早くても2019年発表と言われていたX3 MとX4 Mが突然公開された。まだプロトタイプとはいえ、その発表は驚くべきものだった。(Motor Magazine 2019年1月号より)
なぜ慌ててX3 M/X4 Mのプロトタイプを公開したのか
2018年9月、BMWはDTMが開催されていたニュルブルクリンクサーキットで2台のプロトタイプを公開した。スポーツモデル X3 MとX4 Mである。
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これは想定外の出来事で、X3 MとX4 Mのスニークプレビューは2019年2月初旬、ワールドプレミアは早くても3月初旬に開催されるジュネーブオートサロン、あるいは4月の上海モーターショーに設定されている。こうしたイベント前倒しの判断は、今日のSUVブームからすれば当然の成り行きだろう。と言うのは、ライバル、とりわけメルセデス・ベンツがAMGブランドを使ってここ数年で多くのハイパワーSUVを発売し成功をおさめているからだ。これにより、メルセデス・ベンツの今年1月から10月までのワールドワイドのSUVセールスは前年同期3.3%増の68万台以上を記録、2018年のプレミアムブランド ナンバーワンポジションを獲得するのはまず間違いない。
そこでBMW M社としてはポテンシャルユーザーを少しでも引き止めておこうという作戦に出たというわけだ。
ニュルブルクリンクに登場したX3 MとX4 Mは、カムフラージュに覆われてはいるが、M社独特のディテールが明らかに見てとれる。とくに目立つのはオーバーサイズの開口面積を持つエアインテークである。加えて前面投影面積が大きく空気抵抗の大きなSUVの特性を少しでも改善するためのMデザインエアロパーツ、ダウンフォース確保のための巨大なバンパースポイラー、そしてX3 Mは大型ルーフスポイラー、X4 Mはトランク上にオーバーサイズエアースプリッターが装備されている。
リアエンドからはそのパワーを象徴する4本のエキゾーストパイプが存在感を放っている。また大口径ホイール/タイヤからはMハイパフォーマンスブレーキが見える。
M社のメール社長(当時)はこの2台のMスペシャルを、たとえプロトタイプとはいえ自らの手で紹介することを非常に喜んでいた。というのも少なくとも古巣のアウディからはまだライバル、すなわちこの2台に匹敵するスポーツSUV登場のニュースが流れてきていないからだ。彼は「X3 MおよびX4 Mはダイナミック性能、俊敏性(アジリティ)、そして精緻な仕上げ、どれをとってもこのカテゴリーで間違いなく先達となるに違いありません」と力説していた。
X3 MおよびX4 Mに搭載されるエンジンはMモデル専用に開発された直列6気筒で、ツインパワーターボ テクノロジーと高回転を好むキャラクターが備わっているはずだ。予想されるパワーは少なくとも450ps、ひょっとしたら500psとも言われている。この大パワーは、もちろんxDriveシステムによって4輪に伝達されるが、その実力はすでにM5に搭載されて実証済みのもの。すなわちM社、BMWのコアである後輪駆動キャラクターを失わないチューニングがなされている。加えて電子制御のMデファレンシャルがコーナリング中の左右のホイールに効果的な制御を行い、スポーツドライブを楽しませてくれるだろう。(文:木村好宏)
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