キャンピングカーに興味がある人なら、誰もが憧れる海外メーカーのキャンピングカー。なかでも広々とした豪華な室内空間は、まさに快適な旅を楽しむための”移動する家”だ。日本ではワンボックスやミニバンがベースのモデルや、軽キャンパーが人気だが、それらにはない格別の魅力に溢れている。
なお、海外ではキャンピングカーのことを「モーターホーム」と呼ぶ。全長7mを超える巨大ボディを持つ欧米製モデルの多くは、キッチンやダイネット、ベッドルームにバスルームを装備し、ゆったりとしたキャビン内は高級感もかなり高い。
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一方の国産モデルの高級路線では、トヨタ・コースターや日産・シビリアンなどのマイクロバスをベースとしたバスコン(バスコンバージョン)が人気。こちらも広さと豪華さが魅力で、欧米メーカーと比べて優越をつけるのは難しい。
今回は東京キャンピングカーショー2019(7月20日~7月21日・東京ビッグサイト青海展示棟A)に集まった、日欧米それぞれの3モデルをチェック。1000万円を超える超高級仕様を厳選して紹介しよう。
【日本:マイクロバスがベースのランドホーム】
まず紹介するのは、日本製バスコンの「ランドホーム」。キャンピングカーの製造を手がけるコーチビルダー(メーカー)として20年以上の実績を持つRVランドのフラッグシップ車だ。
展示車両のベース車体は、トヨタ製マイクロバスであるコースター(標準ボディ)で、全長6255×全幅2080×全高2740(各mm)。乗車定員10名、就寝定員5名というスペックだ。
主な特徴は、ボディカットを行なわないことで車体剛性を損なわない安全性へのこだわりと、使いやすさを追求した室内レイアウト。運転席後方にあるダイネットスペースは、ゆったりとした大人4人掛けシートとテーブル、高い断熱効果と視界を確保したアクリル二重窓などの装備で快適性はバツグン。上部にはLED間接照明、下部にリビングを照らすLED照明を備え、旅先でも自宅の居間にいるような空間を演出する。なお、シートは簡単な操作でフルフラットのベットスペースにも展開できる。
ほかにも、キッチンや冷蔵庫、電子レンジ、空調システムを装備。中央部のマルチルームはオプションでポータブルトイレや温水シャワーの設置も可能だ。また、車体後部にあるリアルームは、ゆったりとしたコの字ダイネットにできるほか、ダブルベッドにも変身可能で多機能な使い道が楽しめる。
ワンボックスやミニバンのキャンピングカーからの乗り換え組が多いというランドホーム。「いつかはバスコン」といった憧れを叶えるモデルは、1201万8518円で購入できる。
【欧州:シンプルで質感溢れるアドリア】
次は欧州代表モデル。中央ヨーロッパのスロベニア共和国にあるメーカー、アドリアモービル社の「マトリックス シュプリーム670DL(MATRIX SUPREME 670DL)」だ。
アドリアモービル社は、日本ではあまり馴染みのないメーカーだが、欧州では50年以上に渡りRV車両の設計・製造を手がけている老舗のコーチビルダー。革新的なデザインや高い品質などに定評があり、欧州トップクラスの技術と信頼性を誇る。日本では総輸入元のデルタリンクが販売している。
展示された「マトリックス シュプリーム670DL」は、フィアット デュカトをベースに、キャビン部を架装したキャブコン(キャブコンバージョン)モデル。全長7503×全幅2299×全高2810(各mm)。乗車定員5名、就寝定員5+1名だ。
注目は、欧州らしい、シンプルだが飽きがこない色調や質感を持つシートやキャビネットなどを装備したインテリア。ダイネットは運転席と助手席を180度回転させ、後部シートに着座した人たちと会話が楽しめるようなアレンジが可能。シートやソファには、クロスステッチなどが施されたブラックレザーを採用、さりげない中にもラグジュアリーな雰囲気を漂わせる。
また、ホワイトカラーと木目調の材質を組み合わせたキャビネットやキッチンも、明るくて清潔感溢れる仕様。独自のALdeシステムとベバストヒーターの組み合わせで、寒い冬でもすぐに室内が温まる暖房システムを採用する。さらに室内中央部にはバスルームと洗面台が別々に用意され、室内後部には広々としたダブルベッドも装わっていた。
