約3年10カ月ぶりに最高値を更新したガソリン価格ですが、いったん少し下がったものの、依然として高止まりが続いており、資源エネルギー庁が2018年10月31日に発表した最新の全国のガソリン店頭価格は、レギュラーガソリンが159.6円、ハイオクガソリンが170.4円となっています。
ここまでガソリンが高いと、クルマに乗るのを控えようと思ってしまう人も多いハズ。でも、ちょっと待ってほしい。ガソリン代を減らすため、少しでも燃費をよくするための運転術があります!
何がどう変わるのか!? これで決着 社外アルミホイールの実力と効果
さて、どんな運転術なのか、モータージャーナリストの鈴木伸一氏が解説します。
文/鈴木伸一
写真/ベストカーWeb編集部、Adobe Stock
出典/独立行政法人・国民生活センター
■「急」がつく走りは禁物、いかにムラなくスムーズに走らせるか
1Lのガソリンでどれだけ走ることができるかを表す「燃料消費率」、いわゆる「燃費」はクルマ本来の性能に大きく左右されるものの、それを扱うドライバーによっても変化する。
クルマの走らせ方は十人十色。しかも、体調によっても走りは変化するからで、同じクルマでもドライバーが異なれば燃費は違ってくる。発進・加速時の走り方が燃費を大きく左右し、ラフなアクセルワークを繰り返せば確実に悪化するからで、燃費を考えるなら「急」がつく走りは禁物だ。
そして、燃費をよくするカギは、いかにムラなくスムーズに走らせるかにある。筆者が過去に行ったテストの結果も交えて、どのような走りが燃費を悪化させ、どうすればよくなるのか検証していく。
1/無用な全開加速は極力、控える
燃費はアクセルワークの善し悪しで大きく変化する。アクセルの踏み方によって燃料と空気の混合比率「空燃比」が変化するからだ。
この「空燃比」、理論的には1gのガソリンを完全燃焼させるのに14.4~15.0の空気が必要(理論空燃比)と言われている。
ところが、スムーズに走らすためには運転条件に応じた「空燃比」を供給する必要もでてくる。例えば、エンジンの出力は12~13:1で最大(出力空燃比)となるため、最大負荷がかかるアクセル全開時には必然的に燃費が悪化する。
また、アクセルを全開まで一気に踏み込むと、瞬間的に空気の量が急激に増加するため燃料供給が追いつかず混合気が薄まって着火しにくくなる。そこで、一時的に8:1といった濃い「空燃比」となる制御が行われている。
このため、発進・加速をアクセル全開で行った場合、確実に燃費は悪くなる。過去に行った燃費テストで、0→50km/hを約6秒で加速した全開走行での燃費を、ハーフスロットル付近から軽く踏み込んで加速した場合と比較したことがある。
この際、約2秒余計にかかっただけで「52%」も燃費が悪化してしまったのだ。また、到達点まで倍の走行時間がかかったゆっくり加速した場合と比較してみると実に「71%」も悪化。燃費を気にするなら、無用な全開加速は控える必要がある。
2/走り出したらできるかぎり車速を一定に保つ
速度が安定してしまえば速度維持にはたいした出力はいらず、増速に要する出力も通常の加速時に比べれば微々たるもので済む。
このため、負荷の軽い中高速時には燃料の消費率が最低となる「経済空燃比(16~17:1)」となる制御が行われている。アクセル開度にするとおおむね3/5以下で、その範囲で速度を安定させれば燃費は向上する。
これを利用したエコランテクニックの1つが「できる限り車速を一定に保つ」という走り方で、これを確かめるべく走行車両が少なくなる夜間の高速道路上で一定速度と、スピードを増減させた場合の燃費測定を過去に行ったことがある。
その結果、「経済空燃比」の範囲内におけるアクセルワークのムラだけで「1.5km/hの燃費の悪化」を引き起こした。それだけに、アクセル全開での加速が必要になるほどの不安定な走りが加われば、さらなる燃費の悪化は火を見るよりも明らか。走り出したら可能な限り車速を一定に保つことが大切だ。
とはいえ、一定の速度を維持するためには微妙なアクセルワークが不可欠。一般ユーザーの場合、一定の速度で走らせているつもりでもプラスマイナス10km/hくらいの速度差は生じてしまう。また、交通量の多い一般道では減速せずに走らすことは不可能に近いのが現実。
