プライメタルズテクノロジーズは、2018年11月、韓国の現代製鉄(Hyundai Steel)唐津製鉄所の2ストランド(条)スラブ連続鋳造機CC2用として、ダイナジェットフレックス(DynaJet Flex)スプレー冷却システムを新たに納入し、その稼働が開始された。
ダイナジェットフレックスはパルス幅可変冷却が可能で、冷却ゾーンを幅方向に最大限に細分化し、従来の冷却システムよりも高いターンダウン比で操業条件域を拡大することが可能。特に高品質高張力鋼板(AHSS)のコーナー割れの発生を最小限に抑えることができ、結果としてスカーフィングによる損失や空気消費量の低減にもつながる。今回の導入はダイナジェットフレックス技術の初めての産業利用。同社向けには2017年11月後半にまず第1ストランド用の新冷却システムを受注し、その受入試験が成功したことから、その後直ちに今回の第2ストランド用冷却システムの受注となった。
連続鋳造機CC2は定格年産能力280万トン、湾曲半径9.5メートル、凝固完了長さ43.5メートルで、板幅800~1,650ミリメートル、板厚250ミリメートルのスラブを生産できる。現代製鉄は、現代自動車などの自動車産業向けの特殊鋼(第2、第3世代のAHSSなど)を生産している。このような割れが生じやすい鋼種では、幅調整が可能な二次冷却システムによってスラブコーナー部の過剰冷却を防止する必要がある。ベンダーエリアのスプレー冷却幅を800~1,650ミリメートルの間で調整するために、CC2にはダイナジェットフレックスシステムを装備した4ステップ・マージンコントロール装置が採用された。
最大流量から最小流量までスプレーパターンの均一性を保ちながら幅広いターンダウン比を達成するためには、連続鋳造機の二次冷却システムにエアミストノズルを取り付けるというのが現在の一般的な方法だ。コーナー割れを防止するには、さらに冷却ゾーンをストリップ中央部とその両側の部分に幅方向に細分しなければならない。
ダイナジェットフレックスは、鋳造機の冷却ゾーンをこれまで以上に細かく分割できる新しい冷却システム。パルス幅可変信号に従って駆動される冷却水ノズルを使用することにより、エアミストノズルよりも高いターンダウン比を実現するとともに、空気消費量が低減されるので運転コストを大幅に抑えることができる。既設セグメントに追加取り付けが可能で、定期保守サイクル時にセグメントを鋳造機に再度取り付けるとダイナジェットフレックスが直ちに起動し、セグメントの運転準備が完了する。きわめて精緻なメカニズムにより、スラブの長手方向と幅方向の両方で最適な温度を実現できる、画期的な冷却システムである。
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