現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 自動車エンジンの燃焼エネルギーは大半がムダになっているという噂は本当か?

ここから本文です

自動車エンジンの燃焼エネルギーは大半がムダになっているという噂は本当か?

掲載 更新
自動車エンジンの燃焼エネルギーは大半がムダになっているという噂は本当か?

 効率のいいエンジンでも60%もムダになっている

 普通のクルマって、走ると熱くなりますね。エンジンルームの中は熱気がこもり、フロアの下を通る排気管も熱くなります。発生する方法は違いますが、ブレーキも熱くなりますね。

【これぞ名機】歴史に残る国産エンジン5選!

 こうした熱くなった部分というのは、基本的にエネルギーが熱に変換された、ということを示しています。ヒーターや湯沸器であれば有効な熱ですが、エンジンルームや排気管の熱というのは破棄された熱になります。つまり無駄になっているんですね。

 燃料の持つエネルギーをどれだけ動力として取り出すことができるか? これをエンジンの熱効率といいます。今、ガソリンエンジンの熱効率は最高で40%前後です。10年くらい前までは30%程度でしたから、低燃費の技術競争もあって大きく進化しているわけです。

 そうは言っても、ともかく40%しか動力になっていないわけで、残りの60%は捨てていることになります。エンジンルームの熱や排気管の熱も、熱として捨てられたエネルギーです。またエンジンの排気音は、音として捨てられたエネルギーなのです。

 しかし普通のガソリンエンジンは、もっと熱効率が低いのです。あるエンジンの熱効率が最大となるのは全負荷に近いところなんですね。アクセルはほぼ全開で、エンジンパワーと要求されている駆動力が釣り合っていて、つまり加速も減速にもならないようなときに、熱効率が最大になるんです。

 もし加速してしまうと、エンジン自体を加速させるための抵抗が増えるので、熱効率としては下がってしまいますし、そもそも加速できるということは全負荷に対して余裕が残っていたことになります。

 一般的な走行では、そういう状況になりませんね。全開近くまでアクセルを踏み込むなんてことは、一般的な日本人ドライバーだとほとんどないですよね。

 たとえばアイドリングやそれに近いような低負荷のときは、エンジンの熱効率は半分以下になってしまうのです。ゆっくり走ったほうがエネルギー量が小さくなるため燃費は良くなりますが、熱効率という面では悪化してしまうのです。

 もっといえば、エンジンの熱効率が良くなっても、燃費が良くなるかどうかは判らない、ということです。たとえばエンジンの熱効率を良くするためには高圧縮にしたり、アトキンソンサイクルを採用したりするわけですが、それは結果としてドライバビリティを悪化させます。

 そして要件が変わると、逆に熱効率が大きく悪化する傾向になります。加速中だったり、気温が高くなったり、エアコンがONだったりする場合です。だから熱効率をピンポイントで狙ったエンジンは、カタログ燃費は良くなりますが実用燃費は悪化してしまいます。真夏に全然走らなくなる、というようなエンジンは、ダメエンジンです。

 それを解消するためのひとつの方法は、シリーズハイブリッドです。シリーズハイブリッドに搭載されているエンジンは、つねに熱効率が最大になるよう制御されます。アイドリング近くで運転するのは、エンジンなどを暖気しなければならないときだけです。通常のガソリンエンジンの運用上の熱効率よりも、1.5倍以上は優れていることでしょう。この部分だけを考えても、ガソリンエンジンよりもハイブリッドは1.5倍以上は燃費が良くなって当然なのですが、実際のところはどうでしょうか??

 ともかく、それでも運用上の熱効率では燃料の持つエネルギーの2/3は捨てられていることになります。最新技術ではガスタービンの熱効率が70%に届きそうですが、それでも30%は捨てていることになります。高圧に圧縮して、高温で燃焼させるというシステムである以上、そうしたロスは避けられないのでしょう。

