フォルクスワーゲンの第3章
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)フォルクスワーゲンとしてはゴルフ以来の重要なモデル、ID.3がフランクフルト・モーターショーで発表された。航続距離は548kmの純EVで、現地価格は2万7500ポンド(357万円)程度と見込まれている。
ID.3は2016年のパリ・モーターショーでコンセプトカーがお披露目されたクルマで、来年夏頃からの注文開始となる。その後SUVのID.CROZZ も量産へとシフトする予定。ID.のコンセプトカーとしては他にBUZZ、VIZZION、ROOMZZも発表されているが、2025年までに300万台のEVを生産するというフォルクスワーゲン・グループの計画を裏付けるものといえる。
ID.3は「すべてのひとのための電気自動車」と表現されており、車名にもその重要な位置づけが表れている。「3」とは、フォルクスワーゲンのビートルとゴルフに次ぐ、第3章を表しており、自社だけでなく世界的な自動車産業にとっても重要なモデルだと、フォルクスワーゲンは考えている。
ID.3は、純EV専用のスケーラブル・アーキテクチャとなる、新しいMEBプラットフォームを採用した初めてのクルマ。MEBプラットフォームは、ID.から当面の期間リリースされる、すべてのEVの骨格をなすという。またこのプラットフォームは、大手のフォード社にもライセンス供与するとしており、量産化によって、シャシー開発に要したコスト負担を軽くするとともに、販売価格の軽減にもつなげる意向がある。
3段階のバッテリー容量に2段階のモーター
電気自動車専用のプラットフォームを採用する大きなメリットのひとつは、車内空間を大きく取れること。ID.3は全長で3mm、全幅で10mm、全高で60mm、現行のゴルフよりも大きいだけながら、車内空間を左右するホイールベースは145mm長い2765mm。パサートよりも21mmだけ短いだけだ。ラゲッジスペースは380Lと、ゴルフと同等となる。
フォルクスワーゲンのデザインチーフを務めるクラウス・ビショフは「フロア下にバッテリーを搭載することで、ユニークなプロポーションを持っています。後輪駆動としてホイールベースを長く取り、オーバーハングは短くしています。基本的にボディデザインもID.のコンセプトカーと同じで、表面の処理などもかなり似通っています。できるだけシンプルに、キャラクターラインも最低限にしました」 と説明する。リアには空力性能を高める目的で大きなスポイラーが付き、ルーフやボディのリア周りの黒い部分はプラスティック製。
後輪駆動のID.3は「直感的な操縦性」と「驚異的な走行性能」を備えていると、フォルクスワーゲンは主張する。MEBプラットフォームによる優れた重量配分も大きく影響している。すでにAUTOCARではプロトタイプを試乗しているが「抑制の効いた自然なレスポンスはフォルクスワーゲンらしい。運転のしやすさもトップレベルにある」といい印象を与えてくれた。
ID.3に搭載されるバッテリー容量は3種類で、リアに搭載されるモーターの出力は2段階が用意される。45kWhのバッテリーは150psのモーターと組み合わされ、航続距離は330km。58kWhのバッテリーと77kWhのバッテリーには203psのモーターと組み合わされ、航続距離はそれぞれ418kmと548kmとなる。
製造は2021年から年33万台ペース
すべてのスペックはまだ公表されていないものの、モーターのトルクは31.6kg-mで、エントリーグレードとミドルグレードのID.3の最高速度は159km/hとなる。ミドルグレードでは100kWの急速充電器が使用可能で、250km分の距離を走る充電に要する時間は30分以内だという。エントリーグレードの場合は50kWの充電器に対応となるが、オプションで100kWにも対応できるという。トップグレードのクルマは125kWの急速充電器にも対応する。フォルクスワーゲンは8年間、もしくは走行距離25万7000kmまでバッテリーを保証するとしている。
インテリアは現行のフォルクスワーゲンのモデルと比較するとやや質素。ビショフはこう説明する。「シンプルでクリアなデザインにより、インテリアの革命を起こしたと考えています。車内空間を増やし、開放的な雰囲気を作ることで新たな価値を与えました」
ID.3のファーストエディションの価格は、現地で4万5000ポンド(585万円)ほどとなる見込み。
フォルクスワーゲンによれば、自社として初めてとなるカーボン・ニュートラル・モデルがID.3となる。製造から流通までに必要となるエネルギーのすべてが、再生可能エネルギーか、環境に配慮したと認定されたものを利用するという。ID.3はフォルクスワーゲンのドイツ・ツヴィッカウ工場で、2021年から年間33万台のペースで製造される予定だ。
プロダクトマネージャーへインタビュー
発表に合わせて、ID.3のプロダクトマネージャー、クリスティーン・レイダー アルバートへいくつか質問をしてみた。
ID.3には3段階の航続距離が設定されますが、フォルクスワーゲンは航続距離の設定に対してどう考えていますか?「わたし個人としては今の生活環境では60kmもあれば充分です。市場の反応を見る必要があります。おそらくID.3の場合は、中間の航続距離を持つクルマが人気となると考えています」
ID.3 GTIの予定はありますか?「それについては間違いなく検討中です。でも、ゴルフと同じラインナップにはならないでしょう。できるだけシンプルにしたいと考えていますが、IDの高性能版は検討中です。4輪駆動の高性能なIDは、きっと楽しいクルマになるでしょう」
フォルクスワーゲン・ゴルフと同等の台数を販売できるのはいつになると考えていますか?「ゴルフはまだフォルクスワーゲンの最前線にあるクルマです。ID.3はさらに市場を拡大できる、カッコいい弟的な存在のクルマだと思います。いつ頃ゴルフに並ぶかは、わたしには答えられません」
フォルクスワーゲンがEVのワイヤレス充電を導入するのはいつになるでしょうか?「ID.3には搭載されていませんが、10年以内よりもっと早い時期には搭載されるでしょう。フォルクスワーゲンはプレミアムブランドではありません。自宅のガレージで(ワイヤレス充電のシステムを)準備することは、とても費用が掛かります。プレミアムブランドが1歩進んでいる理由だとも思いますが、検討していることは間違いありません」
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