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ランボルギーニの創設者フェルッチオのハートに触れるミュージアム──第3回 ムゼオ・フェルッチオ・ランボルギーニ後編

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ランボルギーニの創設者フェルッチオのハートに触れるミュージアム──第3回 ムゼオ・フェルッチオ・ランボルギーニ後編

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ランボルギーニの最初の市販車は350GTであるが、その試作車として製作し、1963年のトリノショーでお披露目したのが350GTVだ。1964年に市販化した350GTとの大きな違いは、フロントマスクのデザインにある。350GTVにはリトラクタブル・ヘッドライトを採用していたのだ。この350GTVは試作モデルであるため1台しか現存していないが、当時のモックアップモデルがこのミュージアムには展示されている。

3つの条件下で行ったテストから分かる、ウルスの圧倒的な性能

ミュージアムに足を踏み入れると、正面奥の壁に掛けられたフェルッチオの巨大なポートレートがまず目に入る。そのポートレートの真下に鎮座しているのが350GTVのモックアップだ。フェルッチオはフランコ・スカリオーネが手がけた350GTVのフロントマスク・デザインを気に入らなかったと言われているが、フェルッチオと350GTVが揃って来場者を迎えてくれるのは、なんとも皮肉な話だ。

フェルッチオがフェラーリを意識していたことは有名な逸話でも分かる。フェラーリよりも高性能なクルマを作るべく、フェルッチオは350GTVに搭載したエンジンの設計を、もとフェラーリのエンジニアだったジオット・ビッザリーニに依頼する。ボア×ストローク77.0×62.0mm、60度バンクの12気筒エンジンは、フェラーリ250GTOをも凌駕する360ps/8000rpm、33.0kgm/6000rpmを誇り、最高速度はなんと280km/h。モックアップモデルの傍らには、V12エンジンも展示されているので、こちらも必見だ。

ランボルギーニのクルマそのものに関心のある人にとって魅力的な展示も用意されている。スケルトンモデルと開発のために使われた試作モデルである。ランボルギーニのスケルトンモデルといえば、1965年のトリノショーで発表された「TP400GTシャシー」だ。横置きV12エンジンをリアミドに搭載したローリングシャシーは話題を呼び、そのシャシーにベルトーネがデザインした外皮をまとって、翌年のトリノショーでミウラという名で発表された。ムゼオ・フェルッチオ・ランボルギーニには残念ながらこのTP400は収蔵されていないが、LMとエスパーダのスケルトンモデルを常設展示している。

LMは、いまもっとも注目を集めているSUVの1台であるウルスの始祖ともいえるモデルだ。スケルトンモデルのLMでは、フロントに積んだV12エンジンの搭載位置や車体構造をつぶさに見ることができる。エスパーダのスケルトンモデルにおいては、ドライブトレインの全容がよく観察できるようになっている貴重な展示だ。

またエスパーダの貴重な試作モデルも展示されている。コンセプトモデルのマルツァルの影響を強く受けたオレンジ色の試作エスパーダは、ドアの開閉方式がガルウイングとなっているのが特徴だ。また同じオレンジ色の試作モデルにウラッコがある。これはポップアップ式4灯ヘッドライトという斬新なアイディアだったが、市販モデルでは2灯へと改められている。これらウラッコとエスパーダの試作モデルのアイディアは、市販モデルに採用されなかったが、クルマ自体は市販された。しかし、市販化に漕ぎつけなかった試作モデルもある。それがブルーにペイントされたジャルパのスパイダーだ。ジャルパのオープンモデルのプロトタイプは2台作られたとされているが、そのうちの残存する1台だ。このほか、ランボルギーニのテストドライバーであったボブ・ウォレスが開発していたハラマGTS(レプリカ)や、ウラッコのスポーツ・レーシング・プロトタイプなども手作り感溢れる姿のまま展示されている。

フェルッチオは、自社のクルマを所有し、プライベートでも乗っていたことでも有名だ。彼の所有するランボルギーニで有名なのは、ホワイトのカウンタック400SとオレンジのミウラP400SVだ。このうちのミウラP400SVが、ムゼオ・フェルッチオ・ランボルギーニに常設されている。実はこのミウラは、フェルッチオの好みにモディファイされている。リアフェンダーの膨らみやテールライトなどを見る限り明らかにP400SVであるのだが、ヘッドライト周りには、通称「睫毛」がつけられているのだ。睫毛はミウラP400とP400Sにはついているが、P400SVにはついていない。では、どうしてフェルッチオのミウラに睫毛がついているのかといえば、彼が睫毛付きのミウラの方が好きだったというシンプルな理由。フェルッチオが自分のミウラP400SVをオーダーする時に、睫毛付きにしたというのだ。

このほかフェラーリやレンジローバーなど、ランボルギーニではないメーカーのクルマが何台も展示されている。これらはフェルッチオや息子のトニーノがプライベートで所有したクルマたちである。

美術館や博物館を訪れたなら、なにかお土産になるようなものを購入したくなる人もいるだろう。ムゼオ・フェルッチオ・ランボルギーニ内には、ミュージアムショップがあるのでご安心を。ショップには、ブルゾンやTシャツといった衣服からウオッチやアクセサリー、香水などのファッションアイテムに加え、おもしろいところではワインなども揃えられている。ただしこれらは、トニーノ・ランボルギーニのオリジナルもしくはライセンス商品。アウトモビリ・ランボルギーニのオフィシャル・アイテムではないが、ファイティングブルのエンブレムが刻印されたグッズは、車好きの人へのお土産にはもってこいだろう。ミュージアムを歩き回って疲れたという人には、ファイティングブルが大きくプリントされたエナジードリングがオススメだ(ただし、その味はレッドブルやオロナミンCの類に似たようなものだ)。

INFORMATION /
MUSEO FERRUCCIO LAMBORGHINI
ムゼオ・フェルッチオ・ランボルギーニ

住所:S.P. Galliera n. 319 – 40050 Funo di Argelato (BO) – Italy
TEL: 39 051.863366
Guided tours: 39 338.6511527
URL:https://www.museolamborghini.com/it/home/

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