単なる雪道じゃない過酷な半アイス路面だった!
今年で5年目を迎えたスバル・ゲレンデタクシー。今シーズンラストとなる新潟県・苗場スキー場で、イベント開始直前にコースの下見を兼ねながらのハンドルを握らせていただいた。この走行にはとても興味があった。なぜなら経験上、この手のゲレンデや駐車場などで行う圧雪特設路の走行イベントはとても難しい。考えてもらえればわかるはず。スキーやスノーボードなどは100kgにも満たない身体の重さを、ボードなどの大きな面で支えて滑れば良いだけ。
スバル車がスキー場を駆け抜ける! ゲレンデタクシーが今冬も開催
しかしクルマは、タイヤひとつあたりハガキ一枚程度の接地面積しかないところに、それぞれ300kg以上の重量が掛かるわけだ。普通に考えて、相当な圧力で圧雪しなければ、新雪を歩くときのようにズブズブと雪深く沈んでいってしまう。
しかもクルマの場合は、沈まずに済んでいるそのタイヤが駆動して走るわけだから、路面を掻きむしり壊していく。そのような環境で、スキー板なども積み、フル乗車で、今回の会場である苗場スキー場にある最大斜度20度のゲレンデの路面を壊さず一日中、約200ピストンのリフト走行を涼しい顔で行うわけだ。
ハンドルを握り、改めて思った。簡単にできることではない! ということ。クルマが路面を痛めるほど重量級だとダメだし、4輪駆動がひ弱でもダメ。適度な重量で、4人が快適に乗れる室内空間を持ち、それでいてフルタイム四駆で力強い走行が可能なスバル車だからできたのだ。
またボディのしっかり感も関係するが “フルタイム”4輪駆動が駆動力で4つのタイヤを常時繋げて剛性感にも似た感触を与えてくれるのが魅力。これがあるから自在にクルマを操れた。振り返るとそのコースは、脇に落ちたら崖という環境。
そこを横滑り防止装置を切って多少横に向けながら、楽しく試乗した。もちろんタイヤが滑ったりクルマが横を向こうとしても、焦らず冷静に自然に体が動くくらいの心と身体の運転技術が必要かもしれないが、スバルのこのような過酷環境でのコントロール性は天下一品だ。
最後に……どんなに優れた4輪駆動で重さも控えめなパッケージと言っても、最大傾斜20度路面を壊さずに一日中走り回れるわけがない。その背景には、冷え込んでいるときに要所の路面に水を撒いて適度に凍らせていることにある。
要は最大斜度20度の凍りかけた路面でゲレンデタクシーは行なわれているのだ。今までゲレンデタクシーに乗ったことがある方は思い出してほしい。見た目ではスキーやスノーボードで滑走している通常路面と同じように見えるが、じつはかなりツルツルなところもあり、一度止まったら2輪駆動では再スタートできないほどの環境に仕上げている。
実際、苗場のゲレンデタクシーに使っていた路面は崖側に向けて多少横傾斜があり、走行ラインを間違えると横に滑っていってしまうほどツルツルだった。それを感じさせずにグイグイ登っていくあのスバルの登坂力、そしてアイス路面を含めて強力なグリップ力を発揮するミッシュランのスタッドレスタイヤの相性が最強であり異常な能力を発揮しているのだ。
じつはこの日の苗場はホワイトアウトしそうなほどの吹雪に見舞われており、取材を終えてから帰れるのか? 心配していた。
しかしこのスバル車の実力があれば絶対に帰り道も大丈夫と思える安心感があったし、実際に帰り道は音楽を聴きながらリラックスして東京まで戻ってくることができた。今年のスバルのゲレンデタクシーはすべて終了してしまったが、来シーズンも行うそうなので、また情報をチェックしてもらいたい。ウインタースポーツを楽しむ方であれば、あれは一度体験する価値がある!!
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