サルーンの車内空間にスーパーカー級の走り
スタイリッシュでありながら、優れた実用性と高い走行性能を両立させた例ほど、魅力的なモデルはないだろう。アウディR8級の走りに、日常的な使い勝手を求めるなら、RS7 スポーツバックという選択肢がある。
【画像】R8へ迫る走りを4ドアで アウディRS7 スポーツバック 同時期のRS6 アバント 現行モデルも 全119枚
サルーンと同等の車内空間にスーパーカーへ迫る走りを融合し、クーペ風ボディをまとうRS7は、従来的なモデルの存在意義を危うくする。快適に大柄な大人4名を移動させながら、0-100km/h加速を3.9秒でこなせるのだから。
最高速度は、形式的に249km/hでリミッターが掛かる。しかし、新車当時に1500ポンドのオプションを支払えば、304km/hまで引き上げることが可能だった。
低く滑らかなボンネットに収まるのは、休日の早朝に真価を発揮させるのにふさわしい、4.0LのV型8気筒ツインターボ・エンジン。当時のベントレー・コンチネンタルGTとベースを共有し、560psの最高出力と71.2kg-mの最大トルクを叩き出す。
この数字は、同時期のメルセデス・ベンツCLS 63 AMGより50ps以上もパワフル。BMW M6をも上回る。現在でも、これ以上の動力性能が必要になる場面はないはず。
もっとも、RS7の場合は急がずとも実力が表面に表れている。アウディR8と同様に、駐車場に停まっているだけで速く走りそうなスタイリグは大きな魅力。風洞実験で形状を煮詰めたような容姿は、とても印象的だ。
アウディらしく高品質なインテリア
そんな注目度の高い初代RS7だが、欧州で販売が始まったのは2013年。2015年にフェイスリフトを受け、ヘッドライト・ユニットが新しくなり、バンパーの造形がシャープになった。
インテリアはアウディらしく高品質。日常的に触れる場所にはレザーが惜しみなく用いられ、殆ど触れないようなプラスティック製パネルもソフトタッチ加工されている。バング&オルフセンのオーディオシステムも、オプションで用意されていた。
当時のモデルらしく、ダッシュボードには実際に押せるハードボタンが多く、インフォテインメント用モニターは小さく解像度も荒い。内装のデザインは年代を感じさせる。
郊外の一般道でムチを入れれば、10年前のモデルなことはすぐに忘れるはず。アウディのレン・シュポルトという称号を与えられるだけあって、四輪駆動システムが生むトラクションで走る道を選ばない。
知的なトルクベクタリング・システムのおかげで、シャシーの限界に迫っても安定性は失われにくい。ただし、ステアリングホイールには殆ど路面の感触が伝わらない。コーナーでの充足感は、高いとはいえないだろう。
RS6 アバントという兄弟モデルが存在し、実用性では及ばない。RS7は滑らかにカーブを描くルーフラインの影響で、荷室は少々狭い。それでも、リアシート側の空間に不足はない。大きなリアハッチを開けば、家族旅行に充分な容量の荷室が広がる。
スタイリッシュで実用的で、すこぶる速い初代アウディRS7 スポーツバック。R8の4ドア版として、内燃エンジン時代の終わりに楽しむのも悪くはないはずだ。
新車時代のAUTOCARの評価は
シリアスなドライバーは、ステアリングホイールの感触の薄さなど、クルマとの一体感の低さを嘆くかもしれない。しかし、現実的に展開できる圧倒的なスピードが、運転の楽しさを生んでいることは間違いない。
アウディRS7は、国土の広い市場にとっては理想的なモデルといえる。数名の大人と少なくない荷物を、高速で快適に遠くまで移動させることができる、スタイリッシュなクーペ風サルーンだ。(2013年11月6日)
専門家の意見を聞いてみる
アレックス・グリーン氏:フォンテイン・モーターズ社
「アウディRS7はRS6 アバントと兄弟関係にありますが、仕上がりはかなり異なります。動的能力は同等ながら、スタイリッシュで洗練され、上品さが漂いますね」
