ドライバーズカーとして高く評価できる
最初から結論。ヒョンデ・アイオニック5 Nは、純粋なドライバーズカーとして高く評価できる、初めてのバッテリーEVだと思う。
【画像】初の電動ドライバーズカー アイオニック5 N 英編集部が評価する運転が楽しいEVは? 全139枚
2000馬力超えのハイパーカーから小さな前輪駆動のハッチバックまで、印象的な電気自動車は何台か存在する。だが、アイオニック5 Nは最高に運転が楽しいと、確信を持ってご紹介できる。
振り返れば、内燃エンジンのi30 Nとi20 Nは、それぞれのクラスでベストと呼べるホットハッチへ仕上がっていた。同社の高性能部門、Nパフォーマンスの好調ぶりも伝わってくる。
ヒョンデは、優秀な人材の採用にも積極的。2019年には、フォード・フォーカス RSの開発にも尽力した、ティロン・ジョンソン氏も招聘した。彼の才腕も、アイオニック5 Nへ反映されているに違いない。
ベース車両はアイオニック5。ボディシェルは、剛性を高めるため溶接ポイントが42か所も増えている。パネル類を結合する接着剤は、2.1mぶん長く用いられているそうだ。
クイックなレシオに設定された専用ステアリングラックは、マウントポイントが強化されている。駆動用モーターとバッテリーは、より硬く固定されている。サスペンション・サブフレームも、強度を増した専用品とのこと。
増大したパワーへ対応するため、リア・アクスルは再設計。電子制御のリミテッドスリップ・デフ(LSD)も組まれる。
オーバーブーストで650ps 全開でニュル2周可能
駆動用モーターの出力は、フロント側が226psで、リア側は383ps。システム総合で609psを発揮する。オーバーブースト機能を用いると、238psと412psまで10秒間強化され、合計650psを引き出せる。
ただし、その後は冷却時間が必要になる。熱の管理は、バッテリーEVでも重要なことに変わりはない。駆動用バッテリーの容量は、同じ体積ながら84kWhへ増えている。
Nレース・モードを選ぶと、最高出力が僅かに制限されつつ、高いパフォーマンスを連続して発揮できるようになる。ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェを、8分切りで2周できるそうだ。ヒョンデは、他のモデルでは真似ができないだろうと主張する。
気張らなくても、アイオニック5 Nの運転は望外に楽しい。複雑なシステムが載っているのだが。
ステアリングホイール上には4つのボタンが並び、6項目のドライブモードを選択でき、その2つは任意の設定を登録可能。さらに、先出のオーバーブースト機能も起動できる。
駆動用モーターの反応やステアリングホイールの重さ、ダンパーの硬さ、LSDの効き、ヘッドアップ・ディスプレイの表示、合成エンジンノイズのオン/オフを指定できる。ノイズをオンにすると、ギミックのシフトチェンジも利用できるようになる。
回生ブレーキの強さは、かなり広範囲に可変する。ブレーキペダルを踏まずに発進・停止をまかなえるワンペダルドライブだけでなく、アクセルペダルを緩めるだけで、ABSが動作するほど強力に利かせることも可能だ。
運転操作の指標になるギミックのエンジン音
駆動用モーターのトルク分配率も選べる。ドーナツターンの練習ができるドリフト・オプティマイザ・モードや、ドラッグレースに好適なローンチコントロールも備わる。
0-100km/h加速は3.4秒。公道でアイオニック5 Nの本領を引き出すことは難しい。とはいえ、基本的にドライブモードを少し引き上げるだけで充分楽しい。
手始めに、ギミックのエンジン音とシフトチェンジを有効にして、サーキットへコースイン。ヒョンデによると、少しバカバカしい機能だとは理解しつつ、8速ATの技術者がギミック開発にも関わったそうだ。
筆者のように内燃エンジンへ慣れた人間にとっては、聞こえてくる音が運転操作の1つのキッカケになる。ブレーキを掛け始めるポイントや、ターンイン時のスピードを判断するのに、実際役に立っていた。運転しているという雰囲気も高まる。
数年をかけて開発したということで、ヒョンデの技術者は気に入っている機能だという。筆者も嫌いではなかった。
