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世界遺産級の名車が競演!──グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードのメインイベント「ヒルクライム」<後編>

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世界遺産級の名車が競演!──グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードのメインイベント「ヒルクライム」<後編>

今年、記念すべき25周年を迎えた「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(FoS)」のメインイベントのひとつが「ヒルクライム」だ。

珠玉の名車が走る同イベントについては前編を参照してほしい。後編では、2座席のレーシングスポーツカーおよびGTカーを中心に紹介する。

世界遺産級の名車が競演!──グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードのメインイベント「ヒルクライム」<前編>

6.EARLY ENDURANCE RACERS第2次大戦後から1960年代まで、ル・マン24時間レースに代表される耐久レースを闘ったレーシングスポーツカー/GTカーたちによって構成されたカテゴリーだ。メルセデス・ベンツ300SLR(1955年)

1954年からF1GPに復帰したメルセデスの主戦兵器「W196」の2座席スポーツカー版だ。1955年の「ミッレ・ミリア」や「タルガ・フローリオ」などで連戦連勝を果たしたものの、同年のル・マンで大惨事を巻き起こした当事者となってしまったことで、悲劇のマシンとも言われる1台である。ただし、その歴史的価値は計り知れないもので、現在では現存する車両のすべてがメーカーによって大切に維持されている。復刻版「ミッレ・ミリア」をはじめ、世界各国のクラシックカーイベントで絶大な人気を博している。

推定マーケット価格:推測不能

●フェラーリ250GTO(1962年)

同車は1962年から1964年まで、FIAスポーツカー選手権GTクラス3連覇を果たした。フェラーリ250GTシリーズにより空力の優れたボディを載せ、250テスタロッサ用の3リッターV12エンジンを搭載した、極めてピュアなレーシングGTである。

また持ち前の獰猛な美しさも相まって、エンスージアストの心を鷲掴みし、近年では国際オークションにおける高額落札の世界記録を更新し続けていることでも知られる。

ちなみに今回の出走車両は、プログレッシヴロックの伝説的バンド「ピンク・フロイド」ドラマーにして、世界的エンスージアストとしても有名なニック・メイソン氏の所有車である。

推定マーケット価格:30億円~70億円

●シェルビー・コブラ・デイトナクーペ(1964年)

1963年にデビューしたACコブラに、コブラの生みの親・故キャロル・シェルビーの命で、より空力的なクーペボディを組み合わせたGTマシンだ。

1964年にレースデビューののち、翌65年シーズンにFIAスポーツカー選手権GTクラスの製造者部門タイトルを獲得。フォードの宿敵フェラーリの4連覇を阻む原動力の一翼を担った。

全車両が、日本人を含む個人コレクターによって所蔵されていることから、国際オークションにも度々出品され、その度に高値がつくことでも知られるクルマである。

推定マーケット価格:10億円以上

7.AMERICAアメリカの誇り「インディ500マイル」とそのシリーズ戦、あるいは1960~1970年代に全世界のレースファンを熱狂させた「Can-Am選手権」など、北米大陸を舞台とするレースで活躍したアメリカンマシンたちが集うカテゴリーだ。●シャパラル・シボレー2E(1966年)

1960年代、欧州のメーカー系ワークスチームの独占する世界スポーツカー選手権にあって、独立コンストラクターながら互角以上の戦いぶりを示したシャパラルは、シボレー製V8エンジンにトルコン式ATを組み合わせるなど、独創的なマシンづくりで名を馳せた。

この2Eはアメリカ大陸を舞台とするCan-Am選手権用マシン。現代のレースシーンでは当然となっているリアウイングを、史上初めて採用したことでも知られている。

推定マーケット価格:推測不能

8.SPORTS RACERS 1966-2000その名の通り、1966年から2000年のスポーツカー耐久レースを闘った「グループ6プロトタイプ」や「グループC」、あるいは「LMP」カーなど、近代のレーシングスポーツカーによって構成されるカテゴリーだ。●フォードGT40 MkII(1966年)

「打倒フェラーリ」を旗印に、フォードが英国ローラ・カーズ社とともに開発したレーシングスポーツだ。1964年にレースデビューののち、1966年から1969年までル・マン24時間レースで4連勝を達成した。

