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想像以上の進化を遂げた大空間サルーン、新型「アルファード」「ヴェルファイア」を徹底検証

掲載 更新 176
想像以上の進化を遂げた大空間サルーン、新型「アルファード」「ヴェルファイア」を徹底検証

高級車需要をセダン、サルーンから奪い、新たな高級車像を確立させたのが、先代アルファードだった。とくに2017年12月のビッグチェンジでは先進運転支援機能=トヨタセーフティセンスを充実させたほか、アルファードの顔つきを一段と立派にしつつ、走行性能や装備類まで大きく進化。その地位をより強固にした結果、今や国産ハイエンドミニバンを望む一般ユーザーはもちろん、多くのVIP、会社役員、芸能人にまで愛用されている”大空間サルーン”なのである。

先代アルファード&ヴェルファイアと筆者

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想像以上の進化を遂げた4代目アルファード&3代目ヴェルファイア

2023年6月21日に発売された4代目アルファードと、ある意味”復活”を遂げたと言っていい3代目ヴェルファイアは、そうした需要に応えるべく、現行ノア&ヴォクシー同様に、企画から生産まで一貫してトヨタ車体が手掛けた想像以上の進化を果たした新型と断言できる。

新たにトヨタ最新のTNGA、GA-Kプラットフォームを採用したボディサイズは全長4995×全幅1850×全高1935~1945mm、ホイールベース3000mm。つまり、先代比で全長が45~60mm長くなっただけで、多くの機械式駐車場への入庫が可能なサイズに収まり、全高はむしろ5~15mm(タイヤサイズによる)低くなっている。全長拡大はともかく、先代ユーザーが違和感なく乗れるボディサイズが維持されている。新型の設計基準となった17インチタイヤで言えば、最小回転半径は先代の5.8mから17/18/19インチともに5.9mとわずかな拡大だ。

エクステリアデザインで特徴的なのは、逆スラントさせた巨大なフロントグリルで、一段と堂々感、押し出し感ある佇まいを、抑揚あるボディサイドとともに実現。アルファードの顔つきは1種類だが、ヴェルファイアは実は2種類の顔を持つ。具体的にはスモークメッキ(エグゼクティブラウンジ)と漆黒メッキ(Zプレミア)がグレードによって使い分けられ、ともにブラックボディと組み合わされると、ワイルドな表情はさらに際立つ印象だ。

現時点のパワーユニットはアルファードが2.5L ガソリン、182ps、24.0kg-m、および、2.5Lエンジン+2モーターのハイブリッド、エンジン190ps、24.1kg-m、Fモーター182ps、27.5kg-m(2WD)、リヤモーター54ps、12.3kg-m(4WD)の2種類。それぞれに先代のHVになかった2WDと4WD(ガソリン車)/E-Four(HV車)が用意される。

一方、3代目となって、アルファードとは違う走りのスポーティさ、アグレッシブさが与えられた価格レンジもワンランク上になったヴェルファイアは2.5Lエンジン+2モーターのハイブリッドと、アルファードにないハイオクガソリン仕様の2.4Lガソリンターボ、279ps、43.8kg-m+8ATの2種類となる。全車、ハイブリッドのシステム出力が先代の197psから250psへと、大幅にアップしている点にも注目だ。

グレード構成は、現時点では上級グレードのみとなり、アルファードがエグゼクティブラウンジとZ、ヴェルファイアはエグゼクティブラウンジとZプレミアが揃う。Zは先代同様、エグゼクティブパワーシートを備えた上位から2番目のグレードである。そう、比較的買いやすかった、先代にあった2列目席リラックスキャプテンシート、ベンチシート(レンタカー需要も大きい)仕様は、今後の展開になると予想される。



専用開発されたタイヤにも注目!

