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トヨタの「ハートフルプラザ東京」で聞いた福祉車両の買い方選び方【福祉の車窓から 第6回】

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トヨタの「ハートフルプラザ東京」で聞いた福祉車両の買い方選び方【福祉の車窓から 第6回】

モーターファンにて連載されていたコラム「福祉の車窓から」。福祉車両の機能的な進化、携わっている人々の考え、そして共に走り楽しむことの心地よさを伝えるべく、その全編をWEBにて再録します。※データ等は収録時のものになっています。ご注意ください。(2017.07.03)

 皆さん自動車税の納付というイベントも無事クリアされましたでしょうか。コンビニはもちろん、最近はクレジットカードで支払えたり、スーパーマーケットで支払えたりと便利な反面、毎年のことだけに、「300円余計に払うと抽選に応募できて当選車両は10年免除」なんて楽しめる仕組みはないでしょうかね。もしくはETC連携で、5月になって都道府県税事務所の前のゲートを通ると自動引き落とし……で、1/10000の確率で「ピンポン! 本年度の自動車税が免除されました」というようなアナウンスが流れるとか。ぜひ検討して欲しいですね。結局、税金は払いたくない! という話になると野暮ですので、このくらいにしておきますが、我が家は減免対象の1台が全額免除。最後ひとこと、皆さんありがとうございます。そして、助かります。とはいえ、もう1台所有している26年モノがありまして、こちらは15%の重課税分も含めてさくっと支払わせていただきました。役に立つように使えよ。
 さて本題。前回に引き続き、今回も福祉車両の総本山ともいえる、トヨタのメーカー直営店ハートフルプラザ東京で伺ったお話を織り交ぜて進めて行きます。トヨタのウェルキャブなどの福祉車両、購入するということになるとどうすればいいのか、実際にどういう時に便利なのか、といったあたりを。
 まずは、同乗者のための補助装備が付いた車種の場合。福祉車両となると、なにやらハードルが上がったような気分になるのは、その装備が同乗者にとって「いま必要なもの」「ベストなもの」になっているかが、全体が見えず、イマイチわかりにくいというところもあるのかもしれません。なにせ一つひとつが可動を部分をともなう「大物」揃いですし、どんな仕様があるのかもわかりにくい。そして使えなければ無用の長物という気持ちもある。というところで、まずは同乗者を伴って(それができるなら)、ディーラーで相談してみることがイチバンです。どういったものがマッチするのを第三者の眼から判断してもらうということ。そして最初に必要になってくるのが、カタログ仕様の「吊るし」のままでいけるかどうかの判断。各メーカーの福祉車両には、ある一定の装備が着いたモデルが用意されています。たとえば、助手席やセカンドシートへの乗降を容易にする、回転(スライド)シートや、サイドリフトアップシート。そして車いすに座っているなら、車いす仕様車。スロープタイプ、リフトタイプなどがあります。ミニバンタイプなら、ストレッチャーに同乗者を乗せての移動も可能です。

コネクティッドサービス対応の新ナビが登場


 同乗者の介護をするためのクルマはおおむねこの範疇に入ります。そこでポイントなのが、同乗者の「ちょっと無理すれば、普通のクルマでも乗れる」という気持ち。その無理が効かなくなるコトは、悲しいけれどありえます。そんな未来がちょっとでもアタマによぎるなら、福祉車両を選択するのを前向きに考えてはいかがでしょう。身体が動きにくくなっても、出かけられる、連れ出せるというのは大事ですから(FUN TO DRIVE AGAINですよ)。
 そしてその「無理をさせない」の延長線上に個別のカスタマイズがあります。たとえばアシストグリップの追加。同乗者の体格や動きに合わせてグリップを増やしてあげる……それだけで、変わることも多いですよね。乗り降りごときで周りに面倒をかけたくない、という同乗者ならなおさら、その意志を尊重するのも大切。というところで、さて80kgの体重を支えられるグリップ、どこにつけますか? そこで、メーカー直系であるハートフルプラザなどの強みが出てきます。どの車両であっても構造上、剛性のある部分がわかっており、適切な場所に支持部分を作ることができるというもの。
 また自分で運転するタイプの福祉車両について。これらは運転補助装置付車と呼ばれ、個別の体格に合わせてアレンジする部分が多く、調整範囲とその具合が大切なため、一般的に補助装置を製作しているメーカーでの取り付けと調整となります。自動車ディーラーで買うのは、ベース車両のみ。ただし、そこでもまったく出番がないわけではなく、たとえばパワーステアリングの軽さの調整が必要な場合に、補助装置メーカーに納車する前に、その制御系の調整、時にはギア比の変更のため、ステアリングラック自体の変更などを行うこともあります。やはりこういった作業もメーカー直系ならでは。そういう意味でも、まずディーラーで必要な装備の相談が、大事だと思います。
 現状、登録されている福祉車両の販売台数は2016年度で、普通・小型自動車が2万4,380台、軽自動車が1万3,796台。2016年度の販売総数が424万3,393台ですから、わずか0.9%。どうですか? レアでしょ。乗ってみませんか。

装具制作中のようす vol.3 カーシートの仮合わせ

右写真が下の子のカーシートです。もちろんオーダーメイド!
ちょっとお行儀の悪い座らせかたですね、すみません。
ベルトのレイアウトを見ていただいてもわかるように、いわゆるチャイルドシートと同じように、シートバックに背中をあてた一般的な姿勢でも座らせることもできます。
が、側臥位(横向き)もとります。下の子は眠ったりすると嚥下ができず、溜まった唾液を処理できなくなり、息を詰めるので、場合によっては唾液を外へ吐き出させます。なのでドライブ時も、この姿勢でいかにシートに固定するかがキモ。
この写真の時は、ポジション決めに汎用な装具を組み合わせつつ大まかな固定位置を探り、そこからオプションのクッションの位置などを検討をしました。本来なら股間で腰のズレを抑えるのに使うベルトに当てものをして、大腿骨周りとお尻をホールドしてやろうという作戦。さらにこのままだと左脚が体の中心方向に入ってしまい、股関節に外れる方向の力がかかるのでクッションを股に挟むような形で差し込みます。このほか、頭が傾げないようにクッションを当てます。ひとまずこれで仮合わせをして、医師のチェックを受けます。


著者紹介:古川教夫
クルマとバリアフリー研究家。基本は自動車雑誌編集&ライター&DTP/WEBレイアウター。かつてはいわゆる徹夜続きの毎日だったが、現在は娘さんの介護をしながら9割9分の在宅ワーク。『ドレスアップナビ』(https://dressup-navi.net/)のアンカーや、ライフワークであるロータリー関連の執筆活動等を行いながら、介護経験から見る福祉制度と福祉車両の世界をつづる。2017年2月に福祉車輌取扱士の資格を取得。

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