現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ZF:フォーミュラEに新開発の電動パワートレインを供給

ここから本文です

ZF:フォーミュラEに新開発の電動パワートレインを供給

掲載 更新
ZF:フォーミュラEに新開発の電動パワートレインを供給

ZF Friedrichshafen AG(ZF)は「ヴェンチュリー・フォーミュラEチーム」とテクニカルパートナシップを結び、「FIAフォーミュラE選手権」への参戦を開始した。高性能ショックアブソーバーの供給から始まったこのパートナーシップは、2017シーズンにはマシンに搭載するトランスミッションの開発へと発展。さらに2018年12月15日にサウジアラビアで開幕した「シーズン5」では、同チームのマシンに新開発の電動モーター、トランスミッションとパワーエレクトロニクスで構成するパワートレインが搭載されている。今シーズンからレース途中のマシン乗り換えが無くなり、技術的にも競争の激化したフォーミュラEでの使用にあたり、ZFのパワートレインは高効率、軽量、高性能の3点に重点を置いて開発された。

 世界初の完全電動フォーミュラカーによるモータースポーツ・シリーズであるフォーミュラEは順調に成長を続け、世界的に注目を集めている。自動車メーカーも、アウディ、ジャガー、DS(プジョー・シトロエン・グループのプレミアムブランド)、マヒンドラに加え、今シーズンからはBMWと日産もワークス参戦を開始した。さらに来季(シーズン6)からはメルセデスとポルシェのファクトリーチームも参戦予定。

日立がABB社のパワーグリッド事業を買収し、エネルギーソリューション事業を強化

 今シーズンから使用される「Gen2(=ジェン・ツー:第2世代)」のマシンは、モーターに供給可能なエネルギー量がほぼ倍増したバッテリーを搭載し、昨シーズンまで行われた決勝レース途中でのマシン乗り換えが必要なくなった。また、モーターの最高出力も200kWから250kWに増え、最高速度が時速225kmから280kmにアップするとともに、静止状態から2.8秒で時速100kmに達するなど大幅な性能向上が図られている。

 ヴェンチュリー・チームでは、昨シーズンも活躍したエドアルド・モルタラ(スイス)と、元フォーミュラ1(F1)ドライバーのフェリペ・マッサ(ブラジル)がZFのパワートレインを搭載したマシンをドライブする。また、今シーズンデビューしたドイツの「HWAレースラボ」チームは、ヴェンチュリーのカスタマーチームとしてレース車両の供給を受けて参戦する。従って、シーズン5ではZFのパワートレインを搭載した4台が、毎戦フォーミュラEのスターティング・グリッドに並ぶ。

ZFグループ全体のノウハウが成功の鍵

 ZFで、フォーミュラEの電動アクスル開発を担当するテクニカル・プロジェクト・マネージャー、トバイアス・ホフマン氏は以下の様に語っている。
「モータースポーツにおいては、ものすごい速さで技術開発が行われます。また、技術規定に関する詳細が明確になる前に開発を進める必要があったため、突発的なレギュレーション変更などへの迅速な対応力も要求されました。そんな中、成功の鍵はZFグループ全体でのプロジェクトへの取り組みです。Eモビリティ事業部を中心に、特にZFレースエンジニアリング社とZFのアドバンスエンジニアリング部門がこのパワートレインの開発に大きな役割を果たしました」

伝統的なノウハウと次世代のテクノロジーを融合

 ヴェンチュリーが搭載するシステムは、モータースポーツ専用の電動パワートレインとしてZFが初めて開発したもの。量産用システムと比較すると非常に高性能で高いトルクを有するフォーミュラEのパワートレインには、効率の良さも求められる。そこで新しいパワートレインは、電動モーターとトランスミッションの作動時における相互作用の最適化も念頭に開発された。

 つまりフォーミュラEでは出力上限が決められているため、パワーの効率的な伝達が非常に重要。「競争力向上のため、トランスミッション設計に大幅な変更を行いました。今シーズン用のトランスミッションは、ZFとして初めてシングルギヤ(1速)を採用するとともに、ハウジングには軽量合金を使用しました。その結果、昨シーズン用と比較して40%近くの軽量化を実現するとともに、パワートレイン全体での効率も向上しました」と、ホフマン氏は付け加えている。

 インバーター(パワーエレクトロニクス)も、ZFとして初めて高性能シリコンカーバイド・モジュールを使用して開発された。またケーシングは、全てカーボン繊維強化プラスチック(CFRP)で作られている。コントロールソフトウェアは量産車用をベースに数年にわたるテストを繰り返し、モータースポーツ向けの最適化を施している。

