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【迎春考察企画】トヨタのあのすさまじい電動車計画は本当に実現可能なのか!?

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【迎春考察企画】トヨタのあのすさまじい電動車計画は本当に実現可能なのか!?

 トヨタは2017年12月18日、エコカー戦略について驚きの計画を発表しました。
・2025年までにグローバル販売の全車種に電動車(HV、PHV、EV、FCV)グレードをラインアップ(もしくは電動専用車化)
・2030年にグローバル販売における電動車550万台以上、EV、FCVだけで合わせて100万台以上を目指す
 2025年といえばあと7年後、2030年もあと12年しかありません。
 クルマのモデルサイクル(短くても4年、長いと10年程度)を考えると、今後トヨタの新型車はガソリン専用車がほぼなくなり、電動化(HV、PHVグレードを用意)が急速に推し進められることになります。
 こんなことが本当に可能なのでしょうか? 勝算はあるのか? そしてその影響は? 技術面に詳しい自動車ジャーナリストの鈴木直也氏に、トヨタのこの戦略目標を分析していただきました。
文:鈴木直也 写真:TOYOTA

■トヨタの社風は「出来ないことは言わない」

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 ぼくがつね日ごろ「トヨタ恐るべし」と思っている理由のひとつは、「決めた目標は必ず達成する」というしたたかさ。声高に言わないから目立たないが、コミットメント必達のプレッシャーは、ゴーン日産以上じゃないかと思う。

 ところが、これがときとして「出来ないことは言わない」という文化に通じる。新技術の採用などで「決断が遅い!」と批判されるのはそのため。最近はクルマを知らないメディアが「トヨタは電動化に遅れをとった!」とかトンチンカンなことを書き立てているが、それはこの「出来ないことは言わない」文化がマイナスに作用した結果だ。

 では、なんでそうなるかというと、トヨタのモノ造りで何より重要な価値観が、品質……もっと具体的にいえば信頼性/耐久性/安全性にあるだからだ。

 もともとトヨタには品質重視のDNAがあったのだが、2009年に北米を中心に発生した大規模リコールが、その傾向に拍車をかけた。豊田章男社長が米議会公聴会に召喚されるに至ったこの事件は、ぼくらが想像する以上にトヨタにとって大きなトラウマを残したといえる。

 だから、先日発表されたトヨタの電動化戦略(2030年までに電動化車両550万台、EV/FCV100万台)は、慎重な“トヨタ基準”をクリアしたきわめて実現性の高い数値目標だと、ぼくは思っている。

■トヨタには実績があり、勝算もある!?

 トヨタがこういう大きな戦略転換に慎重なもうひとつの理由は、グローバル1000万台という莫大な量産規模がある。

 欧米メーカーは安直に「〇〇年までにEVを〇〇万台!」とかブチ上げるけど、「〇〇万台分の電池はどこが供給するんですか?」という基本的な課題すら「これから考えます」というスタンス。規模の大きなVWなんか、開き直って「2025年までにEV300万台分の電池代として6.5兆円用意したから、われと思わんサプライヤーは手を上げてくれ!」なんて逆オークションをやってる。

 それに比べたら、トヨタのなんと現実的なこと!

トヨタは2017年1月にハイブリッドカーの累計生産台数1000万台を突破、近年生産能力は加速度的に向上している(単位は「万台」/2017年1月時点)

 トヨタには(現時点ですでに)年間150万台、累計1000万台オーバーのハイブリッド車生産の実績があるから、残る課題はEV用電池の供給体制のみ。

 今回の電動化戦略発表の直前に、電池生産についてパナソニックと新たな提携を進めることを明らかにしたが、こういうサプライヤーを含めた量産体制に一定のメドがついたからこそ、満を侍して電動化シフトにゴーサインが出たと見るべきだろう。

 ただし、今回のトヨタの電動化戦略、これまでの流れから見るにEVは北米と中国の環境規制対応がメインという印象。日本市場に限っていえば、EVよりもPHEVの比重が高まるんじゃないかと予想する。

 なにはともあれ、トヨタのような巨人が動き出せば、電動化の流れは大きく加速する。ぼくら個人ユーザーにとっても、今後のクルマ選びでは電動化のキーワードが不可欠になるのは間違いないでしょうね。

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