アメリカンV8エンジンが世界レベルのモータースポーツでもコンペティティヴであることを証明したことから、今なおアメリカを中心に神格化にも近い尊敬を集めている。

今回の出走車両は、おそらく最も有名なGT40だろう。ブルース・マクラーレンらのドライブで走ったのは、1966年のル・マンで優勝したGT40MKIIだ。

推定マーケット価格:推測不能

●マトラ-シムカMS640(1969年)

1968年からル・マン24時間レースおよびFIAスポーツカー選手権に参戦開始したフランスのマトラ・スポール。同社が開発した第3世代のレーシングプロトタイプだ。初代MS620から継承した空力的なクローズドボディ車で、1969年のル・マン直前におこなわれたテストディのみでお蔵入りとはなったものの、歴代のマトラMSシリーズの中でも最も美しいと評される。

自国の誇り、ル・マン24時間レースにて長らく国産の総合優勝車を輩出することができなかったフランスにおいて、1972、1973、1974年に3連覇を果たしたマトラは格別の尊敬を受けることになった。

また、自社製V12エンジンの発するサウンドは「世界一美しい」と言われ、世界中に熱狂的なファンを有する。

ちなみに、現状でフランスに生息するすべてのマトラMSは事実上の重要文化財とみなされており、政府当局の判断でフランス国籍を持たないものには譲渡が許可されないとも言われている。

推定マーケット価格:推測不能

●アルピーヌ・ルノーA442B(1978年)

1970年代後半のスポーツカー耐久レースを席巻したポルシェ936と唯一互角の争いを展開したのが、ルノーの後ろ盾を得たアルピーヌだった。「魔術師」と呼ばれたエンジンチューナー、アメデ・ゴルディーニとともに、長らくターボチャージャーの研究を続けてきた成果として誕生したグループ6スポーツカー「A442」の改良型A442Bは、1978年のル・マン24時間レースにおいてディディエ・ピローニ/ジャン‐ピエール・ジョッソー組のドライブで総合優勝を果たした。 

同車は現在、ルノーが所有する。マトラの事例と同様、おそらくフランス国外に売却されることは不可能な、実質的重要文化財の1台とされている。

推定マーケット価格:推測不能

●ランチア・ベータ・モンテカルロ・ターボ

1976年以降、FIAスポーツカー選手権が市販スポーツカーをベースとするグループ5、通称「シルエット・フォーミュラ」時代に活躍したマシンだ。

1979年の「ジーロ・ディタリア」で実戦デビューし、1、2位フィニッシュを果たした。その後も、上級クラスのポルシェ935とも時には対等に渡り合う速さを見せ、2リッター以下のクラスではデビューシーズンの1979年から1981年まで製造者部門タイトルを連覇した。

また、ポルシェ935をはじめとするモンスターが跳梁跋扈したグループ5時代にあって、ベータ・モンテカルロ・ターボは唯一「美しいシルエット・フォーミュラ」と称されている。

推定マーケット価格:推測不能

9.MODERN GTs1990年代中盤のBPR-GT選手権を皮切りに、FIA-GT選手権で活躍してきた近現代のGTマシンによるカテゴリーだ。市販スポーツカー/スーパーカーをベースとするレーシングGTたちがヒルクライムコースを快走した。●マクラーレンF1-GTR(1995年)

伝説のスーパー・ハイパーカー「マクラーレンF1」をベースに開発された1台だ。欧州のBPR-GT選手権を皮切りに、FIA-GT選手権、あるいは全日本GT選手権などで大活躍した近代レーシングGTのアイコン的1台とされる。

このブラックボディの個体は1995年のル・マン24時間レースにて、関谷正徳選手が日本人ドライバーとしては初の総合優勝を果たした際に搭乗したマシンだ。現在は英国ウォーキングにあるマクラーレン本社ミュージアムに展示されている。

推定マーケット価格:推測不能

 

あくまで筆者の私見ではあるが、現代の自動車メディアでは「名車」という単語が比較的安易に使われてしまう傾向があるかとも思われる。でも、ここに挙げたクルマたちは、すべてが文字どおりの名車だろう。ダ・ヴィンチやゴッホ、ピカソのアート作品に匹敵するような全人類の宝とも言えるクルマの数々だ。

そんな真の名車たちが一堂に会する「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」が、世界最高の自動車イベントとして尊敬されるのは、当然至極のことなのであろう。

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