現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ニッポンのための超特別なレンジローバーが凄い──ふたつの限定車に迫る!

ここから本文です

ニッポンのための超特別なレンジローバーが凄い──ふたつの限定車に迫る!

掲載 1
ニッポンのための超特別なレンジローバーが凄い──ふたつの限定車に迫る!

レンジローバーが日本の顧客向けに手がけた、特別仕様車が出た。はたして、合計9台のみの超スペシャルなふたつのモデルとは? 小川フミオがリポートする。

日本文化からインスピレーションを得てデザイン

華やかな万能選手──新型メルセデス・ベンツCLE200カブリオレ試乗記

レンジローバーが日本で大変おもしろいことを始めた。名付けて「レンジローバーハウス」。2024年6月13日から16日にかけて開かれたのは、二度と手に入らない限定車両の紹介と、ミシュランの星付きシェフによる特別料理のふるまいだった。

レンジローバーハウスは、レンジローバーにおいてもチーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めるプロフェッサー・ジェリー・マクガバンOBEの指揮のもと、“レンジローバーが目指すモダンでサステナブルなラグジュアリーとデザインリーダーシップを体験する場”として、2022年より、世界20カ国以上で開催している招待制のイベントだ。

「おおいに好評を博してきたもので、日本でも、という運びになりました」

日本法人でマーケティングと広報のディレクターを務める英国人・マシュー・スリースはそう説明した。日本で初のレンジローバーハウスは、東京・中目黒。ここで特別な内外装を持った2台の限定仕様車が初公開され、受注もおこなった。

発表されたのは、日本限定の特別仕様車2モデル。具体的にはレンジローバーSVビスポーク・バルモラル・エディションとレンジローバーSVビスポーク1858エディションだ。

レンジローバーSVビスポーク・バルモラル・エディションは限定5台の標準ホイールベース(SWB)モデル。車名の由来は、スコットランド・アバディーンシャーにある英国王室が所有するバルモラル城からという。

車体色は、1980年代に販売していていまも人気の高い4ドアのクラシック・レンジローバーに使われていたもの。とりわけ、故エジンバラ公が乗っていて、前のエジンバラ侯爵(現在のエジンバラ侯爵はエドワード王子)が乗っていた「OXR1」ナンバーの車両の車体色を現代風に再解釈したものだそう。

「ルーフとミラーカバー、アルミホイールインサートにビスポークグレイを組み合わせ、華美になり過ぎない控えめな個性を表現しました」とはレンジローバーの言。インテリアには「質感が良く、(いっぽう)製造工程においてレザーよりもCO2排出量の少ないウルトラファブリックを採用した」と、説明される。

レンジローバーSVビスポーク1858エディションは、ロングホイールベースモデルがベースで、限定なんと4台。車名にある数字は、日英修好通商条約が両国間で締結され、外交関係が築かれた1858年にちなんだものだそう。

車両の仕上げは、「日本文化からインスピレーションを得てデザインした」と、レンジローバーは言う。室町時代の墨絵に着想を得て、内外装ともにモノトーンでまとめられていて、たとえば車体色の「ビスポークライトグレイ」は墨絵のぼかし技法を表現するため、限りなくホワイトに近い色として開発したそうだ。

ふたつのモデルに共通するのは、ラグジュアリーを追求しながら、環境にも配慮した素材を選択していること。日本で企画して、英国本社のデザインディレクターが最終的に承認したというだけあって、完成度は高く、レンジローバーに新しい魅力をつけ加えている印象なのだ。

レンジローバーでは、シートの肩の部分に刺繍を施して、デザインにおける独自の世界観を上手に表現しているのがひとつの特徴になっている。今回の限定モデルでは、そこを「着物の柄を参考にした模様にしました」と、スリース。

もうひとつ、レンジローバー SVビスポーク 1858 エディションでたいへん特徴的なのが、シートのカラーを前席と後席とで変えている点。前席は濃いめのグレー(シンダーグレイ)が主体で、後席はグレーでも色合いがやや明るめ(ライトクラウド)というユニークでたいへんすばらしい選択だ。

452kWの最高出力と750Nmの最大トルクを誇る4.4リッターV8エンジンと全輪駆動システム、さらに後輪操舵による高い操縦性を楽しもうというひとのための前席と、もてなしを受けるひとのための後席。機能を色で分けているようなアイディアがうまく昇華されているかんじだ。

さらに、レンジローバーハウスでは、外板色をはじめ、シート地、ダッシュボード、カーペット、さらにはボンネットのロゴにいたるまで、カスタム化のためのサンプルを展示。自分だけの世界観を表現したいという贅沢な顧客のための、一時的なショールームとしても機能していた。

