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業界ニュース 2019.1.20

「移動」そのものを商品化、見えてきた「MaaS」のカタチ 「CES2019」に見るその現状

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クルマ関連は「MaaS」コンセプトだらけ

 2019年1月6日(日)から11日(金)にかけ、アメリカのラスべガスにおいて、「CES2019」が開催されました。「CES2019」は出展社数4000を超える、世界最大級のエレクトロニクスとITの見本市です。自動運転やコネクテッド技術といった、自動車関連の最新技術も関係するため、自動車のメーカーやサプライヤーが数多く参加しています。

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 そうした自動車関連の出展を見て歩いたところ、ある傾向に気づきました。というより、誰が見ても同じ感想を抱くはずです。それは、「『MaaS』向けの箱型EVコンセプトだらけ」ということです。

「MaaS」とは「Mobility as a Service」の略で、「モビリティ(移動)をサービスと見なす」という意味です。つまり、クルマという商品ではなく、「移動そのもの」を商品として考えるということ。実際のところ、MaaSが示す範囲は広く、電車やバスといった公共交通をシームレスにつなぐサービスから、カーシェア、自転車シェアまで、さまざまなアイデアが含まれます。

 初めて「MaaS」という言葉を聞いた人にとっては、新しく大きすぎる概念のため、ボンヤリとしかイメージできないことでしょう。そうしたなか昨年の「CES2018」で、トヨタがMaaS向けのプラットフォーム「eパレット・コンセプト」を発表しました。これは自動運転可能な“箱型のEV”で、人を運ぶだけでなく、配達から宿泊、移動店舗など、万能ともいうべき働きをします。そして、「これぞMaaSだ」と、トヨタは提案したのです。

 曖昧模糊(あいまいもこ)だったMaaSが、はっきりと見える形で提案されたのですから、これには誰もが驚きました。その結果が、今年の展示につながったのでしょう。メルセデスベンツをはじめボッシュ、コンチネンタル、ZF、シェフラーといったドイツ勢、韓国のキア、そしてデンソー、アイシン、パナソニック、ヤマハといった日本のメーカーやサプライヤーそれぞれのブースに、箱型EVやそれに類するコンセプトモデルが飾られたのです。

具体化進むMaaSの現状はトヨタの功罪か

「箱型EV」とひとくくりに述べましたがが、メーカーとサプライヤー、それぞれがアピールする技術は別です。箱型の車体を実現させるためのシャシー技術や、センサー技術、MaaS用の車載コンピューターシステムなど、その内容はバラバラです。とはいえ、どれも「未来の自動運転技術が完成したときのMaaS用」というところが共通です。ちなみに、デンソーのみ「MaaS用で、箱型だけどEVではなく、エンジンを搭載するコンセプト」だったのが面白いところでした。

 とにかく、「トヨタがMaaSを分かりやすい形で提示してくれたおかげで、業界全体が一気に、そちらに向かった」というような様相です。このことに是非はあるかもしれませんが、力を注ぐ方向が定まったことで、MaaSの実用化は、さらに促進されることでしょう。

 ところで今回、箱型EVコンセプトは数多く出展されていましたが、実際に走行可能なものを出展していたのはヤマハ、ZF、シェフラー、コンチネンタルといったところで、そう多くはありませんでした。

 ZFは、ハンドルがついており、普通に運転手によっても走行が可能だといいます。また、シェフラーは実際にブース内で走行を披露。コンチネンタルは、そこで実際に動きはしませんでしたが、本物の自動運転用の最新のセンサーが備わっており、テストコース内では動きそうな様子です。

 そうしたなかで、もっとも実用化に近いと筆者(鈴木ケンイチ:モータージャーナリスト)が感じたのは、ヤマハの提案でした。なぜなら、ヤマハだけが客を乗せての実走行デモを行ったからです。

枯れた技術で実用目前、ヤマハの「やり方」

 ヤマハが出展した、移動サービスシステム「Public Personal Mobility(PPM:小型低速モビリティ)」は、ある意味、異質でした。なぜなら、ヤマハは「実用化を本気で狙うために、高価な最新のセンサーは使わない」というのです。つまり、ハイテクではなくローテク指向というわけです。

 センサーはカメラなど、すでに実用化されたものを、ニーズにあわせて使い分けるといいます。車体は、すでに実用化されている電動カートをベースにしており、最高速度は20km/hを想定。これくらいの速度であれば、歩行者や自転車が飛び出てきても、止まりやすいし、ぶつかっても大きな事故にはなりにくいというのです。また、歩行者や自転車と混在する場所ではなく、専用路で運行すれば、さらに簡単になるといいます。

 そしてデモ走行は、路面にセンサーを並べ、その上を自動で走るというものでした。技術的には、工場内やゴルフ場などですでに実用化されているもの。その完成された技術の上に、AI技術を使った顔認証での乗員の管理や、乗員のジェスチャーによって出発・停止をコントロールする技術をアドオンしたというのが、ヤマハのデモ走行だったのです。

 なるほど、困難なリアルに立ち向かうのも技術ですが、それでは実用化に時間がかかるもの。一方でヤマハは、現状で使える技術を使って、「いかに現実に走らせるか」に挑戦したような内容でした。これまで、日本国内で何度か自動運転技術の実証実験を行ってきたヤマハならではの、手堅い提案です。もしも、どこかの地方自治体が手を挙げて、廃線となった鉄道跡のコースなどを使えば、すぐにでも自動運行が実用化されることでしょう。

「MaaS」と聞けば「ハイテクの粋を集めた未来の技術」――そのような夢物語のようなイメージを持っていましたが、やりようによって実用化は相当に近いということが見て取れました。日本での実用化は意外に近いかもしれませんね。

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(乗りものニュース 鈴木ケンイチ(モータージャーナリスト))

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