F1と並ぶモータースポーツの最高峰、世界ラリー選手権(WRC)の日本開催が実現に近づいている。東京オートサロンでは既報のとおり、WRC日本ラウンド招致準備委員会の設立が発表され、開催地は中部、時期は2019年11月を見込んでいることも明らかとなった。とはいえ、これはあくまで「開催を希望する側」の発表。では、WRCの「主催者側」はどのように見ているのか? 今回、WRCのプロモーターを務めるマーク・ディヨン氏を直撃。同氏は、準備委員会の発表を裏付け、開催の実現味にも踏み込んだ内容を語ってくれた。
文:編集部
ベストカー2018年1月26日号
新しく開催するならアジアは最有力候補
WRCプロモーターのマーク・ディヨン氏
ーー日本では日増しにWRC開催の機運が高まっているのですが、伝統のラリー・モンテカルロは、TVで約1億2000万人が見たと聞いています。また、メキシコやアルゼンチン、オーストラリアといった欧州以外のイベントは、どれも成功していると聞いています。
マーク・ディヨン氏(以下、マーク) そうです。現在アジアや環太平洋の地域で開催されていませんが、新しく開催するなら、この地域が最有力とは言えるでしょう。
ーーアジアからはトヨタとヒュンダイと、2つのワークスメーカーが参加しています。
マーク そうですね。特に日本はかつて開催していたし、ファンが多いことも知っています。治安がよく、経済力があることもわかっています。しかし、開催の条件はそれだけではありませんね。
ーー例えばそれはなんですか?
マーク 運営組織がしっかりしているか? コースはWRCにふさわしいか? イベントをスムーズに進めるためのバックアップがあるのか? いろいろなことが挙げられます。
ーーなるほど、そのあたりをひとつひとつ確認しているのが、現在ということでしょうか?
マーク そうです。手順を追ってやっています。
WRC日本開催 実現に向けた課題とアピールポイント
復帰1年目ながら2勝をあげたトヨタのヤリスWRC
ーー正直に教えてください。日本の不安材料はなんですか?
マーク 2010年を最後に開催していないこと。ブランクがあるということ。そして、ほかの国々から現実にやりたいというオファーがあるということですね。
ーー強力ですか?
マーク 強力です。
ーーでは、逆に日本が強いところを教えてください。
マーク トヨタ・ガズーレーシングのパフォーマンスは、2017年シーズンを大いに盛り上げました。トヨタの母国で開催することになんの矛盾もありませんし、私も何度か日本を訪れて、WRC熱が高まってきているのを感じます。
我々はトヨタが戻ってきたことをうれしく思いますし、日本でWRCという競技だけでなく、車の文化面での理解が深まることを期待します。もうひとつ挙げるとすれば、勝田貴元と新井大輝、2人の若いドライバーの存在です。
ーーもう少し詳しく教えてください。
マーク 若手ドライバーの活躍は大きな魅力です。サッカーにしろラグビーにしろ、スポーツは若いヒーローが出ると、大きな盛り上がりを見せるものです。彼らが順調に伸び、日本開催の際に活躍すれば、イベントも必ず成功します。
彼らはまだ大きな活躍を見せてはいませんが、プロモーターとして期待するところは大きいのです。
開催地は「中部と東北、北海道」がふさわしい
2004年から2010年まで開催されていたWRCラリー・ジャパンは北海道で開催された
ーーさて、マークさんは2017年秋に日本各地を視察されましたが、開催するとしたら、どこがふさわしいとお考えですか?
マーク 中部と福島を含む東北、そして北海道ですね。ただし、どの季節にやるかによって可能性が変わってきます。また、北海道は過去に開催した実績がありますが、APRC(アジアパシフィックラリー選手権)がありますから、別の大きな地域がふさわしいかもしれません。
ーー日本国内では、中部、特に愛知と岐阜を中心とした地域が有力とされていますが、どうですか?
マーク 最も熱心なのは中部でしたね。プランを聞いて現実味もありました。
ーーでは、仮に2019年に日本がやりたいと正式に申請したら、可能性はありますか?
マーク 時間的には可能でしょう? スピード感をもっていかないといけませんが、欲張らなければ間に合います。
むしろ、やるなら2019年のほうが、現実味があるのではないでしょうか? 2020年はオリンピック開催で、ムリでしょうから現実的には2021年ですね。日本人は熱しやすく冷めやすいとも聞いていますので、4年近く熱が続くのか? 気になります。
我々もやるからには、5年、10年という期間でのパートナーシップを持ちたいと思っています。
ーー最後に2019年日本開催の可能性は何%くらいありますか?
マーク それは言えませんが、開催は充分可能だとは言えるでしょう。
◆ ◆ ◆
マーク氏は、言葉こそ濁したが、日本開催を望んでいるようだ。そして、2019年を逃すと、難しくなるということもそれとなく教えてくれた。2019年は9月20日から11月2日までラグビーW杯が日本で開催される。やはりその期間は難しい。アジアという地域性を考えると、オーストラリアとセットに考えるのが順当(編注:WRCオーストラリアは11月15~18日開催)。そうなると、ラグビーW杯が終わった11月中旬が有力となる。
また気になる場所は、コンパクトな大会とするならば、最もラリーで成功している新城をベースに、愛知県と岐阜県、つまり三河と東濃で開催することが、プロモーター側の納得を得られるのではないだろうか?
マーク氏と話した本誌の印象だが、2019年日本開催の可能性は70%くらいあるのではないか。彼は70%くらいあるか? と聞いたところ、イエスとは言わないものの、ノーとも言わなかった。
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