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【オイル交換鉄則のジレンマ決着】安いオイルをこまめに交換? 高性能オイルを長く使う?

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【オイル交換鉄則のジレンマ決着】安いオイルをこまめに交換? 高性能オイルを長く使う?

 クルマをお持ちのみなさん、エンジンオイルがどのくらいでサイクルで交換していますか? 長く乗り続けたいオーナーにとっては、いかにクルマを長持ちさせるか、切実な問題ですよね。 

 ひと昔前は、安いエンジンオイルでエンジン内をフラッシングして、高いエンジンオイルを入れたり、安いエンジンオイルをこまめに替えたりしていましたが、いまでは高性能のエンジンオイルの登場もあり、少し事情が変わってきているようです。

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 ここで、改めてオイルの粘度や規格を紹介するとともに、時代に合った正しいエンジンオイル交換の方法を、モータージャーナリストの高根英幸氏が解説します。

文/高根英幸
写真/ベストカーWEB編集部

■メーカー推奨のエンジン交換時期、距離が長くなってきた

BMWはエンジン内部にセンサーがあるため、オイル量をチェックするリップスティックすらなく、メーカー推奨のエンジンオイル交換時期は2万5000Kmまたは2年と、クルマ好きにとっては信じらない交換サイクルの長さだ

 クルマを大事に乗り続けたいオーナーにとって、エンジンオイル交換をどう行なうかは、永遠のテーマとでも言えそうなほど悩ましい問題だ。

 往年の空冷ポルシェのように認証オイルをキッチリと定められたサイクルで交換することが決められているクルマはそれを守ればいいが、それ以外のクルマも取扱説明書には指定粘度やグレード、目安となる交換時期が記されてはいるものの、それを守ればベストなオイル管理なのか疑問に思うことも少なくない。

 特に最近はメンテナンスフリー化と環境保全の両面から、エンジンオイルの交換サイクルがどんどん伸びている。

 昔は走行距離が少なくても、オイルは一度エンジンに注がれて運転するとそこから酸化が始まるため、半年に一度は交換するべき、と言われていたが、最近のクルマはディーラーのメンテナンスプログラムによれば2年に1度しかオイル交換しないクルマも増えている。

 それは昔と比べ、エンジンの工作精度が高まっており、オイル消費が少なくなっていることもあるし、エンジンオイル自体も、油膜切れしにくく始動時などドライスタート時にエンジンを守り、抜群の潤滑性能を誇るエステル系の高性能オイルを使い、耐久性を高めることで実現している。

高性能なエステル系オイルは2L、5200~6000円前後と高価

 エンジンオイルを交換するだけでもディーラーで診断機に接続して、オイルレベルもエンジンに内蔵されたセンサーで測るようになっているなど、ますますメンテナンスも高度化されて街の修理工場では手が出せなくなってきた。

 しかし2万kmに1回のオイル交換ということは、新車から10万kmを走行するまで、初回点検で早めにオイル交換をしたとしても5、6回しかオイル交換をしないことになる。

 5000kmまたは半年に一度、オイル交換を行なってきた昔ながらのクルマ好きにとっては、ちょっと信じられないことではないだろうか。

 そんな風にメンテナンスプログラムを利用しているオーナーのなかでも、スポーティな走りを楽しむオーナーや、エンジンを労わりたいオーナーは、通常の交換サイクルとは別に、追加料金を払ってエンジンオイルの交換を行なってもらっているケースもある。

 この場合は純正オイルを使うしかないが、ディーラーによってはより高性能なオイルを用意しているところもある。例えばマツダは通常の純正エンジンオイルとは別に高性能なエンジンオイルを用意している。

■メーカー別、エンジンオイル推奨交換サイクル


※走行kmまたは期間いずれか早い方


※シビアコンディション:悪路走行が多い、走行距離が多い、山道など上り下りの頻繁な走行などの過酷な条件での使用

■トヨタ/エンジンオイル
ガソリン・ノンターボ/シビア7500km or6ヶ月。ノーマル1万5000km or1年
ガソリン・ターボ/シビア2500km or3ヶ月。ノーマル 5000km or6ヶ月
■日産/エンジンオイル
ガソリン/シビア7500km or6ヶ月。ノーマル1万5000km or1年
軽・ノンターボ/シビア5000km or3ヶ月。ノーマル1万km or6ヶ月
軽・ターボ/シビア2500km or3ヶ月。ノーマル5000km or6ヶ月
■ホンダ/エンジンオイル
ガソリン・ノンターボ/シビア5000km or6ヶ月。ノーマル 1万km or 1年
ガソリン・ターボ /5000km or6ヶ月
■三菱/エンジンオイル
ガソリン・ノンターボ/シビア7500km or6ヶ月 。ノーマル1万5000km or1年
ガソリン・ターボ/シビア2500km or3ヶ月。ノーマル5000km or6ヶ月
ディーゼル/シビア5000km or6ヶ月。ノーマル 1万km or1年
軽・ノンターボ/シビア5000km or3ヶ月。ノーマル 1万km or1年
軽・ターボ(i除く)/シビア2500km or3ヶ月。ノーマル5000km or6ヶ月
■スバル/エンジンオイル
ガソリン・ノンターボ/1万km or1年
ガソリン・ターボ/5000km or 6ヶ月
■マツダ/エンジンオイル
ガソリン/シビア7500km or6ヶ月
ノーマル 1万5000km or1年
ディーゼル/シビア5000km or6ヶ月。ノーマル 1万km or1年
■スズキ/エンジンオイル
小型、普通、軽・NA/シビア5000km or3ヶ月。ノーマル1万km or 6ヶ月
小型、普通、軽・ターボ/シビア2500km or3ヶ月。ノーマル 5000km or 6ヶ月
■ダイハツ/エンジンオイル
ガソリン・ノンターボ/シビア5000km。ノーマル 1万km or6ヶ月
ガソリン・ターボ/シビア2500km。ノーマル 5000km or6ヶ月
■メルセデスベンツ/エンジンオイル
メンテナンスインジケーター点灯時(走行距離で1万~1万5000km or 1年)
■BMW/エンジンオイル(BMW専用ロングライフオイル使用時)
サービスインターバルインジゲーター点灯時(走行距離で上限2万5000km or 2年)
■VW/エンジンオイル
最短でも1年 or 1万5000km。最長で3万km or 2年(フォルクスワーゲン規格オイル使用時)