アルファードとヴェルファイアのキャラクター分けが明確になっているのは、エクステリアデザインやパワーユニットの構成だけではない。そう、すべて専用開発されたタイヤもそれぞれのキャラクターに合わされている。アルファードの乗り心地に特化したエグゼクティブラウンジは225/65R17(空気圧230kgf/cm2)、Zは225/60R18(空気圧240kgf/cm2)を採用。一方、ヴェルファイアはエグゼクティブラウンジ、Zプレミアを問わず、225/55R19(空気圧260kgf/cm2)の大径スポーツタイヤが装着され、フロントストラット、リヤダブルウィッシュボーン(全車)を採用する足回りやパワーステアリングまで専用チューニングが施されているのだから徹底している。

アルファードのエグゼクティブラウンジ

ヴェルファイア

さらに、基本的な話に戻れば、GA-Kプラットフォームはミニバン用に最適化され、フロア後部にオープンカーの車体剛性UPにも使われるV字ブレースを用い、大開口部分のドア下部を走るロッカー部分をストレート構造(下の画像のブルーの部分)とし、2種類の構造用接着剤の使用量を従来の5倍(約50m分)に増やしている。さらにヴェルファイアに至ってはフロントパフォーマンスブレースという専用ボディ剛性部品を追加。結果、ボディ剛性は先代比約50%向上(全車)しているという。

そうした、トヨタ車体=ボディ屋さんの面目躍如というべきボディ剛性の向上は、走りの質感、操縦安定性に大きく影響するとともに、ボックス型ミニバンのウィークポイントでもある車体振動の低減にも貢献。路面から伝わる振動を低減させる周波数感応型ショックアブソーバー(先代の1バルブから3バルブにして、入力周波数によって機械的に減衰力を可変)をアルファードのエグゼクティブラウンジとヴェルファイア全車に採用したほか、重心が高く重量がある、振動に不利な豪華2列目席キャプテンシートには、レールとシート台座の間に前後ふたつのゴムブッシュを配置。つまりシートが宙に浮いた、マンションなどで言うところの”免震構造”の採用だ。加えて、シートクッション、背もたれ、アームレストに適材適所のフォームパッドを用いることで、車体そのもの、フロア、シート振動を徹底的に排除。実に人が感じる不快な振動は先代の1/3にまで低減されているという。筆者の印象として、先代は上級キャプテンシートの、特にアームレストのビリビリとした振動がウィークポイントだと感じていただけに、そうした微に入り、細に入りの施策は大歓迎である。



前席はクルーザー、後席はプライベートジェットをイメージしたという大空間サルーンと呼べるインテリアで、新型ならではの特徴となるのが、まずは天井中央を走る新開発スーパーロングオーバーヘッドコンソールだ。従来、天井左右に配置、点在していた照明、各種スイッチ、後席エアコン吹き出し口などの機能をルーフ中央に集約。

そしてエグゼクティブラウンジシートの豪華さ、機能装備類の充実度にも注目で、新たにオットマン&アームレストヒーターを加え、左右各席にスマホサイズの取り外し可能なリヤマルチオペレーションパネルを用意。オーディオ、エアコン、ランプ(照明)、上から下にパワーで下がるように改められたサンシェードの開閉、シート調整などが手元で、指先ひとつで行えるのだから斬新かつ便利だ(隣の席の調整もできる)。

エグゼクティブラウンジシートの場合、シートスライドを含め、シートのカタチをしたスイッチでパワー操作が可能(スライド量は480mm)。エグゼクティブパワーシートは530mmのスライド機構が手動となるのだが、3列目席の仕様頻度が多い一般ユーザー、ファミリーユーザーにとっては、こちらが便利だ。というのは、エグゼクティブラウンジシートは先代同様に横幅が広く、2席の間に隙間、スルー空間はない。一方、エグゼクティブパワーシートは2席の間のどの部分にも180mmの空間があり、2-3列目席スルー(移動)が可能になるからだ。ちなみに先代のエグゼクティブパワーシートは最大185mmの空間があったものの、折り畳み式サイドテーブルが出っ張っていて、事実上、145mmのスルー空間でしかなかったのだ。新型では折り畳み式サイドテーブルを右側席側面に埋め込んで収納する方式に改めたため、どこでも180mmのスルー空間が確保できたのである(祝)。

