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【昭和の名車108】初代セドリックは日産が初めて独自に開発した1.5Lクラスの乗用車だった【連載再開】

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【昭和の名車108】初代セドリックは日産が初めて独自に開発した1.5Lクラスの乗用車だった【連載再開】

以前に連載した「昭和の名車」では、紹介しきれなかったクルマは実はまだ数多くある。そこで108台目から連載を再開することにした。1960年代以降の隠れた名車を順次紹介していく。通算第108回は、昭和35年(1960年)に発売された初代の「日産 セドリック(30型)」だ。

日産 セドリック(30型):昭和35年(1960年)4月発売
日産は戦後大きく遅れをとった乗用車生産技術を習得するため1952年(昭和27年)からオースチンA40をノックダウン生産。1956年にはA50の完全国産化を実現したが、1960年3月に英BMC社との契約が終了するため、日産独自の1.5Lクラス乗用車開発が急務となっていた。

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戦後初の“ニッサン”ブランド乗用車の開発に際しては、
1)斬新で豪華なスタイル、
2)小型車規格内で6人乗りとして十分なスペース、
3)乗り心地/高速安定性/操縦性/制動性能にはとくに注意を払い大型車の感じを与える、
という重点目標が置かれたという。

1960年(昭和35年)4月に発売されたセドリックは、Aピラーを前傾させたパノラミック(フロント)ウインドーやメッキパーツの多用などアメリカ車の影響を強く受けたスタイリングに、ワイド感を強調する縦目丸4灯という独自の個性をプラス。前後ベンチシートの室内も3人並んで座れる幅を持っており、前:ダブルウイッシュボーン/コイル、後:3枚リーフ/リジッドサスペンションはそれぞれ280mm/180mmのストロークを確保してソフトな乗り心地を実現していた。

機構面では、ユニットコンストラクション(モノコックボディ)で車重をデラックスで1195kgに収めたのが画期的だった。構造はサイドシルを主要強度部材とするA50の発展型だが、国産1.5Lクラスでは初採用だったし、ボディ剛性もA50より曲げ1.14倍、捻り1.31倍になったと公称している。

エンジンは1488ccの直4 OHVで圧縮比8.0と2バレルキャブにより当時としては高回転だった5000rpmで71psを発生した。トランスミッションは唯一A50から引き継いだ4速MTで、2速以上に付くワーナー製のボークリング(シンクロナイザーリング)により、確実で気持ちよいシフトを実現していた。

動力性能は16.8kg/psの馬力荷重を活かし、0→80km/h加速は13.7秒を計測(モーターマガジン誌による車載メーターとストップウオッチによる計測。雨天の4名乗車)。ハンドリングも、巧みなサスペンションセッティングと6.40-14タイヤにより、当時としては異例ともいえる弱アンダーステアを維持した。操舵系はギア比17.3のウオーム&ローラーと直径430mmのコーン型ステアリングを採用。ロックtoロック3.5回転と操作が忙しいとはいえ非常に素直なものだった。ブレーキは、セルフサーボ機能を持ち軽い踏力で強力な効きが得られる前:ユニサーボ、後:デュオサーボが採用された。フェザータッチのペダルフィールは女性に好評だった一方、慣れないうちは効きすぎるという人も多く、評価は二分している。

装備の充実もセドリックの美点のひとつで、デラックスにはヒーター、ラジオ、時計などが標準装備される。とくにラジオはアンテナ/バッテリー/スピーカーを内蔵していて、車載時には12V電源に接続して自動車ラジオとなり、専用キーで取り外せば車外に持ち出せるポータブルラジオとなるアイディアで注目された。またオプションでヒーター/クーラー両用のダッシュタイプエアコンも装着可能で、エンジンブロックにあらかじめコンプレッサー取り付け用の穴が設けられるなど、グレードアップを見越した準備も怠りない。



日産 セドリック デラックス(1960年)主要諸元
●全長×全幅×全高:4410×1680×1520mm
●ホイールベース:2530mm
●重量:1195kg
●エンジン型式・種類:G型・直4 OHV
●排気量:1488cc
●最高出力:71ps/5000rpm
●最大トルク:11.5kgm/3200rpm
●トランスミッション:4速コラムMT
●タイヤサイズ:6.40-14 4P
●価格:101万5000円

[ アルバム : 日産 セドリック(1960年) はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

1件
  •  初代セドリックはボデーの種類が17種類存在します。その時々に合わせて作っていたんですね。
     昭和35年の秋になりDXの上級グレードカスタムが用意されこの頃後部席専用ヒーターが作られました。走行性能ではライバルのクラウンと比べると地味で4速ギヤですが1速はエクストラローで、当時急勾配の峠道を走るにはセドリックの方が走りが良かったです。当方が住んでいる山形では今の国道13号線48号線ではクラウンと比べたら絶対的にセドリックが運転しやすかった筈ですよ。
     私はクラウンオーナーですが48号線の旧関山で鈍重なトラックが前に居るとローギヤーで下から関山隧道まで走らせる必要があり、オーバーヒート寸前でした。セドリックもヒート気味になりますがでも余裕があります。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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