■堅調に台数を伸ばすアルファロメオ
FCAジャパンは、アルファロメオ「ジュリア」と「ステルヴィオ」にディーゼルエンジンを搭載したモデルを追加し、2019年4月6日より販売を開始すると発表しました。
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その発表記者会見では、最初に2018年のFCAジャパンの振り返りが行われました。2018年アルファロメオ・フィアット・ジープ・アバルトの日本での総販売台数は2万2450台と、新記録を達成し、3年連続で2万台の大台を超えたことになります。
2018年、中でもアルファロメオには多くの話題がありました。FCAジャパン代表取締役社長兼CEOのポンタス・ヘグストロム氏も「これほどモデルラインナップがフレッシュで、かつワイルドになったのは本当に久しぶりです」と相好を崩しました。
いくつか例を挙げると、「ジュリエッタ」は商品改良により、240馬力、1.8リッターターボエンジンに統一されると同時に、販売価格を400万円未満からのスタートとしたほかに、プレミアムモデルの「4C」については、「4Cコンペティツィオーネ」と「4Cスパイダーイタリア」の2つの特別限定車の販売が開始されました。
そして、フラッグシップセダンである「ジュリア」は2017年終盤に販売開始され、2018年はフルイヤーでの販売となりました。
■国内のディーラー網を拡大したのも好調な販売をけん引
初年度の実績についてヘグストロム氏は、「アウディ『A4』を超え、さらにジャガー『XE』の2倍という結果でした」とコメントし、非常に好調であることをアピールします。
最後はアルファロメオ初のSUVとなる「ステルヴィオ」。2018年-2019年日本カー・オブ・ザ・イヤーの10ベストカーに選出されるなど、注目度が高いモデルです。
「世界最高のドライビングロードと称されるステルヴィオ峠の名を冠しているように、ハンドルを握ればすぐにその理由が納得してもらえるでしょう。高性能な四輪駆動モデルであり、それでいて何よりもアルファロメオらしい純粋なスポーツカーでもあります」とヘグストロム氏は紹介します。
またこの「ステルヴィオ」には510馬力を誇る2.9リッターV型6気筒ツインターボエンジンを搭載した「クアドリフォリオ」も追加されました。
ヘグストロム氏は、「このエキサイティングなラインナップにより、アルファロメオにとって2018年は素晴らしい一年となりました。販売台数は2458台。この数字は前年比で+40%となっており、これによりアルファロメオは2018年、日本においてもっとも成長したブランドとなったのです」と述べました。
この数字にはディーラーも大きく貢献しています。ヘグストロム氏は、「エクスクルーシブでプレミアム感の高いディーラーネットワーク構築のために大きな投資をしてくれています。日本市場においてこれほどのペースで、そしてこれほどの規模の改修をしているブランドはFCAジャパンのジープブランドを除いて他にないでしょう」とコメントしました。
現在ディーラー拠点は札幌から熊本まで全国に47拠点。そのうちの25店舗が2018年末までに完全に新規、または大規模な改修を経たものとなっているそうです。残る22店舗も今年中に同様の改修を行う予定とのことでした。
■ディーゼルと近しい関係のアルファロメオ
そのアルファロメオにディーゼルモデルが追加されました。日本ではアルファロメオにディーゼルエンジンというイメージは低いかもしれません。
しかし、アルファロメオエンジン技術部門代表のパオロ・パロッティ氏は、「アルファロメオはコモンレールディーゼルエンジンの草分け的存在です。業界初のコモンレールディーゼルエンジンはアルファロメオ「156JTD」に1997年に乗用車として初めて搭載されました。これは最初のルドルフ・ディーゼルが発明したディーゼルエンジンからちょうど100年目のことです」と話し、実は強い関係性があることを明かします。このシステムは、1990年代に当時のフィアットグループが開発し、その後サプライヤーのボッシュに売却されました。
さて、今回導入される新型2.2リッターディーゼルエンジンは「ジュリア」と「ステルヴィオ」に搭載されます。販売価格ですが、「ジュリア」はスーパーグレードで556万円(543万円)。「ステルヴィオ」はQ4として617万円からとなっており、スタンダードグレードの655万円よりも安い値付けがなされました。
■メイングレードとなるかもしれない「ステルヴィオ」のディーゼル
ではなぜFCAジャパンがこの時期にアルファロメオにディーゼルを追加したのでしょうか。
この背景には2018年の販売実績があります。つまり、まだ伸び代がある市場に対し、アルファロメオとしての選択肢を持たせようと考えたわけです。
FCA ジャパン マーケティング本部 プロダクトマネージャーの平野智氏は次のように説明してくれました。
「『ステルヴィオ』が属する輸入車SUV市場は、およそ50%がディーゼルです。2018年に『ステルヴィオ』を導入した我々としては、このディーゼルに(台数増加の)チャンスがあると考えたのです」。そうすると、このディーゼルモデルが『ステルヴィオ』の主要モデルになりそうにも思えます。平野さんも、「その可能性はあると思います。アルファロメオのキャラクターからすると、エンジンを回せるガソリンエンジンの方がマッチすると思われるでしょう。しかし、ディーゼルでも十分にアルファロメオらしさが出せますし、価格的にもガソリンエンジンよりもアドバンテージがあり、そこにプラスして減税などがありますので、かなりの割合になる可能性は十分あるでしょう」とのことです。
また、ユーザー層については、「我々はドライビングする楽しさを重要視し、訴求していますので、そこに加えて経済性や航続距離を重視するお客様がターゲットになるでしょう」と説明します。「0から100km/hを純粋に比較すると、ガソリンが有利なところもあるでしょう。しかし、実際にストップ&ゴーが多いところや、高速道路を低回転で淡々と走るといったシチュエーションではディーゼルの恩恵は非常に大きいと思っています」と述べました。
■ガソリンエンジンに見劣りしない性能のジュリアディーゼル
一方の「ジュリア」はどうでしょう。
SUVはともかく、アルファロメオのセダンにディーゼルをあえて追加する意味について平野さんは、「輸入Dセグメントセダン市場では15%から20%がディーゼルエンジンです。そこにジュリアが存在していますので、あえてガソリンのみの導入として、お客様の志向を限定してしまう必要はないと考えました。どのくらいポテンシャルがあるのかということも含め楽しみな導入です」といいます。つまり、かなり実験的な意味合いも含まれているようです。そして、ジュリアの中でのディーゼルの割合は「市場と同程度になれば」とコメントしました。
ちなみに「ジュリア」のトップグレードの「クアドリフォリオ」は15%程度の割合だそうなので、「それと同じくらいの割合をディーゼルが占めてくれると良いと思っています」と希望を語りました。
ユーザー層においても、「『ジュリア』のお客様はスポーツドライビングに対する興味や要求が強いので、そこがどの程度ディーゼルエンジンとマッチするかがポイントになるでしょう。パフォーマンス面でガソリンエンジンに見劣りする部分はありませんから、ディーゼルならではの航続距離や経済性、トルクフルな走りというメリットがどれだけそういったお客様に響くのかを興味深く見ていきます」とのことでした。
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