新型アルファードの&ヴェルファイアの特等席となる2列目キャプテンシートで気になるリクライニング角度はエグゼクティブラウンジシート70度、エグゼクティブパワーシート89度だ。70度と聞いて、リラックスするときに「ほぼ水平にならないじゃないか?」と思うかも知れないが、実際にフルリクライニングしてみると、感覚的にほぼ水平。オットマンを使えば立派なベッド!?に変身する。一方、エグゼクティブパワーシートで89度フルリクライニングすると、シート後端が下がるほどの角度がつき、快適に寝るには適さない。89度は2-3列目席フラットアレンジ用に考えられた角度だと考えたい。

このクラスともなれば、居住空間、かけ心地ともに満足できる3列目席だが、ニースペース的には、2列目席を最後端位置にまでスライドした場合、エグゼクティブラウンジが480mmのスライド量から有利。とはいえ、2/3列目席の乗員同士で融通しあえば、3列目席に大人が座っても、まったく問題はない。そここそ、ホイールベース3000mmを誇るLクラスミニバンの強みである。

ところで、室内寸法をチェックすると、室内高が先代の1400mmから1360mmに減少。これは骨格の太いTNGAプラットフォームを使っていることも原因の一つだが、実測してみると、左右乗員の真上となる左右独立ムーンルーフ付きではシェードまで1340mm。スーパーオーバーヘッドコンソールまでだと1300mmとなる。1360mmの最大値は、左右独立ムーンルーフなしの、2列目席左右席の天井までの数値となるはずだ(試乗車は全車ムーンルーフ付きだった)。それでも先代に対して「天井が低くなった」という印象はほとんどないはずだ。むしろ、先代になかったスーパーオーバーヘッドコンソールのプライベートジェット感覚の先進感ある居住空間の豪華さのほうに大満足できるのではないか。

身長172cmの筆者のドライビングポジション基準の室内の広さを計ってみると、2列目エグゼクティブラウンジシートの場合、頭上に240mm(先代270mm)、膝周りに最大530mm(先代460mm)の空間があった。前席が遥か遠く感じられ、ハット着用でも頭上方向の余裕たっぷり。スーパーロングオーバーヘッドコンソールに手を伸ばすにしても、かなり高い位置にあると感じられるほどだった。

荷室は、全車標準のパワーバックドアの開閉スイッチがノア&ヴォクシー同様にボディサイドのリヤコンビランプ側に移設されたことで、開閉時、バックドアが操作する人の体に干渉することがなくなった使い勝手の良さがポイントだ。

3列目席使用時の奥行は180~350mm(3列目席スライド前端/先代190~560mm)。幅方向、高さは先代同等だ。もちろん、3列目席の片側、両側を左右に跳ね上げれば、荷物の積載性はドーンと拡大するのだが、新型ならではの注目点が3列目席の左右跳ね上げ方式。世界初の5:5分割2ポジションスペースアップシートによって、跳ね上げ位置が新たに前後2ポジションとなり、2列目席後端スライドと3列目席の跳ね上げ格納が両立できるようになっている。

なお、価格はアルファードが540~872万円、アルファードとの差別化が大きく図られたヴェルファイアは655~892万円。この先、PHEVモデルが控えているほか、将来的にはより廉価なベースモデルも加わるはずである。

今回の報告はここまで。アルファードとヴェルファイアの各エンジン、駆動方式の試乗記、後席試乗記、先代から大きく進化したトヨタセーフティセンスの内容については、このあと、報告させていただきたい。

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文/青山尚暉
写真/青山尚暉 トヨタ

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みんなのコメント

176件
  • エントリーで540万はなかなかの値段
    今回から無理してローンは難しいから、それなりのオーナーになっていいんでないかな?
    若い夫婦が背伸びして買う車じゃないよね
  • なんぼ書いても箱は箱よ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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