関連タグ

こんな記事も読まれています

いよいよランクル250の販売がスタート!どんなモデルがライバルになる?
いよいよランクル250の販売がスタート!どんなモデルがライバルになる?
グーネット
プリウスオーナーにおすすめ!鋭角のフロントガラスにフィットする内窓専用ワイパー カーメイト
プリウスオーナーにおすすめ!鋭角のフロントガラスにフィットする内窓専用ワイパー カーメイト
グーネット
ジープ 限定車「コマンダー オーバーランド」発売 ブラウン内装がプレミアムな室内空間を演出
ジープ 限定車「コマンダー オーバーランド」発売 ブラウン内装がプレミアムな室内空間を演出
グーネット
レンジローバーイヴォーク 2025年モデル受注開始!PHEV車を中心に価格を見直し
レンジローバーイヴォーク 2025年モデル受注開始!PHEV車を中心に価格を見直し
グーネット
ベテランだってチト怖い!? 鬼門!! [高速道路の合流]への恐怖心を払拭せよ!
ベテランだってチト怖い!? 鬼門!! [高速道路の合流]への恐怖心を払拭せよ!
ベストカーWeb
昭和世代じゃなくてもグッとくる!?  ちょい[イケてるクルマ]にまつわる言葉8選
昭和世代じゃなくてもグッとくる!?  ちょい[イケてるクルマ]にまつわる言葉8選
ベストカーWeb
新型エルグランド大胆妄想!! アルファードに勝つために必要な性能と価格とは?
新型エルグランド大胆妄想!! アルファードに勝つために必要な性能と価格とは?
ベストカーWeb
なぜ「SLS AMG」は比類なきスポーツカーだったのか? メルセデス・ベンツとAMGが注いだコスト度外視の革新的技術とは
なぜ「SLS AMG」は比類なきスポーツカーだったのか? メルセデス・ベンツとAMGが注いだコスト度外視の革新的技術とは
Auto Messe Web
MotoGPスペインGPプラクティス|王者バニャイヤ、レコード更新し初日最速。マルク・マルケス3番手
MotoGPスペインGPプラクティス|王者バニャイヤ、レコード更新し初日最速。マルク・マルケス3番手
motorsport.com 日本版
トヨタ・ランドクルーザーの中核モデル「250」シリーズが発売。特別仕様車のZX“First Edition”とVX“First Edition”も設定
トヨタ・ランドクルーザーの中核モデル「250」シリーズが発売。特別仕様車のZX“First Edition”とVX“First Edition”も設定
カー・アンド・ドライバー
ボルボ「XC40」仕様変更&プレミアムな装備を採用した特別限定車を発売
ボルボ「XC40」仕様変更&プレミアムな装備を採用した特別限定車を発売
グーネット
日産 新エネルギー車のコンセプトカー4車種をお披露目 北京モーターショー【動画あり】
日産 新エネルギー車のコンセプトカー4車種をお披露目 北京モーターショー【動画あり】
グーネット
ホンダ 新EVシリーズ第2弾 新型「e:NP2」「e:NS2」発表 北京モーターショー
ホンダ 新EVシリーズ第2弾 新型「e:NP2」「e:NS2」発表 北京モーターショー
グーネット
エンジン版と共有部品ナシ! ポルシェ・マカン・エレクトリックへ試乗 ちゃんと「らしい」 航続500km以上
エンジン版と共有部品ナシ! ポルシェ・マカン・エレクトリックへ試乗 ちゃんと「らしい」 航続500km以上
AUTOCAR JAPAN
3時間で争われるスーパーGT第2戦富士の持ち込みタイヤ数と義務ピット回数が発表。モラルハザードは1名が適用
3時間で争われるスーパーGT第2戦富士の持ち込みタイヤ数と義務ピット回数が発表。モラルハザードは1名が適用
AUTOSPORT web
F1、2025年に向けてポイントシステム変更を検討。12位まで対象を拡大か
F1、2025年に向けてポイントシステム変更を検討。12位まで対象を拡大か
AUTOSPORT web
「30万円」の大幅値下げ!? 鮮烈レッドの「新型セダン」発表! 爆速の「超高性能モデル」も新設定! 今あえて「値上げラッシュ」に逆行した理由とは
「30万円」の大幅値下げ!? 鮮烈レッドの「新型セダン」発表! 爆速の「超高性能モデル」も新設定! 今あえて「値上げラッシュ」に逆行した理由とは
くるまのニュース
急拡大! BYDの高級車ブランド「方程豹」 無骨SUV&華麗スポーツカー発表
急拡大! BYDの高級車ブランド「方程豹」 無骨SUV&華麗スポーツカー発表
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村