この記事をまとめると
■クルマには家のドアにはない「半ドア」という状態が存在する
クルマのシートベルトに付いている「丸い樹脂」! 誰もが目にする謎部品の「正式名称」と「目的」とは
■完全に閉まってはいないが車内から押しても開かない
■安全のためにドアのキャッチには2段階の機構があるために起こる現象
半ドアはあえて設けられている機構だった!
1台のクルマに何人かで乗ってレジャーに出かけるのは楽しいですよね。クルマに乗り込んで、シートベルトを締めて、ナビに目的地をセットして、準備は万端。さあエンジンをかけて出発~! とそのとき、「ポーン、ポーン……」とチャイムの音が鳴り渡ります。
「あ、誰か半ドアだ……」と運転手が気付き、みんな慌ててドアを開けて閉め直す……なんて光景が、年に何度かはあるのではないでしょうか。そこで疑問が湧いてきたという人はいませんか? 「家のドアで、半ドアなんてなくない? なんで半分だけなの?」と。
多くの人は「そういうもの」として受け入れていますが、確かになんで半分だけ閉まった(開いた)状態になるのでしょう? ここでは、クルマのドアが半分の状態になる理由を掘り下げてみたいと思います。
■「半ドア」はなぜ起こる?
クルマのドアには「キャッチ」という機構が装着されています。「キャッチ」とはその名のとおりに、車体側に装着されているコの字のフック=ストライカーを「捕まえて」固定する機構です。
この「キャッチ」には、安全性を高めるための仕組みが組み込まれているために、「半ドア」という状態が発生するのです。
その安全性を高める機構というのは、ドアの締まりが不十分だったときや、走行中に誤ってドアの開閉レバーを引っかけてしまった場合などに、ドアが完全に開いてしまうことを防ぐという仕組みです。
カンタンに説明すると、ドアのキャッチには2段階でストライカーのフックを捕まえる機構が備わっています。まず、軽い力で閉めたときに第1段階のキャッチ機構が作動します。そして、もっと強い力でドアを閉めると、第1段階のキャッチ機構を越えて、その奥の第2段階目の機構でしっかりフックを固定します。
この第1段階の機構で止まった状態が「半ドア」というわけなのです。
逆にドアを開けるときはどうでしょう? 完全にレバーを引き切れば2段階の機構を一気に解放してドアが開きますが、半分くらいのレバー操作では第2段階目の機構のみ解放され、まだ第1段階の機構はロックされているのでドアは開きません。なので、ここで気付ければドアが開いて車外に転落……という事態が避けられるというわけです。
ちなみにクルマのボンネットにも同じような機構が備えられています。ボンネットを開けたことがある人なら分かると思いますが、ボンネットを開けるにはまず室内側のレバーを操作してロックを外します。するとボンネットが「ボコン」と浮き上がります。しかしこの状態ではまだボンネットは開かず、「半ドア」の状態です。クルマの前に移動して浮いたボンネットの隙間にあるレバーを探し当て、それを引いて初めてボンネットを開くことができます。
これもドアと同じで、万が一振動や衝撃でロック機構が解放されてしまっても、第2段階目の機構がキープしてくれることで、走行中にボンネットが開いてしまう事態を避けられるようになっているのです。
原始的だけど理に適っているクルマのドアの仕組み
■ドアを強く閉めないと半ドアになるのはなぜ?
ドアのロック機構が「半ドア」状態を作り出すというのはわかりましたが、クルマのドアはなぜ軽い力で完全に閉まらないのでしょうか?
それは、クルマのドアには、外からの雨や風をシャットダウンするためのゴム製のパッキンがあるからです。
そのパッキンは「ウェザーストリップ」と呼ばれ、硬貨くらいの断面積の中空構造をしています。この中空のふくらみをつぶすことでドアの面に密着して、雨や風の侵入を防いでくれています。
この「ウェザーストリップ」を密着させるためにつぶす力を加える必要があるので、クルマのドアは勢いを付けて閉めないとならないという構造上の理由なのです。
ちなみに、欧州車、とくに「アウディ」や「BMW」などのドイツ車に多いと思いますが、ドアを開けるとウインドウが自動で少し開いて、ドアが閉まるとウインドウも閉まるという動作がありますよね。あれも「半ドア」に関係があるともいえるのです。
それらの車両は、ドアもボディ剛性の一部との考えでしっかり作ってあり、そのせいで空気の逃げ場が少なく、気密性が高まっています。そのことでドアを開け閉めする際に内圧で押し返されて「半ドア」になりやすいことから、ウインドウを開いて内圧を逃がすようにしているようです。
また、この内圧を逃がすことは乗員への気圧の負担も軽減するという目的もあるようです。
このように、「半ドア」はドアの安全性と風雨の侵入を防ぐための構造的な問題が原因だということがわかりました。しかし、さすがに自動車がいまのプレスボディの構造になってからでも軽く100年以上経つというのに、まだ「半ドア」という原始的な現象から脱せないでいるのは、さすがになんとかしてほしいものですね……なんて考えてしまいますが、ようやくここ数年で、自動で「半ドア」を増し閉めしてくれる機構も実用化して普及しているようですので、完全にドアの開閉が自動化される日もそう遠くはないのかもしれませんね。
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みんなのコメント
教官と受験者私含めて三人がクルマに乗るんだが私の番で…
教官「どうしました?出てください」
私「すいません、どこか半ドアですね。」
左後ろに乗ったお姉さんが半ドアやってました。
それを見抜けたので落ち着けた、結果、無事合格。
…逆に見落としてたら失格だったろうな。
ドアのロック部をきつめに造って突っ張り棒の如く剛性の補助とする場合もありますが、そもそもドアを含めた「蓋物」は基本的にボディ剛性には関与しません。
またこの機能が付くのはサッシュレスドア車のみですが、これはBMWがE31型初代8シリーズで始めたもので、高速走行時にドアガラスが外へ吸いだされるのを防ぐ目的で全閉時にガラスがウェザーストリップの溝にはまる構造のためです。
これを採用することでガラスとウェザーストリップの密着性も高めることができましたし、副次的にドア開閉時の空気抵抗も軽減されました。