2015年8月に国内導入となった「CROSS UP!」は、はやりのクロスオーバールックに3気筒1.0Lのエンジンを搭載している。そのCROSS UP!に試乗する機会があった。<レポート:高橋 明/Akira Takahashi>
フォルクスワーゲンUP!は商品企画当初、若い世代のためのライフスタイルに合わせたフルラインアップモデルとして企画され、環境対応としては天然ガス仕様の「eco UP!」やEVの「e-UP!」、さらにFCV対応などがあり、またオープンボディの「バギーUP!」、マリンスポーツ用の「UP! azzurra」、4ドアモデルの「CROSS UP!」「GT UP!」など全方位ラインアップ的な戦略として企画されているモデルだ。
背景には企業平均燃費(CAFÉ)への対応という問題があり、小型で燃費がよく、あるいは、ゼロエミッションであれば平均値を下げることに貢献できるわけで、そうした意味では今回のCROSS UP!も、いわばフォルクスワーゲンの環境車と言えなくもないポジションにいるわけだ。当然小排気量で燃費が良くなければいけないわけで、アイドリングスストップも装備し、国内の燃費測定モードJC08では25.2Km/Lの省燃費性能を記録している。
国内のカーメーカーだと、こうした環境車には徹底的に燃費が良くなるための低転がり抵抗タイヤの装着やハイブリッドシステムの搭載などの手法がとられ、結果的にクルマを運転する愉しみや移動の楽しさがスポイルされていることがままある。ちなみにCROSS UP!に装着しているタイヤはウエット性能に優れたコンチネンタル・プレミアムコンタクト2が標準装着で、タイヤサイズは185/50-16となっている。
さすがに欧州では「走らない、走れないクルマ」は商品価値が薄く結果的には売れないということになる。そんな環境の中で生まれたのがUP!であり、さらに遊び心を付加したモデルが今回のCROSS UP!というわけだ。
◆インプレッション
試乗してみるとクルマ自体の剛性感や包まれ感はフォルクスワーゲンらしく、しっかりとした塊感のある印象だ。それをベースにサスペンションがチューニングされ、ナチュラルなハンドリングになるようにジオメトリーが設定され、そして乗り心地の悪くない減衰力を持ったスモールコンパクトに仕上げてある。
だから、試乗した箱根のワインディングでもわずか1.0L3気筒の自然吸気エンジンであっても、運転する愉しさや移動の楽しさがあり、明らかに国産車とは一線を画しているのが分かる。もちろんパワフルに走り回るという意味ではなく、75ps/95Nmというスペックなりにしか走らない。だけどFUNであると感じるわけで、感性に響くモデル造りは歴史が生み出すものなのかもしれない。
CROSS UP!は、標準車よりも10mm車高が高く、またシリーズで最大の16インチ径タイヤを装着し、クロスオバーやSUV系のルックスに仕上げてある。ラインアップとしてはCROSS UP!、クロス・ポロ、ゴルフ・クロスというラインアップの一番年下というポジションにいるわけだ。
しかし、駆動方式はFFで4WDはラインアップしていない。クルマのバックグランドからすれば4WDの必要性が低いことは理解できる。これに5速ASGが組み合わされている。ASGは2ペダルのマニュアルAMTで、日本のカーメーカーであれば、迷うことなく高効率と言われるCVTを搭載するだろうが、前述のドライバビリティを考えれば、欧州で不人気のCVT搭載は検討もされずAMT搭載となったはずだ。
しかし、試乗してみるとASG自体は特に問題は感じないが、ギヤ比が欧州仕様のままだから国内では少しギヤ比が合わない場面が多くなりそうだ。というのも40km/hで巡航したとき、4速に入らないのだ。ギヤ比が高く4速に入れても加速できない。すぐに3速に戻すことになる。エンジンも自然吸気の1.0Lで1200rpm付近でのトルクを期待するのは酷であり、このあたりのバランスが使いにくいと感じるかもしれない。
欧州の街中ではもちろん、25km/h制限とかもあるわけで日本だけが特別低速を強いているわけではないが、街を出てしまえば一般道でも100km/hで走れるというのが当たり前で、高速に乗れば150km/h前後で流れることを考えると5段のギヤは全体にハイギヤードになるだろう。フォルクスワーゲンの母国ドイツ以外でも高速道路の速度はアウトバーンほど高くはないものの、市街地の状況や郊外路の環境はどの国も似たようなものだ。日本のように郊外路でも都心部でも同じ制限速度というのは珍しい。なので、できればファイナルだけでももう少しローギヤードにするとグッと乗りやすくなると思う。
さて、このCROSS UP!は低燃費で前述の25.2km/L。欧州車の場合、国産車とはちがいモード燃費との乖離は小さいのが一般的だ。エコカー減税は取得税が60%、重量税が50%割引で、低速域での追突回避・軽減のシティエマージェンシー・ブレーキも標準装備している。
エクステリアではCROSS UP!専用の外観で、フロント&リヤバンパー、ルーフレール、16インチアルミホイール、ホイールハウスエクステンション(ホイールアーチの黒いカバー)、ブラックサイドモールディング、ドアシルプレート、シルバードアミラーが専用品として装備し、一目でCROSS UP!と分かる外観になっている。
インテリアではダッシュパッドとシートのカラーはボディカラーごとに最適な組み合わせをコーディネイトしており、ポップな印象はどの外板色でも損なわれることはないだろう。また、ドライバーの手が触れるステアリングやハンドブレーキのグリップには本革を使用しており、スモールカーながら安物感は全くない。また、ボディサイズは全長3570mm×全幅1650mm×全高1520mmで立駐にも問題なく収まる。
フォルクスワーゲンのスモールカーには遊び心とドライバビリティが同居し、さらに低燃費というクルマの作り方であり、国産車と比較すると燃費ばかり追い求めているクルマとは一線を画している。クルマ好きにとって大切な運転の魅力、デザインの魅力、品質の魅力といったものが力強く、大人な考え方に基づいた商品づくりをしているように映ってしまうCROSS UP!だった。
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