両メーカーともスクープに対し肯定はしないが否定もしない
日経新聞はカルロス・ゴーン氏が三菱自動車の会長になるというスクープを流した。これを受け、すでにTVを含めたメディアは一斉に紹介。もはや確定事項というイメージになっている。ちなみに日産と三菱自動車はこの報道を「当社は何の発表もしていない」と微妙な対応(否定をしていない)。果たしていかに?
日経新聞だって根も葉もない話を作り上げることなどしない。これくらい派手なスクープになると、多少売り上げ伸びたり話題になったりすることより、ガセネタだったときのリスクのほうが大きいからだ。おそらく相当信頼性の高い筋からの情報だと考えていい。加えて十分ありうる話だと思う。立て直しはゴーンさんのライフワークである。
流れている情報をまとめよう。まず12月に開かれる三菱自動車の株主総会後に、ゴーン氏が日産の社長兼任で三菱自動車会長に就任。つまりゴーンさんが直接三菱自動車再建の指揮を取る。そして三菱自動車の益子会長兼社長には、留任を要請しているというもの。この情報で三菱自動車の株価がイッキに10%近く上がった。
驚く声も多いけれど、先行して三菱自動車に行っている、山下副社長(元日産副社長)から情報を聞き「抜本的に取り組まないと難しい」と判断したのだろう。三菱自動車を立て直すにはゴーン氏が直接指揮を取るしかないと思う。日産の経営危機も外国人であるゴーン氏だから救えた。トヨタの元副社長が采配振るっても無理だったろう。
この報道が本当なら三菱自動車の復興は確実
このニュースの反応を見ると、もっとも多かったのは「益子社長が今の三菱自動車の状況を招いた。残したらダメだろう!」という内容。確かに今の三菱自動車の役人的な「無事是名馬」状況や隠蔽体質(風とおしの悪い社風といったほうがトゲがない?)を作り出したのは益子社長である。なぜ残すのか、常識的に考えたらまったくわからない。
とはいえ心配しなくてもいいと思う。ゴーン氏が役人体質を容認するなど、とうてい考えられない。そもそも日産は三菱自動車と同じような役人体質だったため、このあたりの攻略法は十分承知だろう。益子さんがゴーン氏の期待に応えられなければ、即刻外せばいいだけのこと。こう書くと「先日まで日本国内販売戦略は騙されていたでしょ」。
確かに縮小均衡でシェアを落とし続けた日本国内の苦境は、ゴーンさんをもってしても気づくまで時間掛かった(もしかしたらデザイン戦略も騙されているかもしれない)。ただ三菱自動車の改革という「新しい課題」が目の前に出てくれば、ゴーンパワーは再びMAXになる。個人的には三菱自動車の復興が確実になったと考えます。
(文:国沢光宏)
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