■どんなクルマ?
「あの」エクリプスとは別モノです
日産デュアリスが欧州でトップ・クラスのシェアって知ってた? 大人気の理由、なぜ?
三菱はかつて使っていた名前を再び持ち出して新しいクルマへ冠した。
前のエクリプスはクーペスタイルで、アメリカのマーケットに向けたデザインのクルマ。そのため英国での公式販売はされなかった。
今回のエクリプスはかなりファッショナブルなミドルサイズのクロスオーバーだ。ASX(日本名:RVR)とアウトランダーの真ん中という位置で、三菱がSUVのスペシャリストとしてやっていくという決意を証明しているようなラインナップとなった。
三菱はルノー日産アライアンスの一員となり、エクリプス・クロスは純粋な三菱産のクルマとしては最後のモデルになってしまう。
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基本構造はアウトランダーと同じ。全長4405mmは日産キャシュカイ(日本名:デュアリス)より長く、トヨタC-HRと「やりあう」ことを想定した結果であろう。
ルーフのラインと、新技術の組み合わせが、若者にアピールするポイントとなっている。
エンジンはまずは1種類しかない。新開発の4B40という1.5ℓ4気筒ターボエンジンで、161psを発生させる。
エントリーモデルは前輪駆動でマニュアルギアボックスを組みあわせ、CVTと4WDはオプション装備だ。
スタンダードな4WDモデルは8速オートマで、来年の販売開始を予定しているとのこと。
■どんな感じ?
「うまく」作ったインテリア
三菱は「エクリプス・クロスは革新的な新しい方向性の指針である」と述べている。ただ、初めて乗って感じた感覚は既存の製品と大差ないということだった。
外観はなめらかで、細部まできめ細やかではあるものの、真のクロスオーバーかと聞かれると頷けない。プラスティック製のフェンダーアーチモールが、見かけ倒し感をあおっている。ただしクーペのようなスタイリングは他と違う感じで良い。
内装はアウトランダーに似ている。全体的にダークカラーのスイッチ類が多い。より安価な車種とシェアするスイッチ類は、ステアリングの付け根とドアの間など、見えにくいところに隠されている。
インフォテインメントは、Apple CarPlayやAndroid Autoを主体としたもの。テスト車は自社のナビシステムを採用していない。
室内空間に関しては、前も後ろも問題ない。ドライビングポジションが少しセンターよりになったような印象である。
新開発のエンジンは力強い走りを披露してくれる。ライバルのようにCO2の排出量に固執していない点がパワーの源なのだろう。
いっぽうで気になるところもある。
エンジン、そしてCVTが……
500rpmからレッドゾーンの6000rpmまで鋭い吹け上がりをするかと問われれば答えはNO。0-100km加速のタイムは9.8秒だが、遅さがあまり気にならないのは全体の仕上がりの良さからくるものだろう。
しかしCVTに関しては仲良くなれないと感じた。決して最悪ではないものの、カーペットの上でくつろいでいるような制御がなされるはずのフィーリングは、フルスロットル状態ですら闘志を感じさせなかった。
「Super All Wheel Control」のステッカーがリアウインドウに貼られているが、このシステムは楽しさよりも堅実さがウリ。
完璧なトルク配分を確実なものとしているため、ステアリングは少し重たく、アンダーステア気味である。まるでランエボに乗っているような気分さえすることだろう。
グリップの水準は極めて高く驚かされるが、介入する電子制御が賢いとは言えない。そのうえステアリングを介して手元に伝わるフィードバックも電気アシストの影響で不足ぎみ。
いっぽうグリップ力に不安を感じることはない。またスペインの道のほとんどの場所で、乗り心地が安定感を欠くといったこともなかった。
■「買い」か?
「ちょうど中間」というマジック
最初感じたのは、エクリプス・クロスはオールラウンダーであるということ。もちろんそれは期待通り。
ただしエントリーモデルは前輪駆動なので、4WDを選べば、もっと安心できるだろう。
三菱は、RVRとアウトランダーの間のニッチな顧客を開拓しようともくろんでいる。価格も£21,000(294万円)~29,000(407万円)と、ちょうど中間くらいだ。
一過性の感情的に、ではなく、頭できちんと考え抜いた結果、わたしはこのクルマを買ってしまうのかもしれないと思った。
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