レクサスが新型「ES」を発表した。北米市場ではひと足先にデビューしており、満を持して日本に導入された。
新型ESがうたうのは「上質な快適性」。全長は4975mmで堂々たるサイズを持ち、FF(前輪駆動)の4ドアセダンである。レクサスのサルーンの系列では、トップのLSのすぐ下に、FR(後輪駆動)サルーンの「GS」とともに位置する。
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海外ではガソリンエンジンのみを搭載するモデルもあるが、日本には2.5リッター直列4気筒ガソリンエンジン+モーターを組み合わせたハイブリッドモデル「ES300h」のみが販売される。スタイリング面ではクーペ的なファストバック調であることが目を惹く。躍動感があって若々しい。インテリアは最新のレクサスに共通するドライバー・オリエンテッドなもので、クオリティと操作性を両立しているという。
特筆すべきは居住性だ。FFなのでドライブシャフトがフロア下部を通ることがないため、とりわけ後席の居住性に優れる。広さだけでいえば、ひとつうえのクラスのLSの標準ボディにも匹敵する。ラゲッジスペースも十分に広く、9.5インチのゴルフバッグを4つ呑み込むという。容量は443リッター。ハイブリッド用のバッテリーはリアシート下部に格納されている。
7代目のESは、成り立ちこそ先代と同じく余裕あるサイズのボディに前輪駆動方式の組み合わせであるが、プラットフォームはまったく新しい。「GA-K」なる新世代のプラットフォームで、エンジン横置き車および前輪駆動用に開発された。
おなじプラットフォームを使うモデルにトヨタ カムリがあるので、ESをして“カムリのレクサス版”と評する向きもあるが、内容は大きく異なる。ボディサイズがひとまわり大きいだけでなく、カムリにはないさまざまな新技術が盛り込まれているからだ。
ひとつは「世界で初めて量産車に採用した」とうたう「デジタルアウターミラー」だ。従来のミラーの代わりにカメラを使って車側後方の状況を可視化するもので、車両のフロントドア外側に設置したドア・ミラー状のカメラが把握した左右後方の映像を、Aピラーの付け根あたりに設置した5インチモニターに映し出す。
「天候の影響を受けにくい優れた視認性」と、レクサスはうたう。夜間や降雪時に便利そうだ。くわえて「(従来のミラーを薄型カメラのハウジングに置き換えたので)斜め前方の視界を拡大するとともに、風切り音低減による高い静粛性を実現した」ともいう。
発表前に試す機会があった。ミラーのほうに眼をやるとそこにモニターがついていて、鏡に映る光景と同じ画が映る。ちょっと異様なかんじであるが、慣れの問題だろう。
もうひとつ注目すべき技術は「スウィングバルブショックアブソーバー」だ。ハンドリングと乗り心地を向上させるためのものである。デジタルアウターミラーとともに、現時点ではESのみ採用する。
機構としてはオイル流路に工夫をしており、非着座式のバルブを設ける。ごく薄い小さなパーツであるが、このバルブがダンパーを機能させるオイルの流量を絶妙にコントロールする。「微少な動きに対しても流路抵抗による減衰力を発生させる」と、レクサスは述べる。
米国での試乗会のときは、「街中でコーナーをひとつ曲がっただけで違いがわかりますよ」と、サスペンションシステムの開発者は自信を見せていた。日本でも、その違いを実感できるかが楽しみだ。
また、走行中のタイヤノイズをうまく吸収し、静粛性に寄与する中空ホイールを一部グレードでは採用していて、多くの点で上質性を追求したモデルであることがわかる。
「新型ESの開発に際し、ベースとなった考えは、運転の得手不得手に関係なく、乗ったときに”いいな”と感じていただけるクルマにすることでした」。メディア向けの事前の説明会で、榊原康博チーフエンジニアはそう語った。確かに、乗り込んだ瞬間、「いいクルマだなぁ」と、感じるクオリティの高いインテリアは印象的だった。
そんな新型ESは3つのグレードを用意する。標準モデル(580万円)にくわえ、装備が豊富な「version L」(698万円)と、サスペンションセッティングなどをやや硬めにし、スポーティな雰囲気が特徴の「F SPORT」(629万円)をラインナップする。
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