2025年を目途に、トヨタが国内で販売する約60車種を半減させると報じられてきたが、今日11月1日、2022~2025年を目途に、原則、全販売店で全車種併売化を実施すること、先行して東京のメーカー直営販売店4社を2019年4月より統合し、全国に先駆け全店舗で全車種を販売することが発表された。
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これで「全店舗で全車種を取り扱うかわりに、車種を減らす」という流れが明確となった。
当サイトでも、これまでその真意を追ってきたが、車種半減で実際に「残る車、消える車」はどのトヨタ車となるのか? 実は単に車種が廃止されるだけでなく、姉妹車が統合されるケースもあり、人気車が消滅の危機を迎える可能性もありそうだ。
文:渡辺陽一郎、編集部
写真:編集部、TOYOTA
ベストカー 2018年11月10日号
廃止・統合されるのは“似た車種”
トヨタのホームページに掲載される乗用車は、ハイラックスやハイエースを含めて35車種だ。約60車種とするにはOEM軽自動車(5車種)、商用車(8車種)、レクサス車(11車)も該当する。従ってトヨタブランドの乗用車だけを半減するわけではないが、その内容を考えたい。
真っ先に廃止や統合されるのは、性格の似ている車種だ。姉妹車はその典型で、ノアとエスクァイアを削ってヴォクシーに統合する。ヴェルファイアも廃止してアルファード、タンクも同様でルーミーを残すという具合だ。
次は人気車と性格の似た不人気車を削る。セダンの需要は大幅に減るから、3ナンバーサイズに拡大される次期カローラアクシオがあれば、プレミオとアリオンは不要だ。
海外で旺盛に売られるカムリを残すなら、マークXもいらない。ただし、マークXは後輪駆動車でスポーティな性格だから、廃止に備えてカムリに「WS」グレードを加えた。
背の高いコンパクトカーは、ルーミーがあれば、ポルテとスペイドも不要と判断されるだろう。ポルテとスペイドは左側にスライドドアを備え、この部分の床面地上高は300mmと低いから、乗降性が抜群にいい。福祉車両の機能を併せ持つ良心的な商品で廃止すべきではないが、売れゆきは伸び悩む。ルーミーに吸収される可能性が高い。
ヴィッツは海外ではヤリスとして、コンパクトカーの主力車種になる。すでにハイブリッドも設定したから、同サイズでハイブリッド専用車のアクアは不要だ。今の売れゆきは堅調だが2025年には下がる。パッソもヴィッツと軽自動車の中間に位置するが、特徴が曖昧で削られる可能性がある。
プリウスαは海外でもプリウス+として売られるが、機能は中途半端だ。
一方、ランドクルーザーやランドクルーザープラドは、販売台数は少ないが業務用のニーズが根強い。悪路走破力が高いから、廃止すると業務に危険が生じたり、災害救助活動が妨げられる心配も生じる。こういった車種は、公共の利益のためにも廃止できない。
また、どのクルマもニーズがあるからこそ、一生懸命に開発されて世の中へ送り出された。車種の廃止は残念で、選択肢が減るからユーザーの不利益を招く。可能なかぎり廃止しないよう尽力すべきだ。
【車種別動向】トヨタ車で残る車、消える車は?
このように、車種の統合・廃止によるラインナップ整理が、今後進んでいくのは確実な情勢だ。では、具体的に「残る車」と「消える車」は、どの車種になるのか? 【継続】、【微妙】、【廃止】の3段階で現在、日本でラインナップされているトヨタ車の今後を占う。車種別の動向予想は以下のとおり。
【継続】センチュリー/唯一無二の存在。なくなる可能性はない。
【継続】クラウン/伝統のクラウンはなくなるわけがない。
【継続】86/次期型はスバル BRZ主流で開発との情報あり。
【継続】カムリ/マークXより売れているので残る。
【継続】プリウス/社運を賭けたクルマ。今後も残るだろう。
【継続】プリウスPHV/今後、重要なモデルとなるので残ることが確実。
【継続】カローラアクシオ/2019年に一新されるので確実に残る。
【継続】カローラフィールダー/ステーションワゴンカテゴリーは必要。残るだろう。
【継続】カローラスポーツ/今後の発売次第だが、残る可能性大だ
【継続】シエンタ/広々として使い勝手も良く販売好調。残る可能性大だ。
【継続】ヴィッツ/コストパフォーマンスが高く、需要も大きい。残る可能性大。
【継続】アルファード/兄弟車はいずれ1つに絞られることが確実
【継続】ハイエースワゴン/なくてはならない商用車。乗用ワゴンとしても残る。
【継続】ヴォクシー/販売台数は姉妹車のノアより多い。こちらが残る可能性大だ。
【継続】ランドクルーザー/世界で需要のあるブランド。確実に残る。
【継続】ランドクルーザープラド/ランクル同様の理由で、プラドも確実に残る。
【継続】ハリアー/SUV人気のなか売り上げも好調。このクルマはなくならない。
【継続】C-HR/販売が好調なので、このクルマも確実に残る。
【継続】MIRAI/トヨタが社運を賭けたクルマ。今後を考えても確実に残る。
【継続】ルーミー/姉妹車のタンクか、ルーミーか。どちらかに統合されるが、こちらは残る可能性が高い。
【微妙】プリウスα/派生モデルとなるので、残るかどうか微妙な雲行きだ
【微妙】パッソ/現時点ではとりあえず需要があるため、判定としては微妙。
【廃止】マークX/現行型はモデルも古くなっており、存在感は薄い。消滅の可能性も。
【廃止】プレミオ/2018年8月の販売台数は707台。マークXと同じ運命を辿るか。
【廃止】アリオン/残念ながら姉妹車のプレミオと同じく、マークXと同じ運命か?
【廃止】アクア/他のモデルにバトンタッチしそうだ。
【廃止】ポルテ/シエンタが残ると消滅の可能性が大だ。
【廃止】スペイド/姉妹車のポルテ同様、消滅の可能性も。
【廃止】エスティマ/その座を人気車のアルファードに譲り、消滅か。
【廃止】エスティマハイブリッド/ベース車が消滅するとなれば、こちらも消滅するだろう。
【廃止】ヴェルファイア/姉妹車のアルファードに統合されるなら消滅確実だ。
【廃止】ノア/姉妹車のヴォクシーを残し、こちらが消滅となる可能性も
【廃止】エスクァイア/ヴォクシー、ノアの姉妹車だが、立ち位置は微妙。消滅の可能性大だ。
【廃止】ハイラックス/海外では生産されても、日本国内モデルは再び消滅となる可能性が高い
【廃止】タンク/販売台数ではルーミーに負けるため、統合となれば廃止も。
[判定/渡辺陽一郎]
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