現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【ホンダ流PHEVのつくりかた vol.1】ホンダ クラリティPHEVに隠された秘密の制御システムを公開

ここから本文です

【ホンダ流PHEVのつくりかた vol.1】ホンダ クラリティPHEVに隠された秘密の制御システムを公開

掲載 更新
【ホンダ流PHEVのつくりかた vol.1】ホンダ クラリティPHEVに隠された秘密の制御システムを公開

ホンダ「クラリティPHEV」の公道試乗会があり、そこで新たな情報を得たのでお伝えしよう。

パワートレーンi-MMDの進化

【過去記事再投稿】ポルシェのハイブリッド技術から次世代の電動スポーツカーが誕生する! !

それはハイブリッド状態になったときに全く新しいことをやっている、という隠れている事実がわかったのだ。なぜ、これまで説明をしてこなかったのかエンジニアに聞くと、「このクルマは話すことがたくさんあって、深いところまで説明すると整理がつかなくなるので、この話はほとんどしてません」と担当の第1技術開発室 主任研究員 岩城輝男氏は言う。

その深い話とは、どんなことなのか?クラリティPHEVには、ホンダ独自のハイブリッドシステム、i-MMDを搭載している。これは2モーター式のハイブリッドで、シリーズハイブリッドの領域が広く、つまり、充電して走る領域が多く、エンジンで走行するのは高速域だけというハイブリッド。

エンジンはアクセル開度の信号も拾っているので、大きく踏み込むと急激に電力を失うのでエンジンがかかる。このとき、エンジンは最も効率のいい回転域へと一気に回転が上昇する。しかし、システムとしてはエンジンで走行をしていないので実際の加速感とエンジン回転上昇率とがリンクせず、「エンジンの先行感」とか「ラバーバンドフィール」といったことを感じる。

しかし、このクラリティPHEVはそうならないのだ。パワートレーン担当の岩城輝男氏によると「開発コンセプトの段階で、よりEVフィールを残しエンジンの存在が分からないようにする、ということを念頭に置いて開発しました」という。そこで、電池切れでも、遠距離でもEV感を残しておきたいという考えから開発がはじまったわけだ。

最後までEV感を残す制御

多くのハイブリッド車、プラグインハイブリッド車は電池切れになるとエンジンで走行するので、普通のクルマに戻ってしまう。この普通車になってしまうことを嫌い、できるだけEV感を残したまま800kmを走り切れるようにした、というのがクラリティPHEVの隠された制御方法なのだ。

具体的には、アクセルを踏み込んでもエンジンの回転が上がらないように制御し、モーターの力で加速させるということだ。なぜ、それができたのか。それは、バッテリー残量が0と表示されていても、実際のバッテリー出力には余力を残しているのがミソだ。

電池残量ゼロで、アクセルを大きく踏み込んだ時、余っているバッテリー出力によってモーターで加速させる。だから、エンジンの回転を上げずにグッと前に進むことができるのだ。この時に残してる余力とは、実はアコードPHEVの満充電の状態よりもモーターパワーが出ているというのだ。

つまり、ハイブリッド状態になっても、EV走行を優先させるというオペレーションをつくったことがキーになるというわけだ。また、このときのエンジンは、クルージング走行ができるだけの出力で運転しているので、低い回転数で稼働している。そしてモーター駆動で車速が上がっていくと、ロードノイズや風切り音が大きくなり、そのノイズに紛れるようにエンジンの回転を上げ、高速域になるにつれてエンジンの単独走行へ切り替わるという制御をしているのだ。


したがって、エンジンが始動している状況でもエンジン音はあまり聞こえず、残量ゼロ表示でも加速フィーリングはEV車の加速ができる。もっと言えば、EV航続可能距離がJC08モードで114.6kmのスペックだが、この余力のバッテリー出力を使い切るまでに変更すれば、もっと航続距離が長いことがアピールできる。だが、ここは頑なに、この制御にしたというエンジニアのこだわりのある部分で、まさにホンダらしいと思うポイントだ。

この制御を可能としたのが、EV出力が3.3倍になっていることがポイントで、これに電圧コントロールユニット(VCU)、パワーコントロールユニット(PCU)のそれぞれの進化、そしてバッテリー容量増大ということがある。さらにバッテリー冷却を水冷として、出力ダウンを極力減らすことなども加え、この制御が実現している。

また、こうした進化に伴い、エンジンはダウンサイジングすることにも成功している。エンジンは巡航できる程度の出力なので、高効率な領域を多く使うことができる。そのため、燃費にも貢献し排気量も下げることができたということだ。


ちなみに、同じi-MMDのシステムを搭載するアコードPHEV、ステップワゴン・ハイブリッドにはこの制御が投入されておらず、クラリティPHEVだけの制御システムなのだ。しかし、今後はこの制御方法のロジックはどんどん注入していくということだ。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

