2020年9月17日に、アウディとして初めて日本に導入された電気自動車「e-トロン スポーツバック」。発表会の後、チョイ乗りだが試乗する機会を得たので、ショートインプレッションをお届けしよう。
Sモードでの全開加速はまるでロケット!
2018年に「e-トロン SUV」を世界初公開(これは、今回のe-トロン スポーツバックのあとに日本導入予定)してから、電動化攻勢を開始したアウディ。2025年までには、世界中の主要な市場で20モデル以上のバッテリー電気自動車(BEV)を発売し、PHEVを含む電動化モデルの販売台数を全体の約40%にすることを目指している。
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日本における第一弾が、このe-トロン スポーツバックというわけだ。そのe-トロン スポーツバックは欧米ではミドルサイズといわれているが、全長は4.9mちょうど、全幅も1.9mを超えており、日本の街中ではけっこう大きく感じる。今回は市街地のみの試乗だったから、狭い道でのすれ違いなどはけっこう気を遣った。
とはいえ、デザインはスタイリッシュ。いかにもアウディらしくカッチリとした塊感のあるフォルムで、クーペSUVならではの流麗なシルエットはなかなか美しい。いわゆるSUVにありがちな無骨さはないし、走っていても止まっていても絵になるスタイリングだ。
インテリアも質感の高いもの。もともとアウディ車は以前からクオリティの高いインテリアで定評が高いし、ましてやこのe-トロン スポーツバックは1300万円以上もするクルマ。だからインテリアが上質なのは当たり前かもしれないけれど、変な成金趣味ではない、良い意味での高級感を感じさせてくれる。
しかも室内はSUV的なイメージはなく、コクピットに座ってステアリング越しのメーターパネルや外の景色を見ていると、少し背の高い高級クーペかサルーンに乗っているような錯覚さえ覚える。
さて、試乗時間は限られているので、スタートボタンを押してシステムを立ち上げる。セレクターをDに入れてアクセルを緩やかに踏み込めば、e-トロン スポーツバックはスッと走り出す。アクセルを穏やかに踏んで走っていれば、街中の流れに乗って、きわめて静かに普通に走ってくれる。2.5トン以上もある車体の重さは感じさせず、そのかわりガッチリとしたボディ剛性の高さは感じられる。
ステアリングに備わるパドルで、回生の強さを変えることはできる。いちばん弱くすればコースティング走行も可能だし、いちばん強くすればアクセルペダルだけで加減速をコントロールできるが、完全なワンペダル走行はできない。
信号待ちで先頭に停車したので、センターダッシュのスイッチでSモードをセレクトし、青信号からのゼロ発進で一度だけアクセルと床いっぱいに踏み込んでみると・・・!!! 0→100km/h加速5.7秒という加速Gを一瞬だけ味わえた。2.5トンを超える車両重量をものともしないロケット発進のような加速は、「ハンパではない」としか言いようがなかった。
アウディ初のバーチャルエクステリアミラーは、慣れるまでは後方を確認しようとしてウインドーの外の「棒」を見てしまう。ドア内側上部のモニター画像は、ミラーで見ているような自然な画像なので違和感はないのだが、つい視線がその先の外側に行ってしまう。これは、このクルマを所有して慣れるしかなさそうだ。
いままでに何車種かのバッテリーEVに試乗してきたが、出来の良さはさすがアウディ。しかも、e-トロンもEVとはいえ乗り味は他のアウディ車に共通の「サムシング」を感じさせる。これはメルセデス・ベンツのEQCに試乗したときに、メルセデス車に共通の「らしさ」を感じたのと同じ。このあたりは、アウディやメルセデス・ベンツの巧さなのだろう。
今回のチョイ乗りでの印象は、この程度。いずれジックリと、できれば長距離ドライブなども試してみたいものだ。(文:篠原政明/写真:永元秀和、ほか)
アウディ e-トロン スポーツバック 1stエディション バーチャルエクステリアミラー仕様 主要諸元
●全長×全幅×全高:4900×1935×1615mm
●ホイールベース:2930mm
●重量:2560kg
●パワーユニット種類:交流周期電動機×2
●バッテリー容量:95kWh
●最高出力:300kW(408ps)
●最大トルク:664Nm(67.7kgm)
●航続距離(WLTCモード):405km
●タイヤサイズ:265/45R21
●車両価格(税込):1346万円
[ アルバム : アウディ e-トロン スポーツバック はオリジナルサイトでご覧ください ]
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