数年で急速に上昇している147 GTAの価値
クルマという工業製品は、不思議な存在だ。生産終了からだいぶ時間の経過した、アルファ・ロメオのハッチバックもその1例だと思う。貨幣価値が変わったとはいえ、英国では11万km以上走った147 GTAが新車時に近い数字で取引されているのだから。
<span>【画像】傑作NA V6搭載 アルファ・ロメオ147 GTA 156とミト、最新のジュリアGTAmも 全71枚</span>
アルファ・ロメオ147 GTAが、モダン・クラシックとして魅力度を高めている証拠といえる。少しばかりの弱点が一緒だとしても。
その弱点を生んだ理由は、フロントタイヤだけで250psの高馬力を受け止めているから。147 GTAは明らかなフロントヘビーで、速度が高すぎるとカーブをストレートのように通過した。オプションで選べたリミテッドスリップ・デフ(LSD)で、改善できたが。
高い馬力に対して、明らかにブレーキも頼りなかった。それを受けてか、当初オプションだったアップグレード仕様のディスクブレーキが、後に標準装備となっている。
147 GTAの現在の中古車価格を調べてみると、英国では8000ポンド(約123万円)くらいが下限。状態の良い例では、2倍近くまで上昇する。
ちょっと近年は過熱気味に思えるが、ここ数年間で147 GTAの価値は間違いなく上昇している。2017年なら、4000ポンド前後から購入することができていた。
もちろん、安価な例が8000ポンド(約123万円)に上昇したからといって、信頼性も高くなったわけではない。比較的安心して乗れる147 GTAが欲しいなら、英国では1万2000ポンド(約184万円)前後の価格帯から探した方が無難だろう。
パワフルで甘美に吹け上がる3.2L V6
いい値段の147 GTAを買ったとしても、ある程度のメンテナンスコストは銀行口座に残しておきたい。ランニングコストも手頃とはいえない。フロントタイヤは8000kmも走れば溝がなくなるし、燃費は良くて8.0km/Lくらいだ。
でも好調なら、アルファ・ロメオ147 GTAは心奪われるホットハッチだ。美しいボディのフロントに、3.2L 24バルブの自然吸気V型6気筒エンジンを搭載している。
MTの147 GTAの方が価格は高い。アルファ・ロメオ・ファンなら、MTにこだわりたいという人も多いだろう。
セレスピードと呼ばれた、セミ・オートマティック版の方が少し安い傾向がある。英国で流通する走行距離が短く状態の良いセレスピードは、日本から輸入されたものが多い。
V6エンジンのオリジナルは、アルファ・ロメオの技術者、ジュゼッペ・ブッソ氏が1970年代に設計した2.5L仕様へ遡る。彼にちなんで、ファンの間ではブッソV6と呼ばれることも多いユニットだ。
このエンジンは力強いだけでなく、素晴らしい美声とともに、甘美に高回転域まで吹け上がる。ボンネットを開けば、美しく並んだ6本のインテークパイプが姿を見せ、眺めているだけで笑顔になる。その個性から、一目置かれる存在となった。
最高出力は250psで、同世代のアウディS3やフォルクスワーゲン・ゴルフR32をも上回った。だがライバルが四輪駆動だったのに対し、147 GTAは前輪駆動。先に触れた幾つかの弱点が、チャレンジングな道ではドライバーを悩ませた。
危険な問題と呼ぶべきか、スリリングな特色と呼ぶべきか。それは、受け止め方次第かもしれない。
シャシー能力以上にクイックなステアリング
現在の147 GTAの中古車を調べてみると、かなりの走行距離を刻んでいる例も多く、耐久性は悪くないようだ。それでも、サスペンションのリフレッシュなどは定期的に必要になる。
ステアリングの反応は、クイックな状態が正常。むしろ、シャシーが許容できる以上にクイックだった。乗り心地はしなやかながらコシがある。もしたるんでいる印象なら、思い切ってアイバッハやビルシュタインのコイルオーバー・キットに交換したい。
ボディは亜鉛メッキ処理されており、錆びにくいのが嬉しい。サビが出ているなら、過去にダメージを受けた部分か、修理が適切ではなかった証拠だろう。
車内にはレザーシートが奢られているが、表皮は意外にも堅牢。車載の機能がすべて動作するか、事前の確認は忘れずに。
コストが心配?イタリアン・クラシックカーなのだから、多少は当然と割り切るしかない。
購入時に気をつけたいポイント
エンジン
タイミングベルトは、9万6000km毎か4年毎の交換が推奨。飛び石でダメージを受けやすい、フロントのオイルクーラーの状態を確かめたい。エンジンの下まわりを目視し、オイル漏れがないかも確認する。
