ついにこの時が…。日産が、「スカイラインを含むセダンの新型車の開発を中止する」という情報が世間をざわつかせている。情報によると、日産は人気のSUVやEVへ経営資源を集中する方針だということだ。一部では「スカイラインもSUV化する」とのうわさも流れている。
もし、ほんとうにスカイラインがSUVとなったとして、それは成功するのであろうか。「スカイラインクロスオーバー」の前轍を踏むことなく成功する道があるのか、考察していく。
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文/吉川賢一、写真/NISSAN
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■直ちに「製造中止」という発表ではない
2013年登場の現行スカイライン。スカイライン初となるハイブリッドモデルがラインナップされる
初めに、今回の情報は、日産が、FRセダンに使われている部品(縦置きエンジン用のトランスミッションや、FR用エンジンマウントなど)を計画的に縮小する旨を、影響を受ける大手サプライヤへ伝えた、という内容だと推測される。
この内容から、FRセダンの開発は縮小となる、ということは推測されるが、直ちに製造中止にする発表ではない。
また、日産に限らず、昨今のセダン系の販売台数状況を見れば、縮小・撤退するのも別段驚くべきことではなく、セダン系の開発縮小が伝えられただけで、「スカイラインがSUVになるのでは!?」というのは、安直すぎる発想だと感じる。
しかしながら、仮にスカイラインがSUVとなったときにどういった姿になるのか、そして、それに意味があるのか、については知りたいところだろう。
■北米向けにつくられていた、スカイラインクロスオーバー
スカイラインの長い歴史の中で初めてSUVとして登場したスカイラインクロスオーバー。残念ながら日本では受け入れられたとはいえなかった
ご存じの通り、歴代スカイラインは、セダンもしくはクーペとして(※3代目スカイラインにはバンタイプもあったが)販売されてきたクルマだ。その歴史のなかで唯一、SUVタイプで販売されたのが、スカイラインクロスオーバー(2009~2016年)であった。
スカイラインクロスオーバーは元々、北米が主戦場である日産の高級車チャンネル「INFINITI」のクロスオーバーSUV「EX35」として、2007年に誕生したクルマだ。
シャシーなどのコンポーネントはG35(日本名:スカイライン)と共用し、3.5LのV6エンジンと7速AT、FRとFRベースの4WDを組み合わせ、「G35のハンドリングと乗り心地の良さを持つ小型プレミアムSUV」と位置づけられたSUVであった。
比較的コンパクトでスタイリッシュなボディスタイルであったのは、ターゲットを女性としており、旦那様がFRセダンに乗り、奥様がSUVに乗ることを想定していたという。
ちなみに「EX」は、INFINITIブランドの呼称統一を受けて「QX50」となり、2018年のフルモデルチェンジで2代目「QX50」となったタイミングで、2.0リットルVCRターボエンジンを積んだ「FFベースのミドルサイズSUV」に生まれ変わり、今ではINIFINITIの稼ぎ頭にまでなっている。
だが日本では、スカイラインクロスオーバーの人気は高くなかった。SUVという割には後席や荷室が狭く、日本には燃費の悪い3.7Lエンジン仕様(編注:北米仕様は3.5L、欧州と日本仕様は3.7L)しか導入されず、価格も420万円~と非常に高かった。
INFINITIのプレミアムSUVをそのまま持ってきて「右ハンドル仕様」にしただけのクルマでは、日本の顧客には響かなかった、ということであろう。せめて中国で出していた2.5リットルVQ25HR型エンジン仕様でもあれば、違った結果となっていたかもしれない。
■「スカイラインのSUV化」は愚か?
スカイラインクロスオーバーのシート。撮影角度の関係もあるが、確かに後席スペースは広々しているとはいえない
まず、現行のV37スカイラインをSUVにするにあたって、スカイラインクロスオーバーの弱点でもあった、「後席と荷室の狭さ」と「燃費」を解決したとしても、コストのかかるFRベースでつくっていては、車両価格の高さを完全に解決することは難しい。
SUVならば、FRベースである必要はなく、コストの低いFFベースの4WDをつくったほうがいい。
そして、既に国内では、「スカイライン」ブランドの神通力は通用しない。常に、「昔のスカイライン」を引き合いに出され、現代のスカイラインに疑問やヤジの声が飛ばされる。スカイラインは、現モデルもものすごく出来の良いスポーツセダンだが、ファンが心にとめているのは、「過去のスカイライン」だけだ。
セダンである現行スカイラインでさえその状況なのに、SUVにスカイラインという名を付けて出しても通用するはずもなく、かえって「スカイラインファン」を呆れさせるだけで、やる意味は全くない。
新しいSUVを開発するにしても、DセグメントのQX50やQX55に、スカイライン以外の日本名を付けて売り出す方が、圧倒的に正しい選択だと筆者は考える。
■「Z」だけでも生き残ってくれてよかった
これがインフィニティQX60モノグラフ。FFベースの4WDで北米市場向けのデザインだ
INFINITIはこの10年、SUVにしか力を入れていない。2016年にはミドルクラスSUVのQX50をモデルチェンジし、インフィニティブランドの稼ぎ頭に成長させ、2020年9月には3列シート7人乗りのSUV「QX60 Monograph(モノグラフ)」を公開。
2021年2月には「QX55」を発売開始、といった具合で、どれも、FFベースの4WDだ。
エンジン縦置きFRのレイアウトと比べて省スペースで済み、海外にある現地工場で製造をするので、価格を大きく抑えられる(※FRプラットフォーム車は日産栃木工場がメインであり、そこから世界中へ輸出しているため、輸送費がかかる)。
さらには為替変動の影響も受けるため、利益が圧縮されることもある。FRセダンにこだわっていては、INFINITI撤退すらありうる状況において、正しい選択だといえる。
日産ブランドはというと、もしFRセダンから撤退となると、日本市場においては軽、コンパクト、FFベースの4WD SUV、そしてスポーツで戦っていくことになる。そして、それぞれのカテゴリで、EVを出してくるだろう。
筆者はかねてより、スカイラインやフーガは、EV「アリア」をベースにした「ラグジュアリーEVセダン」として、電動技術を駆使した古典的な後輪駆動のフィーリングの4WD EVになってほしい、と思っていたが、今回の情報を耳にして、その可能性が、より強まったと感じた。
2020年9月に公開されたZプロトタイプ。歴代Zの意匠を随所にまとったデザインで話題となった
唯一の期待は、FRプラットフォームの新型「フェアレディZ」だ。スカイラインが消滅したとしても、ここで新型となるZは、あと10年は生き続けてくれるはずだ。スカイラインが消滅すると決まったわけではないが、この状況で、Zだけでも生き残ってくれたことに、感謝している。
かつて、スポーツカーが好きで日産に入ってきた開発エンジニアは、筆者を含めて山のようにいた。FRセダンの開発縮小は残念ではあるが、日産がクルマをつくり続けることのほうが大事だ。今後も多くのユーザーに愛されるクルマをつくり続けてほしい。
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