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業界ニュース 2018.10.25

乗員守る「エアバッグ」は知っている しかし補助装置との認識なく展開時に大けがをすることも

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■クルマに興味なくてもエアバッグは知っている

 衝突事故が起きた際、瞬時に展開しドライバーの命を守るのがエアバッグです。現在では一部の車種を除き、運転席及び助手席のエアバッグはほぼ全車種に標準装備されています。私たちがクルマを安心して運転するための重要な装備であり、誰もが知っている装置のうちのひとつです。しかし、実際にエアバッグが展開する程の事故に遭遇したことがある人は、そう多くはないかもしれません。

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 クルマに興味がある人もない人も、「エアバッグ」という言葉は知っている人は多いと思いますが、衝突時の安全装置としての認識しかないことがあります。エアバッグはどのように展開し、ドライバーにどのような影響を与えるのでしょうか。

■エアバッグは瞬きよりも早く開く!

 エアバッグが日本車に普及し始めたのは1990年代で、過去には日産がクルマではなくエアバッグをメインにPRするCMを放送していたこともあり、エアバッグは知名度を上げていきました。

 エアバッグは、コンクリートの壁のような強固な構造物などに時速20km/hから30km/h程度以上の速度で正面衝突した場合、その衝撃で展開し、乗員がハンドルやダッシュボードに頭や体を直接打ち付けるのを防ぐ役割をしています。

 エアバッグを構成する部品は主に「センサー、コントロールユニット、インフレーター(ガス発生装置)、エアバッグ本体」の4つです。

 事故の衝撃を感知するとセンサーが反応し、コントロールユニットがエアバッグを展開する必要の有無を判断します。

 エアバッグを展開する必要があると判断された場合は、インフレーターに点火をします。点火されたインフレーターはガスを発生し、エアバッグが時速100km/hから300km/hの速度で一気に膨らみます。その間はおよそ0.03秒といわれています。その後、エアバッグの後部にある「ベントホール」と呼ばれる穴からガスを放出し収縮します。

 現在、国内で使用されているエアバッグは、「SRSエアバッグ」と呼ばれています。SRSとは“Supplemental Restraint System”の略称で、「補助拘束装置」という意味があります。

 エアバッグ単体で効果を発揮するイメージを持っている人も少なくはないかと思われますが、あくまでシートベルトのはたらきを補助する装置であり、エアバッグはシートベルトを装着していることを前提としてとした上で、初めて効果を発揮することができます。

 シートベルトを装着していない状態でエアバッグが展開すると、エアバッグによるけがや、最悪の場合、命を落としてしまう恐れもあります。

■エアバッグにより怪我をする可能性もある?

 急な衝突事故に対応するため瞬時に展開し、私たちの命を事故から守ってくれるエアバッグですが、勢いよく展開することが、時にけがの原因にもなってしまうことがあるようです。

 エアバッグは、ダミー人形を使用した衝突実験で見るイメージが強いですが、スローモーション撮影のため、ふわっと広がり、頭や体をやさしく包み込んでいるように見えてしまいます。しかし、実際は新幹線並みのスピードで展開し、高速で移動してくる体を支える事が出来るほど丈夫なナイロン繊維でできており、決して柔らかくありません。

 例えば、速度域が低い時に起きた衝突事故で、エアバッグが展開したことにより、腕の骨を折ってしまったり、擦過傷や火傷してしまう可能性もあります。

 また、ハンドルの位置に対して座高が低い場合、エアバッグが展開した際に顔面に当たり、弾みで頸椎を損傷してしまうといったケースもあるといいます。こういった事例が、独立行政法人国民生活センターによせられているようです。

■やさしく保護するため改良されている最新のエアバッグ

 では、低速走行中で事故が起きてしまった場合など、エアバッグによる乗員の怪我を防ぐことはできないのでしょうか。国内大手のエアバッグを製造しているメーカーである豊田合成株式会社(以下:豊田合成)に話をうかがいました。

──低速走行中の事故で、展開したエアバッグによる怪我をなくすことはできないのでしょうか。

 命に関わる事故が起きた際、乗員の体を拘束することで、命を落すのを防ぐことがエアバッグとシートベルトの役割です。致命傷を負うような事故は、すごいスピード域で起こります。そういった事故で頭を強く打ち付けてしまう、ということがないよう、エアバッグは0.03秒で開きます。そうしないと人がハンドルやフロントガラスなどに頭をぶつけてしまい、最悪の場合は亡くなってします。

 確かに、怪我を負わないことが理想ですが、エアバッグはすごい勢いで開き、衝撃を受け止めるということが目的で、怪我をゼロにできるようになっているかというと、そうではありません。

──乗員をやさしく保護するための改良などはされていますか。

 エアバッグは前からだけではなく、横から保護する「サイドエアバッグ」というものがあります。従来は膨らむ際に、エアバッグの袋が2つの部屋に分かれている構造だったものを、3つに分けることで、より内圧を調整できるようになりました。圧力を調整することで展開時の衝撃が少なく、胸の部分を柔らかく保護するといったことができるようになりました。

※ ※ ※

 豊田合成では近年、アメリカ向けにクルマが横転して道から転げ落ちてしまうような事故に対応したエアバッグを開発しているそうです。一瞬で開き、すぐに収縮する従来のエアバッグとは異なり、クルマが回転している間、頭部を受け止めるために、長い間ガスをバッグにためておく必要があるといいます。

 今後の予定として「クルマが回転している間も頭部を守る必要があるなど、過酷な衝突形態にも対応していき、より優しく乗員を保護するといった新しい事例にも対応したエアバッグの開発も進めています」と話します。(豊田合成)

 エアバッグは、乗員の命に係わるほどの事故で、衝突の衝撃から乗員を守るために装備されています。しかし、すべての衝突事故から乗員の身を守ってくれる万能なものではありません。

 また、エアバッグが有効に働くために、シートベルトだけでなく正しい乗車姿勢も重要なポイントです。

 いまではエアバッグの種類も増えてきており、車内に展開するものだけでなくボンネットにエアバッグが展開される「歩行者保護エアバッグ」も存在し、乗員だけでなく、歩行者保護のためのエアバッグも少しづつ増えてきています。先進安全装備によって、事故を起こさない技術が日々進歩していますが、エアバッグもまだまだ進化していくでしょう。

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(くるまのニュース くるまのニュース編集部)

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