後期型の場合は、高速走行時にオーバーヒート状態にならないか、試乗で確認したいところ。ウオーターポンプの水車、インペラーの破損で冷却性能が落ちることが原因だ。
トランスミッション
MTの場合は、ベアリングの摩耗で変速が重くなったり、引っ掛かりを感じるようになる。メインベアリング付近からのフルード漏れにも注意。クラッチペダルの動作は、試乗で確かめる。
セミオートマティックのセレスピードは、滑らかに変速されるか確認する。修理は安くできない。
ブレーキとサスペンション
フロントブレーキのパッドとディスクは、すぐに摩耗してしまう。減り具合は予め確認する。英国では250ポンド(約3万8000円)程度で部品は買える。
フロント側のウイッシュボーンは、11万kmほどで交換の必要が出てくる。アンチロールバーから異音が出ていないかも確かめる。
ショックアブソーバーも同じくらいの走行距離でヘタってくる。ガス漏れしていないか目視したい。3.2LのV6エンジンは重く、オリジナル状態ならブッシュ交換も必至。
ボディ
基本的に147 GTAは錆びにくい。だが、一部のクルマはフロントシート後ろ側のフロアで酷く錆びていることがあるようだ。過去の事故歴を確かめ、修理の状態を観察する。
赤い塗装は経年劣化で色あせしたり、クリア層が剥がれやすい。ドアハンドルにガタが出ていないか、開け閉めして確かめる。
インテリア
フォルクスワーゲン・ゴルフではないので、すべての機能が正常に動くか、入念にチェックしたい。仮に見た目は良くても。
専門家の意見を聞いてみる
ジェイミー・ポーター、アルファ・ワークショップ社代表
「もしカーライフに興奮が足りないなら、アルファ・ロメオ147 GTAはいかがでしょう。LSDなしで250psのパワーをフロントタイヤで受け止めさせようと考えたエンジニアは、どうかしていたのかもしれませんが、すこぶる楽しいクルマです」
「わたしも6年ほど所有していたことがあり、今でも欲しいと思います。今はジュリア・クアドリフォリオに乗っていますが、147 GTAの方が楽しかったと、偽りなくいえます」
「147 GTAの値段は、爽快に吹け上がる3.2L V6エンジンの値段。ボディはタダ同然かもしれません。ただし、安くは維持できません。フロントタイヤは、わたしの場合は6500kmほどしか保ちませんでした」
「定期的なタイミングベルトの交換も必要です。楽しむなら、ブレーキとウイッシュボーン、アンチロールバーのリフレッシュもしたいですね」
知っておくべきこと
多くの147 GTAには、アルファ・ロメオ社製か社外品のリミテッドスリップ・デフ(LSD)を装備している。アンダーステアをなだめ、フロントノーズの挙動を落ち着かせてくれるから、装備させたいアイテムの1つ。
もし装備されていなければ、販売店に相談して取り付けてもらっても良いだろう。英国のアルファ・ワークショップ社の場合、1490ポンド(約23万円)で後期型用のLSDを組んでくれるという。
英国ではいくら払うべき?
7000ポンド(約107万円)~9499ポンド(約145万円)
個人売買の147 GTAを英国では購入できる価格帯。MT車も出てくる。
9500ポンド(約146万円)~1万1999ポンド(約183万円)
日本から輸入された、セレスピードの147 GTAが中心。比較的状態が良く、走行距離も短めになる。
1万2000ポンド(約184万円)~1万4499ポンド(約222万円)
状態の良い例が増える。新車時から英国にあるMTの例や、日本から輸入されたセレスピードなど、選択肢も広がる。
1万4500ポンド(約223万円)以上
ベストの状態の147 GTAが英国では購入できる。走行距離より、コンディションや希少性で値段が付けられているようで、強気な価格のものも含まれる。
英国で掘り出し物を発見
アルファ・ロメオ147 GTA 登録:2003年 走行距離:14万8000km 価格:9000ポンド(約138万円)
オーナーが大切に維持してきた、個人売買の147 GTA。整備記録はすべて揃い、サスペンションはアップグレード済み。フロントブレーキは330mmの大径タイプが組まれ、ヒーター付きのレザーシートも備わる。
タイミングベルトの交換時期と、タイヤやブレーキの状態は不明なので、事前に確認したいところ。2004年式で同程度のコンディションの147 GTAより、3000ポンド(約46万円)ほど安いのには理由があるかもしれない。
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