東京のレンジローバーハウスでは、加えて、特別な食体験というもてなしがなされた。東京・中央区の馬喰町にあるレストラン「nôl」を招聘し、ゲストにフルコースを提供。

「野田達也シェフひきいるnôlは、ミシュラン東京一つ星獲得店であり、さらに(持続可能なガストロノミーに対し積極的に活動するレストランとして)グリーンスターもと高い評価を受けており、レンジローバーハウスに招いたのは、もうひとつ、コンセプトのすばらしさに共感し、それをゲストの方々とシェアしたかったからです」(スリース)

フランスでのレストラン勤務などの経験を持つ野田シェフの料理の特徴は“循環型”などとされる。廃棄されがちな野菜の端材を使った「ゴミのスープ」や、キャビアをとったあと肉が捨てられてしまう宮崎産のチョウザメなどを積極的に使いコースを構成する。

食べてみると、美味はあらゆるところで、発見されるのを待っているのだという思いを強くする。つまり、初めて体験するおいしさがコースとして次々に登場する。なんとも嬉しい驚きの連続だ。

食材自体が厳選されているうえに、調理方法が的確。野菜スープの複雑でかつ押しつけがましくない味わいや、ポシェ(ゆっくりと煮込んだ)したチョウザメの肉の淡い味が、品のいい塩味の日本産キャビアとじつによく合っていた。

日本の食材を使い、脂の使用などを抑え、かつ、食材の廃棄を少なくするという世界的な課題とも向き合っている。レンジローバーハウスは、たいへんいいシェフとのコラボレーションを実現したと、おそらく体験した人はみな、思ったのではないだろうか。

さらに、「GALLERY HAYASHI + ART BRIDGE」という銀座のギャラリーが、若手のアーティストの作品を持ち込んだ。これもかなりよかった。柏木崇吾の「ある閉ざされた『一瞬』のうちに」は、採取した石にコケを生やした作品。

「人間社会と自然の共生を探求するバイオアートの文脈で作られた作品」と、ギャラリーでは説明している。言うまでもなく、クルマ(レンジローバー)と人との、あらまほしき関係も連想させるのだった。

ベルリンにもアトリエを持つ手塚愛子の「閉じたり開いたり そして勇気について(拗れ)」は、ジャガード織りを使った作品で、今回のレンジローバーハウスの主題のように、江戸時代からの英国と日本の歴史を織り込みつつ、ちょっとコミカルな現代的モチーフをちりばめている。こちらも、今回のレンジローバーハウスの主題に即したコンセプチュアルな選択と感心。

「レンジローバーでは、これまでも日光や長野などで、顧客の方々に、特別なドライブ体験や宿泊体験を味わっていただいた実績を持っています。レンジローバーがグローバル規模で推進しているレンジローバーハウスは、出来れば来年もどこかいい場所を選んで開催し、さらにそのコンセプトを突き詰めて、顧客の方々に喜んでいただきたいと考えています」(広報マネージャーの加藤理恵子)

今回、発表されたレンジローバーSVビスポーク・バルモラル・エディションはレンジローバーSV P615 SWBがベースで、価格は¥38,660,000。レンジローバーSVビスポーク1858エディションはレンジローバーSV P615 LWB」がもとになり、¥48,500,000。

2024年6月20日より、全国のジャガー・ランドローバー・ジャパン正規販売ディーラーネットワークにて受注開始。ただし、レンジローバーハウスのゲストから、はやくも数台ぶんの予約が入ったとか。レンジローバーの世界観が富裕層に評価されていることの、なによりの証明だ。

文・小川フミオ 編集・稲垣邦康(GQ)

