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業界ニュース 2019.2.9

スタッドレスタイヤはなぜ滑りにくいのか その開発の難しさ 滑りやすい日本の凍結路面

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凍結路面が滑るワケ

 北海道の旭川にあるテストコースにて、毎年のように開催される横浜ゴムの「スタッドレスタイヤ取材会」。2019年1月中旬に開催された今回は、トラック用スタッドレスタイヤによる登坂デモや、ラリーカーによるドリフト同乗走行体験などが用意されていましたが、メインディッシュは、開発中である次世代スタッドレスタイヤの体験試乗でした。

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 これが、単なる試作品ではありませんでした。横浜ゴムはこの日のために、タイヤのゴムに含まれる吸水剤を、なんと市販品の3倍にも増やしたスペシャルなタイヤを用意していたのです。

 ところで、なぜスタッドレスタイヤに「吸水剤」が必要なのでしょうか。そこには、アイスバーン(凍結路面)でタイヤが滑る理由があります。

 アイスバーンでタイヤが滑るのは、氷そのものではなく、氷表面の溶けた水がタイヤを浮かしてしまうから。つまりアイスバーンの表面の水を除去すれば、グリップが回復するのです。

 ちなみに、気温がマイナス20度からマイナス30度くらいにまで寒くなると、氷が溶けださない、あるいは溶けてもすぐに凍ってしまいます。そのため、逆に気温が高いほど、表面の氷が溶けだし、アイスバーンは滑りやすくなります。ですから、北欧やロシアなどよりも、気温0度前後が多い日本の凍結路面のほうが、タイヤにとって状況は厳しいのです。

水で滑るなら、水を除去すればいいじゃない…というわけで

 そのため日本では、気温0度前後で水の膜ができているアイスバーンでも、確かなグリップ力を発揮するスタッドレスタイヤが開発され、高い人気を誇っています。世界的には、スタッドレスタイヤを愛用する地域は、意外に少数派なのです。

 日本のスタッドレスタイヤは、アイスバーン表面の水をいかに除去できるかに性能がかかっており、各メーカーはそのための技術開発に余念がありません。横浜ゴムの場合はタイヤのゴムのなかに、水を吸収するゲル状の「エボ吸水ホワイトゲル」と、樹脂製で中空になった「新マイクロ吸水バルーン」を混ぜて、タイヤ表面から路面の水を吸い上げます。

「新マイクロ吸水バルーン」は、ゴム内では球体のままですが、タイヤ表面に露出すると削られて、水を吸収できる半球のスペースとなります。この「エボ吸水ホワイトゲル」と「新マイクロ吸水バルーン」が、前出の、いわゆる「吸水剤」にあたります。

 ただし、「エボ吸水ホワイトゲル」はゲル(流動性はないが高い粘性を持つ固体状のもの)なので、たくさん配合するとゴム自体の剛性が落ちてしまいます。そうなると走行性能が悪化するため、なかなか配合の割合を増やせません。

次世代スタッドレスタイヤへの課題は?

 しかし、「新マイクロ吸水バルーン」は樹脂の球体であるため、ゴムのなかにあっても剛性を落としません。今回の体験会で用意されたタイヤには、吸水剤として「新マイクロ吸水バルーン」を、市販品の3倍多く混ぜたといいます。ちなみに「新マイクロ吸水バルーン」の大きさは50ミクロン(0.05mm)前後で、肉眼では砂のように見えるとか。それを、タイヤのゴムに数%配合しているのです。

 実際に、「新マイクロ吸水バルーン」を3倍配合したタイヤで氷上を走ってみれば、市販品との差は歴然でした。発進から急ブレーキ、コーナリングまで、すべての領域で、市販品よりも高いグリップ力を発揮します。「なぜ市販品で、これくらいたくさん配合できなかったの?」と聞けば、「製造の問題、コストの問題、耐摩耗性などの問題があります」と、ほかに不具合が出てしまうので、市販品では配合を高められなかったといいます。とはいえ次世代製品では、そのあたりをなんとか克服しようということで、現在は一生懸命に開発しているところとか。

 まだまだ、スタッドレスタイヤの性能は高まるということですね。新製品の登場に期待しましょう。

【写真】「新マイクロ吸水バルーン」のマイクロな穴、拡大写真

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(乗りものニュース 鈴木ケンイチ(モータージャーナリスト))

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