音質自体は人工的で、改善の余地はあるかもしれない。内燃エンジンが珍しい時代が来れば、時代錯誤に思えるかもしれない。気に入らなければ、オフにもできる。変速を担っていたパドルで、回生ブレーキの強さを調整できるようになる。
車重が約2200kgあることを考えると、動的能力は見事。サスペンションは強化されているものの、旋回時のロールや加減速時のピッチは小さくない。だが、荷重移動でステアリングの重さが変化し、グリップ力を感じ取れる。
ポルシェ・タイカンを上回る回頭性と調整域
ブレーキペダルの感触も、バイワイヤ制御なことを殆ど感じさせない。サーキットを走ると、ペダルはもう少し重くても良いように思うが、それでは一般道で重すぎると感じるだろう。
ブレーキを引きずりながらの旋回は、適度な落ち着きで爽快。後輪駆動モードを選ばずとも、ポルシェ・タイカンを上回る回頭性と調整域を備える。前後の重量配分は、理想値に近いと予想できる。
スタビリティ・コントロールは、完全にオフにできる。コーナーの頂点を過ぎたら、確かなグリップ力を活かし、緩くテールスライドさせながら脱出加速へ持ち込める。高速コーナーでも、僅かにオーバーステア傾向なようだ。
「ドリフトマシンではありませんが、可能です」。とジョンソンは控えめに話す。
思い切りドリフトへ興じたい若者向けに、先出のドリフト・オプティマイザという機能がある。実際に筆者も試せるよう、濡れたスキッドパンが用意されていた。タイヤは、275/35 R21というサイズのピレリ Pゼロだ。
アクセルペダルのストロークが長すぎ、鋭いテールスライドへは持ち込みにくいが、ドリフトをコントロールする練習に丁度いい。雨が降る夜のショッピングモールの駐車場で、アイオニック5 Nが踊る動画が、ネットへポストされる日も遠くないだろう。
エネルギー効率は良くないが、もちろん一般道でも走りへ満足できる。今回は思いのままに運転したから、4.8km/kWhを超えることはなかった。
世界初のリアルな電動ドライバーズカー
欧州仕様では、試乗車よりダンパーが柔らかめにチューニングされるそうだが、筆者はこのままで良いと思った。乗り心地は充分しなやかで、シャープで扱いやすく、ステアリングは正確に反応する。
フォーカス RSだけでなく、メルセデスAMG A 45や三菱ランサー・エボリューションのような匂いも漂わせる。しかも、それらより熟成された印象があり、能力は多面的だ。
人工的な側面もあるとはいえ、ドライビング体験は間違いなく楽しい。クルマを操るという、確かな一体感を備えている。重すぎて加熱しやすいという、現在のバッテリーEVの課題にもしっかり対応している。
筆者は数時間試乗させてもらったが、もっと時間をかけて特性を探りたいと思えた。気は早いが、バッテリーEVのランドマークとして、2024年末の英国ベスト・ドライバーズカー選手権(BBDC)へノミネートする可能性は高い。
ギミックのエンジン音を聞けるからではない。すべてのチューニングが素晴らしい。施された技術には本物感がある。世界初の、リアルな電動ドライバーズカーだと思う。
ヒョンデ・アイオニック5 N(韓国仕様)のスペック
英国価格:6万5000ポンド(約1202万円)
全長:4715mm
全幅:1940mm
全高:1605mm(標準アイオニック5)
最高速度:260km/h
0-100km/h加速:3.4秒
航続距離:450km
電費:5.1km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2200kg(予想)
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:84.0kWh
急速充電能力:350kW
最高出力:650ps(オーバーブースト時)
最大トルク:78.2kg-m(オーバーブースト時)
ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)
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みんなのコメント
原因の究明と対策も行われないまま現在も走り続けてる。
そう言った記事を載せるべきでは?
コレってステマですか?って。
本当にステマだったら違法です。