2022年10月24日、メルセデス・ベンツ日本は、 7代目となるメルセデス・ベンツのラグジュアリーロードスター新型「メルセデスAMG SL」を発表。同日より販売が開始された。
初代「300SL」へのリスペクトがそこかしこに
メルセデス・ベンツの歴史のなかで、際立つ存在感を持つラグジュアリーロードスター「SL」の7代目となる新型「メルセデスAMG SL」が、日本デビューを飾った。その名の示すとおり、メルセデス・ベンツのレーシングスポーツブランドであるメルセデスAMGが初めて手がけたモデルで、「SL」の新たな幕開けといえるだろう。
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パワーソースは、4L V8ツインターボと2L直4ターボ+48Vマイルドハイブリッド(BSG搭載)のふたつを用意するが、今回の日本導入では後者のみとなり、グレードは「メルセデスAMG SL 43」となる。
さて、7世代目新型「メルセデスAMG SL」だが、そのルーツは1952年に公道を走行できるレーシングスポーツカーとして発表され、ル・マン24時間レースで1-2フィニッシュを飾るなど、世界各地のレースで輝かしい戦績を重ねた「300 SL」(W194)をベースに1954年に誕生した「300 SL」(W198)にさかのぼる。70年という年月の重みを感ぜずにはいられない。ちなみに「SL」の由来は、「Super」(すごい)と「Light」(軽量)を重ね合わせたものだ。
まずエクステリアデザインから話を進めよう。メルセデス・ベンツのデザイン基本思想である「センシュアル ピュリティ(官能的純粋)」に、AMGのスポーティな要素を取り入れたデザインが基本となるが、ボンネットの2本のパワードームなど、随所にSLの長い伝統を受け継ぐ特徴的な要素が施されている。
伝統と革新のデザインミックスが生み出す「力強さ」
長いホイールベースと短いオーバーハング、そしてブラックペイント仕上げのフレームを持つ大きく傾斜したウインドスクリーン、長いボンネットや後方に大きく下がったパッセンジャーコンパートメントとソフトトップとの佇まい、そして格納式のシームレスドアハンドルを代表とするビードやエッジのない流れるようなフォルムを持つ表面しかりだ。
ちなみに、AMG専用のフロントグリルに施された幅広の下部輪郭と14本の垂直ルーバーは、前述の1952年製レーシングスポーツカー「300 SL」から取り入れたものだ。先進テクノロジーが採用されるスリムでシャープな輪郭をもつ「DIGITALライト」とのコンビネーションが味わいあるものとなっている。
リアエンドは、省スペース軽量型Zフォールドのソフトトップを採用することで、高さを抑え、パワフルさが強調されている。トランクリッドにほぼ境目を感じさせることなく組み込まれた、リトラクタブルリアスポイラーもスポーツマインドを感じさせてくれる。スリムなLEDリアコンビネーションランプもならではのものだ。エアロダイナミックスも、もちろん考えられており。Cd値は0.31となかなかの数値となっている。
ロードスターならではの配慮が行き届いたインテリア
インテリアデザインも、初代「300 SL」をオマージュしたものとなる。トピックとしては、4代目「SL」(R 129・1989年~2001年)以来となる2+2シートレイアウトが復活していることだ。(4代目SLの日本仕様は2名乗車仕様のみだった)
コクピットは左右対称形が採用され、12.3インチ液晶ディスプレイは日光の反射を防ぐためバイザーの中に収められる。センターコンソールの11.9インチの縦長のタッチ機能付メディアディスプレイも、ソフトトップ開放時に日光の差し込む向きが変わることで生じる光の反射を防ぐため、傾きを電動で調整する機能を備えている(調整範囲12~32度)。ロードスターならではの配慮といえるだろう。
シートは、前衛的かつ彫刻的なデザインのAMGスポーツシートが標準で装備される。ヘッドレストがバックレストに組み込まれる形状で、スポーティな印象を与えてくれる。また、AMGパフォーマンスステアリングの裏側左右には、AMGスピードシフトMCT(9速AT)のアルミニウム製パドルが配されるとともに、標準装備のAMGドライブコントロールスイッチが鮮やかなカラー液晶表示とされている。
ソフトトップの開閉は約15秒。後方視界への配慮も二重丸
ボディシェルへのこだわりもみせる。アルミニウム、スチール、マグネシウム、繊維複合材を使用した材料の組み合わせによって、重量を抑えつつ可能なかぎり最も高い剛性の実現が図られている。
ルーフは、省スペース軽量型Zフォールドの採用によって、一般的なソフトトップコンパートメントカバーが不要となった。前部にルーフキャップが付いているので、ソフトトップを完全に開いた後も、周囲の面より突き出ることもなくきれいに収納できるのだ。
開閉は約15秒で完了し、車速60km/hまでであれば走行中でも開閉が可能。操作は、センターコンソールのスイッチパネルまたはタッチ機能付のメディアディスプレイで行え、画面には開閉動作の進行状況が動画で表示される。リアウインドーについては、ヒーター付きの安全ガラスが使用され、後方視界を確保している。
トランク容量は213L。ソフトトップを閉じると、このパーティションがスライド上昇して標準の 仕切り位置よりもトランク容量を拡大し約240Lとなる。リアバンパーの下側に足を近づけるだけで、手を使わずにトランクリッドを自動で開閉できるフットトランクオープナー機能も付く。
「63」モデルのみに許されたAMGスピードシフトMCT(9速AT)を採用
日本に送り込まれた「メルセデスAMG SL 43」のパワートレーンは、2L直4ターボ「M139」(最高出力381ps/最大トルク480Nm)+48Vマイルドハイブリッド(BSG搭載)。もちろん、メルセデスAMGの流儀に則った「ワンマン、 ワンエンジン」だ。
しかも、4気筒としてははじめてであり、ターボチャージャーはF1由来となる。走行性能は、0→100km/h加速4.9秒、最高速度275km/hと秀逸だ。このターボチャージャーは車載の48V電気システムを電源とし、最大170,000rpmまで動作することで、きわめて高い空気流量を可能とする。
トランスミッションは、従来「63」モデルにのみに搭載されていたAMGスピードシフトMCT(9速AT)を採用。トルクコンバーターの代わりに湿式多板クラッチを搭載することで、ダイレクト感のある素早いシフトチェンジと高い伝達効率を実現しているという。
ドライブモードは燃費を優先する「Comfort」、よりスポーティなドライビングが愉しめる「Sport」「Sport+」「RACE」、 滑りやすい路面を安全に走行する「Slippery」、様々なパラメーターを個別に設定できる「Individual」の6つが設定されている。
足回りは、軽量かつ可変ダンピングシステムを搭載した高性能なアルミ ニウム製ダンパーと軽量コイルスプリングを搭載した新開発AMGライドコントロール サスペンションを標準装備。フロントには、メルセデスAMGの量産車としては初めてとなるマルチリンク式が採用される。リアサスペンションは5リンク式だ。
車両価格(税込)
メルセデスAMG SL 43(BSG搭載モデル):1648万円/ステアリング左右
■メルセデスAMG SL43主要諸元(欧州仕様)
●全長×全幅×全高:4705×1915×1359mm
●ホイールベース:2700mm
●車両重量:1810kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●総排気量:1991cc
●最高出力:280kW(381ps)/6750rpm
●最大トルク:480Nm/3250-5000rpm
●トランスミッション:9速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・70L
●WLTPモード燃費:10.6-11.2km/L
●タイヤサイズ:前255/45ZR19、後285/40ZR19
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