このため、テクニックとかなりの忍耐が必要となる。そのテクニックとは、前車との距離が離れたとしてもアクセルを軽く踏み込む程度にゆっくり加速。接近しそうになったらエンブレを利用してゆっくり減速する。
つまり、ブレーキを踏む必要が生じるほどの加・減速をすることなく、周囲のクルマの流れに合わせるということ。また、高速道路の単調な走りでは路面の高低差で速度変化を生じやすいため、車速に変化がないかスピードメーターをこまめに確認することが大切だ。
3/エンジンブレーキを効果的に利用する
走行中にアクセルを閉じるとエンジン内部の機械的な抵抗などによって減速効果が得られる。
これが「エンジンブレーキ」、通称「エンブレ」の正体で、エンブレ時はエンジン回転数が高止まりし、状況によっては上昇するため「燃費がかさむのでは?」と、考えているドライバーは意外に多い。
しかし、そんな心配は無用。「エンブレ」の最中はエンジンは仕事をしていない状態にあり、回転数が高くても燃料消費量は極端に低下する。
しかも、一定の回転数以上にあるときはコンピューターが減速時であることを感知して燃料の供給を止める「フューエルカット」が作動するからで、燃費を考えるならむしろ積極的に利用するべき。
「エンブレ」で速度調整を行いつつ走らせればギクシャクした加・減速がないぶん、スムーズに走れ、燃費的にはむしろ有利となるからだ。
4/不要な荷物は降ろす
重量が増加すると発進・加速時により多くのパワーを必要とするため、発進・加速・停止が繰り返される走りでは燃費が悪化する。
このため、発進・加速・停止を繰り返す街中の走りは、無駄な荷物は燃費を悪化させる原因となる。過去に行ったテストでも街中の走行を想定した短い距離で発進・停止を繰り返す走りを2名乗車時と、荷物の代わりに乗員を増やした4人乗車とで比較した結果、なんと約1/10まで低下してしまった。
ただし、これはかなりハードな状況下でのデータで、走行条件によってはこれほどの差はでない。
重量が増加すると慣性モーメントが高まることで走り始めてしまえば勢いがつくため、平坦路における定速走行ではそれほどの影響は受けないからだ。
また、重量が増加すると制動距離が伸びるため、ブレーキング時間が伸びることで燃料カットが働く時間も長くなり、状況によっては燃費に有利に働くこともある。
それゆえ、一概に重量増が燃費に悪いとはいえないのも事実だが、短い距離でゴー&ストップを繰り返す街中や渋滞路の走りでは確実に悪影響する。燃費を優先するなら不要な荷物は降ろしておくことが大切だ。
5/タイヤの空気圧を定期的にチェックする
タイヤの空気圧が少ないと接地面積が増加し、サイドウォールにタワミが発生することで「ころがり抵抗」が増加。より多くの駆動力が必要となるため、必然的に燃費は悪化する。
これを確かめるべく私が過去に行ったテストでは既定値の200kPa(2.0kgf/cm2)に対し25%落としの150kPas(1.5kgf/cm2)で走行した場合、8.4%もの燃費の低下を招いた。
■指定空気圧と30%低い空気圧で行った比較テストで30%低い空気圧は燃費が8.5%悪化
国民生活センターが実施したテストでも「タイヤの空気圧が指定空気圧よりも30%低下した状態で走行すると、指定空気圧の状態で走行した場合に比べて、8.5%も燃費が悪化する」という結果が出ている。タイヤの空気圧は正常な状態でも自然に低下するため注意が必要だ。
その低下率、走行中も監視可能な空気圧モニターシステムで長期間、継続してモニターした経験から1カ月平均10kPa(0.1kgf/cm2)は低下することを確認している。
それゆえ、できれば1カ月に1度、最低でも半年に1度はチェックする必要がある。
ちなみに、必要以上に幅の広いタイヤを組み付けたり、ホイールアライメントの狂いなどもころがり抵抗が増える原因となり、燃費を悪化させる要因となる。
また、希にあるのがブレーキの引きずり。キャリパーの戻りが悪いとタイヤの回りが重くなり当然、燃費は悪化する。
ハンドルを取られるなど思い当たることがあったり、年数が経過したクルマでメンテナンスを怠っていたなら、念のためプロに点検を依頼したい。
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