 ZFレースエンジニアリング社のノルベルト・オーデンダールCEOは、シーズン開幕にあたり以下の様に述べている。
「ショックアブソーバーやクラッチなど当社の伝統的な製品に加え、電動パワートレインのレースへの投入を通して、モータースポーツおよび電動モビリティにおける、特に過酷な環境下におけるZFの技術力を披露したいと考えています。そうした当社の方針に、フォーミュラEはベストな舞台を提供してくれるでしょう」

こんな記事も読まれています

RAYS FAN MEETING2024は圧巻の800台エントリー! 新製品も続々と注目のホイールデザインを初展示
RAYS FAN MEETING2024は圧巻の800台エントリー! 新製品も続々と注目のホイールデザインを初展示
レスポンス
ランドローバー、レンジローバー2025モデルの概要を発表
ランドローバー、レンジローバー2025モデルの概要を発表
月刊自家用車WEB
F1コミッション、ポイントシステム変更についての決定を延期。今季スペインGPでの新リヤカメラ導入では合意
F1コミッション、ポイントシステム変更についての決定を延期。今季スペインGPでの新リヤカメラ導入では合意
AUTOSPORT web
ラリー仕様の初代アルピーヌA110を手懐けてみた 求められるは「勇敢さ」 歴史アーカイブ
ラリー仕様の初代アルピーヌA110を手懐けてみた 求められるは「勇敢さ」 歴史アーカイブ
AUTOCAR JAPAN
【MotoGP】ヤマハ、カル・クラッチローによる3回のワイルドカード参戦を発表。イタリア、イギリス、サンマリノを予定
【MotoGP】ヤマハ、カル・クラッチローによる3回のワイルドカード参戦を発表。イタリア、イギリス、サンマリノを予定
motorsport.com 日本版
ホンダ「新型ミニバン」! 斬新「対面シート」&窓なしテールの「次期型オデッセイ」!? “超開放空間”実現の「スペースハブ」実現性は?
ホンダ「新型ミニバン」! 斬新「対面シート」&窓なしテールの「次期型オデッセイ」!? “超開放空間”実現の「スペースハブ」実現性は?
くるまのニュース
ランボルギーニのSUV『ウルス』に800馬力のPHEV登場…北京モーターショー2024
ランボルギーニのSUV『ウルス』に800馬力のPHEV登場…北京モーターショー2024
レスポンス
タフでおしゃれなアウトドア派クロスオーバー スマート「#5」初公開 年内市販化予定
タフでおしゃれなアウトドア派クロスオーバー スマート「#5」初公開 年内市販化予定
AUTOCAR JAPAN
もしや新型CX-5か!?  パキパキボディがイイね!!  しかもディーゼル廃止で全車電動化か!?【北京ショー】
もしや新型CX-5か!?  パキパキボディがイイね!!  しかもディーゼル廃止で全車電動化か!?【北京ショー】
ベストカーWeb
日産R35「GT-R」にコスパに優れた本格派ブレーキローターが誕生! 12ミリと14ミリのハブボルトに対応したスグレモノでした
日産R35「GT-R」にコスパに優れた本格派ブレーキローターが誕生! 12ミリと14ミリのハブボルトに対応したスグレモノでした
Auto Messe Web
トヨタ、テンセントと提携 AI技術生かしたサービス提供
トヨタ、テンセントと提携 AI技術生かしたサービス提供
日刊自動車新聞
ホンダ『イエ GTコンセプト』が初公開、4ドアクーぺEVで中国トレンドに真っ向勝負…北京モーターショー2024
ホンダ『イエ GTコンセプト』が初公開、4ドアクーぺEVで中国トレンドに真っ向勝負…北京モーターショー2024
レスポンス
バイクニュース今週のダイジェスト(4/22~26)
バイクニュース今週のダイジェスト(4/22~26)
バイクブロス
予想が外れるマクラーレン、ピアストリも“浮き沈みのワケ”解明が急務と指摘。タイヤへの負荷が影響か?
予想が外れるマクラーレン、ピアストリも“浮き沈みのワケ”解明が急務と指摘。タイヤへの負荷が影響か?
motorsport.com 日本版
一度は乗ってみたい! サイドカーは、通常のバイクにつけることができる?
一度は乗ってみたい! サイドカーは、通常のバイクにつけることができる?
バイクのニュース
なぜ免許とマイナカード「24年度末」に一体化? 紛失時はどうなる? 一体化でどんな影響ある?
なぜ免許とマイナカード「24年度末」に一体化? 紛失時はどうなる? 一体化でどんな影響ある?
くるまのニュース
「出遅れ」「巻き返し」「反転攻勢」EVめぐる話題が目白押し【新聞ウオッチ】
「出遅れ」「巻き返し」「反転攻勢」EVめぐる話題が目白押し【新聞ウオッチ】
レスポンス
ボルボ XC40、豪華仕様の限定車「プラス B3 セレクション」発売
ボルボ XC40、豪華仕様の限定車「プラス B3 セレクション」発売
レスポンス

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村