います。

 筆者は数年前、重大な交通事故の現場に、事故当事者の関係者として遭遇した経験があります。この事故の原因は、走行中の「アクセルとブレーキの踏み間違い」によるものではありせんでしたが、事故当事者による明らかな運転ミスによるものでした。事故当事者もそれを認めています。

 実際にその現場検証にも立ち会いましたが、事故当事者が事故当時の状況を警察官にいろいろと説明しても、警察官は“一般的な事故原因の用語”に落とし込もうとすることを優先している印象を受けました。

 こうしたことが、他の事故でも十分に起こり得るのではないでしょうか。つまり、事故当事者の心理面に踏み込んだ、事故の検証が必要だということです。

 さらに、高齢ドライバーになれば、加齢に伴う体力の低下によって、とっさの判断が遅くなりがちで、慌てて誤操作をする可能性も考えられます。それらを少しでもカバーするのが近年発売されているクルマに普及し始めた、いわゆる“自動ブレーキ”と呼ばれるものが対応します。

 正確には「衝突を回避するため」、または「衝突での衝撃を軽減するため」に、カメラやレーザーなどのセンサーによって、先方のクルマなどの障害物、または目の前に飛び出してきた人を検知して、自動でブレーキをかける、さらには上級モデルでは自動でハンドルを切る装置も追加されています。

 こうした衝突安全について、近年ではアセスメントと呼ばれる消費者保護の考え方から、夜間の歩行者保護が重視されるなど、技術革新が進んでいます。

 ただし、このような最新技術はけっして、万能ではありません。クルマの運転は、ドライバーの自己責任よって行われていることを、ドライバーの皆さんはいつも心がけて欲しいと思います。

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