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業界ニュース 2018.10.14

DS3 クロスバックの超エクスクルーシブなアンヴェールに立ち会いながら考えたこと

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「あ、ちょっと待って、写真を撮るから」。そう伝えると、DS3 クロスバックのプロジェクト・マネージャーのエチエンヌ・ムナン氏とマーケティング・ディレクターで副社長のエリック・アポッド氏の2人は、「そうだよな」という顔をして、声に出さないながらも視線を交わすと、せーので呼吸を合わせて、ゆっくりと幕を上げ始めた。

この時、観衆として居合わせたのは筆者ともうひとりの日本の専門誌の編集者の2人だけで、会場ではなく閉じられた空間内とはいえ、それはそれは贅沢なアンヴェールといえたのだが、やはり除幕の瞬間に立ち会うという体験の、特別さを意識しない訳にいかなかった。

    あなた、本当に「コンパクトSUV」が欲しいの?「ちょっと変わったコンパクトカー」が欲しいんじゃなくて?

クルマそのものも無論のことだが、幕を取り払う前後の彼らの表情、つまり造り手が自分の作ったプロダクトを世に送り出す時の、特別な緊張感と誇りが、このようなお手製のアンヴェールを通じて垣間見えた。おそらく普段のモーターショーのアンヴェールで、色とりどりの照明や効果音や音楽の鳴り響く演出の入った中では、気づきにくかったニュアンスだと思う。

ファッションショーなどでランウェイだけではなく、モデルやスタイリスト、メイクらが忙しく立ち働く楽屋裏の現場を取材させてもらうことがあるが、今回の超エクスクルーシブかつプライベートなDS3 クロスバックのアンヴェールは、それに近いものがあったのかもしれない。

今どきのモーターショーには、様々な「ショーの目玉」といえる車種が現れるが、ごく一部の富裕層や熱心なファンに向けられたスーパーカーとは別に、販売ボリュームの大きいカテゴリーとしてDS3 クロスバックは間違いなく、2018年のパリでのモーターショーでの目玉の1台といえる。

アウディQ2やミニ・カントリーマンに競合するプレミアムSUVというだけでなく、内燃機関エンジンのパワートレイン以外に、ピュアEV版である「DS3 クロスバック E-TENSE」も2019年中に欧州市場に登場することがアナウンスされている。

50kWhのリチウムイオンバッテリーに136psの電気モーターによる前輪駆動で、普通充電で5時間、急速充電30分で約80%容量を回復し、現行の燃費表示で450km、新燃費基準のWLTPモードでも300kmの航続距離を謳っている。内燃機関はガソリンとディーゼル両方あるが、日本に導入されそうな有望株は3気筒1.2リッターターボを新たなチューンでまとめたピュアテック155ps仕様で、8速ATと組み合わされる。

DS3 クロスバックの新しさは、それだけではない。市販車ではテスラぐらいにしか採用例の見当たらないポップアップ式ドアハンドルや、ハイエンドな輸入車で数多く採用されているマトリックスLEDヘッドランプを採用している。前者はキーを携えて半径1.5mぐらいに近づけばドアハンドルがスッと出てくる仕組みで、後者は照射範囲を走行状況に応じてインテリジェント制御する機構だ。これが欧州Bセグメントという、大衆車のカテゴリーに投入されるのだから、気前のいい話ではある。何せDS3 クロスバックの車幅は1800mmに満たない、日本の立体駐車場に入りそうなほどコンパクトなSUVなのだ。

加えてDS3 クロスバックは、「コンパクト・モジュラー・プラットフォーム(CMP)」という新開発プラットフォームを、プジョーとシトロエンを擁するPSAグループ内で最初に採用した車種となった。その上のCセグメント以上のクラスからは、プジョー3008に相当するEMP2プラットフォームが用いられていることは知られているだろう。おそらくはEMP2プラットフォームの大成功を踏まえて、かなり軽量・低重心・高剛性に仕上がっていることが予想される。

ちなみに同じく2種類のモジュラー・プラットフォーム戦略は、ボルボがSPAとCPAで展開しているが、こちらのふたつのプラットフォームの境界線はCセグとDセグの間、対してPSAグループはB セグとCセグの間となった。寒冷な気候ゆえに伝統的に排気量の大きい=熱量を生みやすいクルマが好まれる北欧側と、Bセグ以下のコンパクト・クラスに重きを置くラテン圏という、地域柄の違いが鮮明に出たポイントといえるだろう。

かくして、先んじてDS3 クロスバックに実際に触れてみて考えさせられたことは、おそらくルノー5バカラ以来であろう、こうして久々に現れた「フランス製の小さな高級車」の趣は、実際に見て、触れてみないと分からない、ということだ。モーターショーがオワコンになった、インターネットで詳細な写真ならほとんどすべて見られる、そんな声がますます増えているし、現に今回のパリでは欧州や日本のメーカーでもかなりの欠席が目立つ。

とくに新しく世に問うものがないタイミングであるなら出展する意味がない、そうした理屈ならまだ話は分かる。だが、自動車のメーカーがモーターショーに出てこないというのは、「足を運んで人に会いに行く」あるいは「何かを見に行く」といった行為を避けているというか、哲学的に自らの生業を否定していることにならないのか?

インターネットでバズってるだけで車の販売台数を増やすのも結構だが、今回DS3 クロスバックのお手製アンヴェールは、自動車のビジネスがもっと貴重なものであることを示してくれた。

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(GQ JAPAN 南陽一浩)

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