【メーカー希望小売価格】

ホンダ クラリティ 関連情報
ホンダ 関連情報

こんな記事も読まれています

ルノーの名物イベント、今年は10月27日に決定! 「ルノー カングー ジャンボリー2024」開催概要を発表
ルノーの名物イベント、今年は10月27日に決定! 「ルノー カングー ジャンボリー2024」開催概要を発表
月刊自家用車WEB
宮田莉朋、無念のトラブルで勝利逃すも「全然ネガティブには思っていません」。原因はギヤボックス/ELMS第2戦
宮田莉朋、無念のトラブルで勝利逃すも「全然ネガティブには思っていません」。原因はギヤボックス/ELMS第2戦
AUTOSPORT web
ルクレール3位「マクラーレンの強さは予想以上。僕たちにはアップグレードが必要」フェラーリ/F1第6戦
ルクレール3位「マクラーレンの強さは予想以上。僕たちにはアップグレードが必要」フェラーリ/F1第6戦
AUTOSPORT web
800馬力のランボルギーニ「ウルスSE」は10種のドライビングモードで楽しめる! EVだけでも60km以上走れるクラス最速SUVです
800馬力のランボルギーニ「ウルスSE」は10種のドライビングモードで楽しめる! EVだけでも60km以上走れるクラス最速SUVです
Auto Messe Web
レッドブル&HRC密着:敗因はフロアのダメージとハードタイヤでの苦戦。勝つことの難しさを痛感したフェルスタッペン
レッドブル&HRC密着:敗因はフロアのダメージとハードタイヤでの苦戦。勝つことの難しさを痛感したフェルスタッペン
AUTOSPORT web
高速道路を走りながら「EV充電」現実に! 本線で「走行中給電」実証やります NEXCO東日本
高速道路を走りながら「EV充電」現実に! 本線で「走行中給電」実証やります NEXCO東日本
乗りものニュース
合法カスタムでも「デコトラ」では仕事ができない現代! デコトラ野郎たちは「マイトラック」で楽しんでいる
合法カスタムでも「デコトラ」では仕事ができない現代! デコトラ野郎たちは「マイトラック」で楽しんでいる
WEB CARTOP
盗難車犯罪の温床「違法ヤード」 解体された自動車が海外輸出される残酷現実、規制強化で本当に防げるのか
盗難車犯罪の温床「違法ヤード」 解体された自動車が海外輸出される残酷現実、規制強化で本当に防げるのか
Merkmal
知的なアスリート──新型マセラティ グラントゥーリズモ試乗記
知的なアスリート──新型マセラティ グラントゥーリズモ試乗記
GQ JAPAN
2年目は女子クラスも新設! 大学自動車部が大手メーカーのサポートで闘う「フォーミュラジムカーナ2024」が開幕!!
2年目は女子クラスも新設! 大学自動車部が大手メーカーのサポートで闘う「フォーミュラジムカーナ2024」が開幕!!
WEB CARTOP
[VW ゴルフ 50周年]重量増加スパイラルに逆行した第7世代
[VW ゴルフ 50周年]重量増加スパイラルに逆行した第7世代
レスポンス
3億円超のアルファ・ロメオの入手方法──新型33ストラダーレに迫る!
3億円超のアルファ・ロメオの入手方法──新型33ストラダーレに迫る!
GQ JAPAN
フェルスタッペン2位「今日のノリスは飛ぶように速かった」グリップに苦しみマシンにダメージも:レッドブル/F1第6戦
フェルスタッペン2位「今日のノリスは飛ぶように速かった」グリップに苦しみマシンにダメージも:レッドブル/F1第6戦
AUTOSPORT web
最高出力800PS、最大トルクは950Nm!ランボルギーニが初のプラグインハイブリッドSUV「ウルス SE」を発表
最高出力800PS、最大トルクは950Nm!ランボルギーニが初のプラグインハイブリッドSUV「ウルス SE」を発表
@DIME
【角田裕毅F1第6戦分析】“ベストなレースタイム戦略”で7位。メルセデスも寄せ付けない走りをHRC折原GMも高く評価
【角田裕毅F1第6戦分析】“ベストなレースタイム戦略”で7位。メルセデスも寄せ付けない走りをHRC折原GMも高く評価
AUTOSPORT web
後ろからドン!はずみでドン!ドン!「玉突き事故」は誰がどう悪くなるのか
後ろからドン!はずみでドン!ドン!「玉突き事故」は誰がどう悪くなるのか
乗りものニュース
レクサスLBXに「強敵」登場!? “アルファロメオ最小のSUV”新型「ジュニア」で判明している真実とは? 「ミト後継車種」の気になる実力
レクサスLBXに「強敵」登場!? “アルファロメオ最小のSUV”新型「ジュニア」で判明している真実とは? 「ミト後継車種」の気になる実力
VAGUE
ツバメインダストリが搭乗型ロボット『アーカックス』を展示…SusHi Tech Tokyo 2024で予定
ツバメインダストリが搭乗型ロボット『アーカックス』を展示…SusHi Tech Tokyo 2024で予定
レスポンス

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

588.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

229.8229.8万円

中古車を検索
クラリティPHEVの車買取相場を調べる

ホンダ クラリティPHEVの中古車

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

588.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

229.8229.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村