■幅広いバリエーション展開で市場ニーズに応えた4代目シビック
中国・北京の天安門広場で学生によるデモが起こったり、大韓航空機爆破事件が発生するなど政治的な揺らぎが増える中、レーシングドライバー中嶋悟が日本人として初めてF1にフル参戦を始めた1987年、ホンダはシビックシリーズの4代目となる「シビック」を発売しました。通称「グランドシビック」です。
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3ドアハッチバックモデルでは3代目と同様に、ロングルーフでありながらもテールエンドを切り落としたような特徴的なシルエットと丸みを帯びたラインと、ワイドになった車幅で安定感も増したことで、先代に続くヒット作となりました。
4代目シビックは先代までと同様にFF駆動を基本(3ドア以外には4WDモデルも存在)とした3ドアと4ドア、そしてリアラッゲージスペースの広い5ドアワゴンの「シビック・シャトル」と、その商用モデル「シビック・プロ」がラインナップされています。
エンジンは3代目から引き継いだ1.6リッターの直列4気筒DOHC16バルブとSOHC16バルブに加えて、新開発の1.5リッター直列4気筒SOHC16バルブ(シングルキャブレター仕様とデュアルキャブ仕様の2種)、1.3リッターSOHC16バルブのD13B型を追加し、スポーツドライビングからシティコミューター、商用利用までと幅広いニーズに応えることで、同じく1987年の5月に発売されたトヨタの6代目「カローラ」シリーズ(E90系)を追随しました。
また、3代目から続くスポーティグレード「Si」に搭載されたDOHC16バルブエンジンは、最高出力130PSまで高められ、ライバルたちの高出力化に対抗していました。しかし、1985年に追加投入された140PSを誇るDOHC16バルブターボエンジン(B6型)を搭載した、6代目マツダ「ファミリア GT-X」(BF型)には届きませんでした。
■量産自然吸気エンジン初の排気量1リッターあたり100馬力の高出力を得た「SiR」
1989年にホンダは可変バルブタイミングシステム「VTEC」を開発し、自然吸気1.6リッターながら160PSを発揮するエンジン(B16A型)を搭載して、「インテグラ XSi」(DA型)を発売しました。
そして、このクラス最強のエンジンを、「インテグラ」よりも軽量なボディを持つ4代目「シビック」に搭載した「SiR」が発売されます。「グランドシビック」はスポーツドライビングを好むユーザーに幅広く受け入れられました。 ちなみに、4代目シビックのボンネットは中央部分が一段低くなっていましたが、「SiR」からは「B16A型」エンジンを搭載するためにボンネット中央部分が一段高くなっています。
当時の市販車では驚異的ともいえる8000rpmまでの回転数を許容したことで「胸のすくような加速感」を得られたB16A型エンジンは、そのスピードに魅せられた若者たちを虜にしていきました。
バブル絶頂期の大阪環状線では、毎晩のように10台以上のシビックが爆音を立てながら一般車の間を縫って走るようになり、社会問題にもなったほどです。
この4代目「シビック」は軽量なボディに高回転高出力のエンジンを搭載することで、当時常勝を誇っていたホンダF1とイメージが重なり、「シビック=スポーツ」という図式が、より浸透していきました。
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