■エンジンオイルの品質と粘度には規格がある

各車サービスマニュアルなどにメーカーからの推奨オイル粘度が書かれているはずだ


 では、そのようにディーラーで定期的にオイル交換をする以外のオーナーは、どのようにオイルを選び、いつ交換するのがいいのだろうか。

 オイルを選ぶためには、オイルブランドを知ってお気に入りの銘柄を決める前に理解しておくべきオイルの知識がある。

 まずは粘度だ。オイルの粘度とは硬さのことで、粘度によって変わるのはエンジン内で形成される油膜の厚さだ。

 同じ銘柄でも粘度の違うオイルが存在するのは、気候などの環境やエンジンの仕様によって、必要な油膜の厚さが異なるからだ。

 油膜は厚い方が潤滑性は高いが、エンジンの部品同士の隙間が狭いと作れる油膜も薄くなるので、高い粘度のオイルでは上手く油膜を作れなくなるし、オイルポンプの抵抗も大きくなってしまう。

 最近のクルマは0W-20など、極めて粘度の低いエンジンオイルを使用して、オイルの攪拌抵抗やポンプの損失を抑えている。

 グレードはオイルの種類や品質を表すもので、APIが粘度と同様にオイルの品質をアルファベットで表示できるよう規格化している。

 ガソリンエンジンはSJなどといったSで始まるアルファベット2文字で表示され(ディーゼルエンジン用はC~)、SJは2001年以前に生産されたクルマに対応するもので、SLは2004年までのクルマ、SMが2010年までのクルマといったように、アルファベットが進むと新しいクルマのエンジンに対応する規格になっている。

 最新の規格はSN/RCと言われるもので、オイル自身の環境性能まで追求されたものだ。

 またAPIでは、オイルの種類についてもグループI、IIが原油を精製した鉱物油で、水素化分解など高度な精製を行なった鉱物油がグループIII、PAO(ポリアルファオレフィン)などの化学合成油がグループIV、エステルなどより高性能な化学合成油がグループVだ。

 APIとは別に日本でもオイルの品質に規格があり、このILSACはSJに相当するものがGF-2、以降数字が進むほど高い品質で省燃費や環境性能が高いオイルとなっている。

最新のエンジンオイル規格ではSN級が最高級グレード

 品質が高いオイルは、「油膜の強さが高い」と考えればいい。同じ油膜の厚さでも、摩擦が起こった時に強い油膜は油膜切れを起こしにくいので、エンジンの部品を摩耗から守ってくれる。この油膜保持性は、粘度とは別の性能なのだ。

 ベースオイルというのは、エンジンオイルの主成分となるものだが、オイルの性能を左右するのは実は添加剤の方が影響力が大きい。

 エンジンオイルの粘度を安定させたり、摩擦をさらに減らしたり、エンジン内のカーボンやスラッジを取り込んで分解するのは、添加剤の役割なのだ。

 つまりグレードの低いオイルでも、良い添加剤を配合すれば高い性能のエンジンオイルができあがる。

 普通のクルマのエンジンなら、これでも十分な性能だが、高性能車にはできるだけいいエンジンオイルを使ってやった方がいいだろう。

■クルマの性能に合った適度な価格のエンジンオイルを5000Km毎または半年毎に交換すべし!

エンジンオイルは量販店にいけば銘柄、オイル粘度がさまざまなものが売られている

 ここまで理解したうえで、オイル選びを進めたい。実際に販売されているエンジンオイルを比較してみると、必ずしもグレードの高さと価格の高さが比例しているわけではないことに気付くはずだ。

 よほどの粗悪品でなければ、ほとんどのエンジンにとって問題ない。最新のエコカーたちは、オイルによる抵抗も考えて超低粘度なオイルを使っているから、その粘度を守るようにして、他銘柄で価格がリーズナブルなエンジンオイルを選んでもいい。

 1L、1000円以下のオイルもあれば、2000円以上のオイルもある。高いエンジンオイルは高性能で耐久性も高い。だから年間の走行距離が少なく、オイル交換の1サイクルが長い人には向いている。

 あとはスポーティな走行を楽しむようなオーナーには、やはり高性能なエンジンオイル、できれば前述したエステル系エンジンオイルを使うことをお薦めする。やはりスポーツ走行を楽しんだ後には、オイル交換した方がいいだろう。

 あまりお金をかけ過ぎずに、長く大事に乗ろうと思ったら、そのエンジンに対応した適度な価格のオイルを5000km毎または半年毎に交換した方がいい。

 10万kmを超えてもエンジン内部が綺麗でコンディションのいいエンジンは、そういったメンテナンスを受けてきたクルマがほとんどだからである。

 これだけクルマが進化しても、エンジンはクルマにとっては心臓、循環する血液と同じエンジンオイルは昔も今も生命線。エンジンオイルが汚れていないか、普段からチェックしてほしいものである。

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