2019年に発表された、アストンマーティンの100年以上の歴史の中で初のSUVとなる「DBX」。
アストンマーティンからは「ラグジュアリーSUVにスポーツカーのパフォーマンスを融合した」という説明がなされたが、2022年2月、さらにスゴいSUVが発表された。
707ps/91.8kgmのパワーを秘めた「世界最速」最強SUV!! アストンマーティン DBX 707にイタリアで試乗!!
車名のとおり707馬力を叩き出すという、DBXのハイパフォーマンスモデル「DBX 707」に、自動車評論家 飯田裕子氏がイタリアにて試乗した!
※本稿は2022年3月のものです
文/飯田裕子、写真/ASTON MARTIN
初出:『ベストカー』2022年4月26日号
■「世界で最もパワフルでラグジュアリーなSUV」
アストンマーティン DBX 707。新設計されたデイタイムランニングライトまわりの処理、フロント・スプリッターなどでトップモデルであることをアピール
スポーツカーやラグジュアリーモデルを手がけるブランドにも、今や最新の技術を用いながら各社の世界観を保ち、表現する魅力的なSUVが軒並み登場している。
2019年に登場したアストンマーティンDBXもそんなモデルのなかの一台。
そして今年2月には“世界で最もパワフルでラグジュアリーなSUV”と称するDBXのハイパフォーマンスモデル「DBX707」が発表/発売された。
昨今の諸事情もあって発表から少々時差が生じたが、先日、イタリアはサルデーニャ島で国際試乗会が開催され、初試乗が叶ったのだった。
DBXはアストンマーティンのスポーツカー開発によって改良を重ねてきた接着アルミニウム構造技術を活かした専用のプラットフォームを採用するAWDモデル。
エンジンはアストンのマナーに仕上げられたAMG製の4L、V8ツインターボを搭載する。
既存のDBXは550ps/700Nmとこれでも充分な性能を持ちながら、今回のDBX707は同エンジンの性能を高め、馬力が車名にも使われている“707”ps/900Nmを発揮する。
最高速310km/hは現存するSUVでは世界最速、0-100km/h=3.3秒はカイエンターボと並ぶ最速だ。
ミッションもDBXの一般的な9ATから大トルクに対応しリニアな変速も可能な湿式の多板クラッチを採用する9ATに変更された。
DBX707は前述のとおりSUVとは思えぬ速さを与えられたモデルとして、ボディ外観には直進安定性やダウンフォース、そしてエンジンまわりやブレーキの冷却を高めるエアロパーツやエアベントが新たに追加/変更され、結果、デザインからも既存のDBXとは異なるアグレッシブなオーラが感じられる。
真っ先に注目されるフロントマスクも変更されたが、威圧感を控えめに、気品を保つあたりにアストンマーティン流のセンスのよさがうかがえる。
リアのエキゾーストパイプも4本出しへ変更され、性能はもちろん加速やトルク感を聴覚的にも体感できる音質にしっかりと調整されていた。
■ワインディングを走る!
乗り手をウットリとさせるほどの安定感。ただ速いだけのSUVとは異なる世界がそこにある
サルデーニャでは高速移動もしつつ、とにかくワインディングを走った。
街乗り速度域での乗り心地は少々硬めだが、速度が上がるにつれフラットさが増し、速度感を忘れるほどの安定感に法的な不安を抱くほどだった。
900Nmもある4Lツインターボだが、走り出しのスマートさから街中速度の滑らかな巡航ぶりに加速性能の隅々までこだわるアストンマーティンらしさがうかがえる。
それは幾重にも続くワインディングでコントロールするような時も同様。
実にリニアに大小のトルクを扱うことができる。ダッシュ力はハンパない。ただ暴力的でないのもアストンらしい。
ボディやサスペンション、タイヤも含め一体感とともに動的性能を操っている証とも言えるだろう。
カーボンセラミック製のブレーキのフィーリングは街中を含め“常に”よい。
とりわけコーナリングでは何度ブレーキングの制動感と車両の姿勢にウットリしたことだろう。
ボディのロールが抑えられ、四輪の接地感を常に感じながら、さらに減速も加速もリニアだったこともあり、思いどおりのラインで走行ができた。
コレがSUVかというほどに、だ。
大パワー/大トルクを得たこのDBX707ならば、F1にも参戦しスポーツカーを製造するアストンマーティン“スポーツ”の世界を、SUVで新たに知らしめることに成功するだろう。
■アストンマーティン DBX 707 主要諸元
・全長×全幅×全高:5039×2050※×1680mm
・ホイールベース:3060mm
・車両重量:2245kg
・エンジン:V8 DOHCツインターボ
・総排気量:3982cc
・最高出力:707ps/4500rpm
・最大トルク:91.8kgm/6000rpm
・トランスミッション:9速AT
・最低地上高:175mm(MAX220mm)
・0-100km/h加速
・最高速度:310km/h
※全幅はミラー収納時のもの。
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F1ドライバーに「遅すぎる」、「亀のようだ」とコキおろされた中での707.
果たして汚名返上なるか。