アドリアのトレーラーを10年前(キャンピングカーは6年前)から輸入したデルタリンクによると、ブランドの知名度が浸透してきており、指名買いするユーザーも増えてきているという。価格(税抜)は1168万6000円だ。
【米国:キャビンが拡張するウィネベーゴ】
米国アイオワ州を拠点とするウィネベーゴ(WINNEBAGO)社は、1958年創業の老舗メーカー。「宇宙人ポール」など数多くのハリウッド映画や「ウォーキング・デッド」など米テレビドラマの劇中でも使われることが多い、いわばアメリカ製キャンピングカーの代名詞だ。国内では、日本正規代理店のニートRVが販売している。
披露されたのは、バンモデルのフォード トランジットがベースのキャブコン「フューズ23F(FUSE 23F)」。海外では、クラスCと呼ばれるモデルで、全長7350×全幅2320×全高3110(各mm)。乗車定員6名、就寝定員4名としている。
無骨なフェイスデザインと角ばったキャビン外装部が、質実剛健なイメージを醸し出すエクステリア。車体右側に乗り降り用のドアや日よけになるサイドオーニングも装備する。
インテリアは木目を存分に使い、西部開拓時代のアーリーアメリカンの雰囲気を演出。室内レイアウトは、前方にダイネットとキッチン、後部には常設のダブルベッドとトイレ&シャワールームを備えた。
なかでも注目は”スライドアウト”で、リビングのダイネット部に位置する車体側面が停車中に外側にスライドし、室内スペースを拡張することができるシステムだ。アメリカでは定番の機能だが、これにより全幅2m超の車体がより広く使える。価格(税抜)は1577万4000円だ。
セカンドハウスになるトレーラーも注目!
おまけのエピソードをひとつ。ウィネベーゴはキャンピングトレーラーも製造しており、ニートRVのブースには「マイクロミニ・フィフスホイール(MICRO MINNIE 5TH WHEEL)」が展示されていた。
ネーミングこそマイクロミニだが、全長8300×全幅2150×全高3360(各mm)と超巨大サイズ。例えばアメリカでよくみるフルサイズのピックアップトラックで牽引する場合は、とんでもない長さになる。クルマのフロントバンパーからトレーラー後端の長さは14m程度になるという。
さすがに、その長さを日本で運転するのはかなり難しい。その点を担当者に聞いたところ、実はセカンドハウスとして購入するユーザーも多いそうだ。例えば、軽井沢に別荘を持っている人が、敷地内にもう一軒家が欲しいと考えた場合、家を立てるよりもキャンピングトレーラーを設置した方が楽だし、安く上がるというわけだ。
このマイクロミニ・フィフスホイールは650万円で、同じサイズの家を立てる場合は1000万円は優に超えるだろう。セカンドハウスだけでなく、両親と敷地内で一緒に住むために購入するなど、旅先というよりまさに「家」としての需要は意外に多いそうだ。
もちろん、トレーラーを置けるだけの土地は必須だが、安上がりで家を立てるひとつの方法であることは確か。持ち家がない筆者にとっては、ちょっと目からウロコの利用法かもしれない。
いかがでしたか? 日本では「車両を置くための駐車場がない」とか、「狭い道での取り回しが心配」、「価格が高い」といった問題も多い。だが、これらモデルを販売するショップやビルダーによると、それでも「快適な旅を楽しみたい」とか、「いつかは本格的モーターホームに乗ってみたい」といった人たちは意外に多いという。
オーナーの年齢層は、30歳代後半~40歳代のファミリー層から、50歳代~60歳代の子供が独立しご夫婦で旅を楽しみたい年齢層まで幅広いという。なかには70歳以上のシルバー世代もいて、大きな車体を意外とスムーズに運転されるというから驚きだ。
また、会社経営者や自営業者などが中心。社員の福利厚生として会社名義で購入する人がいるなど、1000万円以上するモデルを買うには、使えるお金に余裕がないと難しいようだ。ちなみに、購入者の大半は現金一括払いとのこと。なんともうらやましい話だ。
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