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最強のSTIは世界最強か!? 一瞬で完売のスバルWRX STIタイプRA-R検証試乗

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最強のSTIは世界最強か!? 一瞬で完売のスバルWRX STIタイプRA-R検証試乗

 2018年7月19日、スバルのモータースポーツ、コンプリートカーを手がけるSTIが、創立30周年記念モデルとして、WRX STI特別仕様車の「タイプRA-R」を500台限定、499万8240万円で販売を開始したが、なんとわずか8時間で完売した。

 もう買うことができなくても、その走りだけは記憶にとどめておきたいと思う人も多いのではなかろうか。

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 ということで、タイプRA-Rの好敵手、310psの2L直4ターボ+4WDを搭載するVWゴルフR(565万9000円)を持ち出して、モータージャーナリストの松田秀士氏が徹底比較!

文/松田秀士

写真/池ノ平昌信

初出/ベストカー2018年8月26日号

■EJ20最強エンジンと軽量化でタイプRA-Rは名刀の切れ味

 このSTIタイプRA-Rに搭載されるエンジンは、ピストン&コンロッドの重量公差を量産エンジンとしては極限まで詰め、クランクシャフトもバランス取りしたS207のエンジンに排気系チューンで+1㎰を達成したS208エンジンと同じものだ。

 クラッチカバー&フライホイールも85%の精度にバランス取りを行っており、はっきり言って、もう行き着くところまできたEJ20ターボエンジンは、STI史上最強のスペックとなる329㎰/44・0kgmの出力を叩き出した!

 タイプRA-RはS208と比べて何がどう違うのか? S208はスポーツ性もさることながら、プレミアムな質感にもこだわったモデル。それに対してタイプRA-Rは「軽さ」「速さ」「愉しさ」というスバルらしいテーマにこだわったよりスポーティなモデルだ。

 で、S208よりも30kg(1480kg)の軽量化を達成している。内容はホイールを標準の19インチから18インチに変更し、エアロダイナミクスを狙ったデザインのドライカーボン製ドアミラーにジュラコン製シフトノブ、そして、軽量ファブリック表皮のフロントスポーツシート&リアシート。さらにウィンドウォッシャータンクを4Lから2.5Lに小さくするこだわりよう。



■310psのゴルフRを置いてきぼりにするのか?

 さっそく走り出そう。8000rpmまで振動もなく気持ちよく回るEJ20ターボのフィーリングはS208そのもの。3速ギヤの6500rpm付近ではブースト計は瞬間的に1.29barを指していた。8000rpmまでも勢いはいいが、比較車両として持ち込んだゴルフRはマックス6800rpm。

 ゴルフRは、310ps/40.8kgmでスペック的にはタイプRA-Rのほうが優っているように見えるが、実際その加速感はかなり力強い。

 0~100km/h加速は4.6 秒とタイプRA-Rの4.8秒を0.2秒上回る。これはゴルフRが7速DSGに依るところ大。

 DSG(デュアルクラッチトランスミッション)はMTに比べてシフトラグがはるかに小さく、特にターボエンジンではシフト時のブーストダウンが少ないので、シフトラグのタイム差以上にパワーが持続するので差が広がる。

 つまり、その差が0.2秒程度ということはEJ20ターボエンジンの性能が高いといえるだろう。

 ベースのWRX STIと比べると、エンジンは別物のように軽く吹け上がり、高回転域で振動感もない。コーナーに飛び込むとS208よりも、そしてベース車両のWRX STIよりもシャープ。

 さらにコーナリング中の操舵角が半分くらいに少ない。ダンパーはS208のビルシュタイン(ダンプマチックII)から倒立式のKYB製に変更され、10mmローダウンされている。

 18インチのタイヤはミシュランパイロットスポーツ 4Sを初採用。これはトレッド面のアウト側にドライ路面、イン側にウェット路面用のコンパウンドを配した画期的なタイヤ。アクアプレーン対策の縦溝はハッキリと、さらに雨用コンパウンドを採用するとは。