「コストパフォーマンスが高く、実用性も犠牲にしない高性能モデルをお探しなら、RS7ほど有力な選択肢はないでしょう。RS6 アバントより中古車価格はお手頃という点も魅力です。圧倒的な動力性能と優れた品質が、現実的な費用で手に入ります」
「維持費や部品代は、確かに少々高額です。燃費も良くはありません。しかし、値段と速さを天秤にかければ、これに勝る選択肢はかなり少ないはずですよ」
購入時に気をつけたいポイント
リコール
アウディはリコールを英国で複数出している。その1つは、ターボチャージャー内のエンジンオイルの循環系が詰まり、パワーロスとエンストに繋がる可能性があるという内容。これは2013年から2017年のRS7が対象だった。
もう1つは、エアコンの補助ヒーターのコネクターが正しく接続されておらず、不調や出火に繋がる可能性があるというもの。これは、2014年後半に製造されたRS7が対象。正規ディーラーで対応済みか確認しておきたい。
エンジン
バルブの開閉時間を調整するカムシャフト調整コントロール・バルブが緩み、エンジンの回転が安定しなくなる場合がある。幸い、内部構造へのダメージはないようだ。メーターパネル内の警告灯で、その兆候を教えてくれる。
タイヤとブレーキ
車重がかさみパワフルなRS7なだけに、タイヤやブレーキの減りは速い。購入時には、タイヤの残り溝や銘柄、ブレーキパッドの厚み、ディスク面の状態を確かめたい。メンテナンスに掛けられた予算の判断材料にもなる。
トランスミッション
一部のオーナーは、7速ATの内部から金属音が聞こえることを報告している。予め試乗し、異音がないか確かめたい。もし聞こえるなら別の個体を探すか、英国では5000ポンド(約80万円)ほど掛かる載せ替え費用を準備したい。
知っておくべきこと
この時代のアウディで共通する弱点といえるのが、酸素センサーの寿命が短いこと。数年毎に交換が必要な場合もあり、メーターパネル内の警告灯で教えてくれる。英国での交換費用は200ポンド(約3万円)前後になる。
高性能モデルなだけに、基本的な整備は非常に重要。これまでもハイペースで運転されてきたはず。可能なら、アウディの認定中古車を選びたい。予め過去の整備記録を確かめ、購入後に詳しいショップやディーラーで点検・整備してもらうのも良いだろう。
英国ではいくら払うべき?
2万7000ポンド(約432万円)~2万9999ポンド(約479万円)
走行距離が10万kmを超えるような、フェイスリフト前の初代RS7を英国では購入できる価格帯。複数オーナーの場合が多い。しっかり整備記録は確認したい。
3万ポンド(約480万円)~3万4999ポンド(約559万円)
走行距離が10万km以下へ短くなる。状態も良くなり、保証が付いている例も多い。フェイスリフト後のRS7も含まれてくる。
3万5000ポンド(約560万円)~3万9999ポンド(約639万円)
フェイスリフト前の例なら、かなり走行距離が短くなる。フェイスリフト後でも、走行距離は6万km以下が多いようだ。カーボンパッケージなど、好ましいオプションを搭載する例も英国では探せる。
4万ポンド(約640万円)~4万8999ポンド(約783万円)
走行距離が3万kmを切るような、素晴らしいコンディションの初代RS7を英国では狙える。珍しいボディカラーも出てくる。
4万9000ポンド(約784万円)以上
2016年から2017年式の、モデル末期の初代RS7を英国では探せる。613psを誇った、限定のパフォーマンス・エディションも執筆時に発見できた。
英国で掘り出し物を発見
アウディRS7 スポーツバック4.0 TFSIクワトロ 登録:2015年 走行距離:2万5700km 価格:4万5975ポンド(約735万円)
アウディの正規ディーラーが認定中古車として売るRS7。走行距離はかなり短く、1万ポンド(約160万円)以上のオプションが装備されている。状態は間違いないだろう。
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みんなのコメント
こんな特徴ある車種は他にないよ。
当時海外インプレでR8の4ドアだとまで言われた名車。