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ジャガーEタイプ S1(2) スタイリングにもメカニズムにも魅了! 人生へ大きな影響を与えた1台
ジャガーEタイプ S1(2) スタイリングにもメカニズムにも魅了! 人生へ大きな影響を与えた1台
AUTOCAR JAPAN
もの凄く「絵になる」クルマ ジャガーEタイプ S1(1) そのすべてへ夢中になった15歳
もの凄く「絵になる」クルマ ジャガーEタイプ S1(1) そのすべてへ夢中になった15歳
AUTOCAR JAPAN
日本の「ペダル踏み間違い防止技術」世界のスタンダードに! 事故抑制のため国際論議を主導
日本の「ペダル踏み間違い防止技術」世界のスタンダードに! 事故抑制のため国際論議を主導
乗りものニュース
90年前の“博物館級”のオートバイがオークションに登場 “2輪界のロールス・ロイス” 1936年製ブラフ・シューペリアがカッコ良すぎる
90年前の“博物館級”のオートバイがオークションに登場 “2輪界のロールス・ロイス” 1936年製ブラフ・シューペリアがカッコ良すぎる
VAGUE
HRC渡辺社長、フェルスタッペンの4連覇を祝福「ホンダ/HRCとしてサポートし続けてこられたことを誇りに思う」
HRC渡辺社長、フェルスタッペンの4連覇を祝福「ホンダ/HRCとしてサポートし続けてこられたことを誇りに思う」
motorsport.com 日本版
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
くるまのニュース
本拠地の欧州で「メルセデス・ベンツのタクシー仕様」シェア急降下! なぜ? 「“ベンツのタクシー”に乗れたらラッキー」な時代が到来するのか
本拠地の欧州で「メルセデス・ベンツのタクシー仕様」シェア急降下! なぜ? 「“ベンツのタクシー”に乗れたらラッキー」な時代が到来するのか
VAGUE
「銀の皿」に「レジ横のガム&タバコ販売」に1000円以下のメニューと「ザ昭和」がたまらない! トラック野郎を癒し続ける「采女食堂」はぜひ立ち寄るべし【懐かしのドライブイン探訪その5】
「銀の皿」に「レジ横のガム&タバコ販売」に1000円以下のメニューと「ザ昭和」がたまらない! トラック野郎を癒し続ける「采女食堂」はぜひ立ち寄るべし【懐かしのドライブイン探訪その5】
WEB CARTOP
ラッセルが今季3度目のPP獲得。ガスリーと角田裕毅がQ3で健闘見せる【予選レポート/F1第22戦】
ラッセルが今季3度目のPP獲得。ガスリーと角田裕毅がQ3で健闘見せる【予選レポート/F1第22戦】
AUTOSPORT web
F1ラスベガスGPで追い上げ2位のハミルトン「予選がしっかりできれいれば、楽勝だったろうに」
F1ラスベガスGPで追い上げ2位のハミルトン「予選がしっかりできれいれば、楽勝だったろうに」
motorsport.com 日本版
中央道「長大トンネル」の手前にスマートIC開設へ 中山道の観光名所もすぐ近く!
中央道「長大トンネル」の手前にスマートIC開設へ 中山道の観光名所もすぐ近く!
乗りものニュース
ペレス、チームメイトのフェルスタッペンとは対照的に10位が精一杯「レッドブルは最高のチーム。来年は良いマシンが作れるはず」|ラスベガスGP
ペレス、チームメイトのフェルスタッペンとは対照的に10位が精一杯「レッドブルは最高のチーム。来年は良いマシンが作れるはず」|ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
「ん、ここ工事してなくない?」 高速道路の車線規制“ムダに長い”場合がある理由とは?
「ん、ここ工事してなくない?」 高速道路の車線規制“ムダに長い”場合がある理由とは?
乗りものニュース
日本専用の新型「“MR”スポーツカー」初公開! 旧車デザイン×「ネットゥーノ」エンジン採用! 600馬力超えの「チェロSE」登場
日本専用の新型「“MR”スポーツカー」初公開! 旧車デザイン×「ネットゥーノ」エンジン採用! 600馬力超えの「チェロSE」登場
くるまのニュース
ピエール・ガスリー、予選3番手から無念マシントラブル脱落に「顔面平手打ちされたみたい」残り2戦にポテンシャルは確信|F1ラスベガスGP
ピエール・ガスリー、予選3番手から無念マシントラブル脱落に「顔面平手打ちされたみたい」残り2戦にポテンシャルは確信|F1ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年11月17日~11月23日)
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年11月17日~11月23日)
Webモーターマガジン
F1マシンを脇に歌舞伎……来春鈴鹿のグリッドでも! 日本GPアンバサダーに就任した市川團十郎「息子と歌舞伎の扮装で踊る計画を」
F1マシンを脇に歌舞伎……来春鈴鹿のグリッドでも! 日本GPアンバサダーに就任した市川團十郎「息子と歌舞伎の扮装で踊る計画を」
motorsport.com 日本版
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
くるまのニュース

みんなのコメント

1件
  • 投資家のコメント
    私はGクラスのファンですが、こういう紳士的な雰囲気のSUVも良いですなぁ。山道を走るというよりは都市部をエレガントに走るのに相応しい車ですね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1835.03267.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

100.03580.0万円

中古車を検索
レンジローバーの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1835.03267.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

100.03580.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村