 ボク自身、長くドライブしたF3000時代の経験から雨にはコンパウンドがイチバン効くことを知っている。特にブレーキングでね。それを内側に、横方向のストレスを受けたときに効果的なドライ用コンパウンドを外側に、まさに攻めろa といわんばかりのタイヤだ。で、デザインもサイズも話題のFIAフォーミュラEに使用されているものと同じ。

 30kgの軽量化のなかでも、この18インチ化によるバネ下の軽量化がハンドリングに大きく寄与している。そのバネ下の軽量化のなかでも回転部分であるホイールとタイヤ、そしてブレーキディスクが重要。

 今回はホイールとタイヤの軽量化にスポットを当て、ベースのWRX STIよりも11・4kgも軽量化。回転部はジャイロ効果があるので高速になるほどに軽量化が効いてくる。このことはさらに速度域の高いサーキットを走れば一目瞭然だ。

■ハンドリングは最高なのか?

 ハンドリングはステアリング切り始めの応答から過敏ではないフロントのグリップ感があり、ブレーキを残しながらのコーナリングでもちょうどいい巻き込み感。

 群馬サイクルスポーツセンターのようなタイトでブラインドコーナーが多いシチュエーションでは、ブレーキを残しながらコーナーに進入することが多く、そこでリアが不安定になると気持ちよく飛び込めない。また、リアがグリップしすぎるとアンダーステアを容易に併発するので、これまた飛び込めない。

 でも、リアが踏ん張りすぎないけれど、ちゃんとグリップする。マルチモードDCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)をAUTOのマイナスにセットすれば、サーキットで威力を発揮しそうなくらい、切り足しでフロントノーズがさらに切れ込む。

 それでいてコーナー脱出加速ではステア角が小さくかつしっかりとリアにトラクションがある。まあ、DCCD付きの4WDだからね。

 ベースのWRX STIは、昨年の改良でセンターデフの機械制御部を取り去り、完全電子制御式としたこともかなりハンドリングを後押ししている。

 つまり、アクセルOFFでのコーナー進入からAペックス付近のパーシャルアクセル、そしてエグジットにかけてのフルスロットルをDCCDがうまくコントロールして、可能なかぎりアンダーもオーバーも出さない。

 しかしだ、比較に持ち込んだゴルフRも凄かった。こちらはDCCという電子制御による可変減衰力ダンパーを装備している。このダンパーの制御がすばらしく、超ギャップが多い群馬サイクルスポーツセンターのような路面では威力を発揮する。ピッチング(上下動)が少ないのだ。

 さらに大きなギャップを通過した後の収まりが早い。それゆえにコーナリング中の安心感が高い。ただし、それはスポーツ性よりも安定性に重点を置いたもので、FF横置きエンジンゆえのフロント大重量によるコーナリング中の大舵角はいたしかたないところ。この点では前後左右重量バランスに優れたWRXのシンメトリカルAWDがモノをいう。

■ピュアスポーツ性からいえば、完全にゴルフRを超えた!

 が、タイヤサイズはタイプRA-Rの245/40R18に対してゴルフRは225/40R18。タイヤ幅は狭いのにこのパフォーマンスはさすがアウトバーンの国で育ったホットハッチだ。

 STIタイプRA-R、S208よりもスポーツ心をくすぐるし、ベース車両からはやはりかなりのやんちゃぶり。パワーウエイトレシオ4.498kg/psは現行STI史上最強のものだ。しかも、WRX STIから約110万円というお買い得な価格も含め、ピュアスポーツ性から言えば、ゴルフRを超えたといっていいだろう!

■国産&輸入車のオーバー300ps 4WD車パワーランキング

 最後に国産&輸入車でオーバー300psかつ4WDのクルマのパワーランキングを紹介しよう。日本車で下のランキング20位までに入らなかったクルマは、377psのレクサスLX570、システム359psのレクサスLS500h、333psのフーガ370GT、329psのWRX STIタイプRA-R、318psのランクル200、308psのWRX STI、300psのWRX S4&レヴォーグ2Lなどがある。

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