この記事をまとめると
■ムーヴキャンバスの2代目が登場した
可愛さと便利さそのままに走りも強化で死角なし! 異なる世界観を表現したふたつのグレードを用意してダイハツ・ムーヴキャンバスがフルモデルチェンジ
■ターボエンジンが設定されたほか、機能面も一新した
■ボディカラーもバリエーションが増えて選択肢が広がった
2代目となるムーヴキャンバスはライバルを凌げるか
リヤにスライドドアを備える背高軽ワゴンのパイオニア、ダイハツ・ムーヴキャンバスが初めてフルモデルチェンジ。それが2022年7月13日より発売された!
初代のムーヴキャンバスは2016年9月に発売されて以来、メインターゲットである「母親と一緒に暮らす若い独身女性」を中心に新たな市場を開拓。6年間の平均月間販売台数は約5600台、累計販売台数は38万台超に達し、タントに次ぎミライースやタフトに並ぶダイハツの看板車種に成長した。
また、商品企画を担当したダイハツ工業の李晃潤さんによれば、購入ユーザーの約9割が女性であるものの、「当初想定していた母親&娘だけではなく、父親と娘、母親と息子などといったパターンでも世帯内で共有されていることが多かった。一方、男性や年齢の高い女性からは、可愛らしすぎるデザインやターボ車が未設定であることを理由に敬遠されるケースがあった」のだという。かつこの6年間で、メインターゲットである若い女性も、シンプルで洗練されたデザインを好むスマホネイティブ世代に移行した。
そうした背景を受けて誕生した2代目ムーヴキャンバスだが、エクステリアをひと目見ただけでは初代と区別がつかないのではないかと思えるほど、見事にキープコンセプトだ。それもそのはず、全長×全幅×全高=3395×1475×1655mm(4WD車は1675mm)という3サイズはまったく変わらず、「ホイールベース2460mmも先代より5mm伸びただけで、パッケージングはほぼ変わっていない」(李さん)。
しかし、細部を見比べてみると、ボディ全体の丸みが増す一方、前後のバンパーやグリル、ランプ類、フェンダーなどはすっきりした形状に。なかでもリヤのナンバープレート装着位置がバックドア中央からバンパーに移設されたことが、よりすっきりした印象を与えるとともに、新旧最大の識別点となっている。
したがって、「見た目は似ているが、プラットフォームが一新されたこともあり(詳細は後述)、エクステリアの部品に初代との共通点はない。とくにヘッドライトは丸目が外側から内側に移動し、LEDランプはさらにAFS(ステアリング連動ヘッドランプ)がADB(アダプティブドライビングビーム)に進化しているので、まったくの別物になっている」のだそうだ。
そして、初代の明るく可愛らしいイメージを色濃く受け継ぐツートーンボディカラーの「ストライプス」に加え、モノトーンの落ち着いたボディカラーに専用のメッキ加飾で大人の上質さを表現した「セオリー」、2種類のトリムラインが設定されたのも大きなトピック。初代にもモノトーンのボディカラーは設定されていたが、「どうしてもツートーンよりも目立たない存在になっていたので、より強い個性を与えることが大事」(李さん)と考え、明確なキャラクターわけがされたのだという。
両車は外観のみならず内装も大きく異なっており、「ストライプス」はホワイトのインパネ・フロントドアトリムにライトグレーのフルファブリックシート、「セオリー」はブラウンのインパネ・フロントドアトリムにネイビーのフルファブリックシートを組み合わせることで、明るく可愛い装いと大人の落ち着いた雰囲気、それぞれの個性を色濃く表現している。
エンジンがターボになっただけではない!
だが、インテリアが変わったのは見た目だけではない。
初代でも好評だった後席下の収納「置きラクボックス」は、ついたてを上げて高さのある荷物を固定できる「バスケットモード」が片手でセッティング可能に。インパネはスマートフォンやマスクなどが収納しやすい形状・構造に生まれ変わった。
全車標準装備の両側パワースライドドアには、ドアが閉まった後の自動施錠を予約できる「タッチ&ゴーロック」機能が追加されたほか、降車時にインパネのスイッチで予約すれば乗車時に電子カードキーを持って近づくだけで解錠しパワースライドドアが開く「ウェルカムオープン機能」も上級グレードに標準装備された。
上級グレードにはそのほか、軽自動車初となる保温機能付きの「ホッとカップホルダー」や、運転席/助手席シートヒーター、360°スーパーUV&IRカットガラス、電動パーキングブレーキ+オートブレーキホールド機能を標準装備。
ワイヤレスでのApple CarPlay(Android AutoはUSB)接続や音声認識機能、Qi(チー)規格のワイヤレス充電機能を備えた「9インチスマホ連携ディスプレイオーディオ」をメーカーオプション設定するなど、女性ならずとも嬉しい快適装備が充実している。
一方、クルマ好きにとって重要な走りのメカニズムは、まったくの別物と言っていいほど劇的に生まれ変わった。
プラットフォームは最新世代のDNGA(Daihatsu New Global Architecture)に一新され、高張力鋼板の使用部位も拡大されたことで、車重が約50kg軽量化されている。
エンジンも最新のものにアップデートされるとともに、「初代でもユーザーからの要望が非常に多かった」とダイハツ関係者が口を揃えて強調する、ターボ仕様が初めて設定された。これは、「ターボでなければ一家に1台のクルマとしては使えないと、父親のほうから言われることがあった」(李さん)というのも、理由のひとつにあるようだ。
このターボエンジンは、高速域でベルトとスプリットギヤを併用する新世代の「D-CVT」と組み合わせられたことで、WLTC総合モード燃費は22.4km/L(FF車。4WD車は20.9km/L)を達成。NA(自然吸気)エンジン車の22.9km/L(FF車。4WD車は21.6km/L)に引けを取らない、高い省燃費性能を得ている。
その一方で、アクセルペダル踏み始めのレスポンスを改善。また、ステアリングの操舵力を、低速域では軽め、高速域では車速に応じた重さとしつつ、戻す際にもスムースになるよう、電動パワーステアリングのアシスト特性を変更している。サスペンションも「柔らかすぎず硬すぎない、酔いにくい乗り心地・操縦安定性となるよう専用チューニングを施している」(李さん)というから、走りの質感や楽しさもレベルアップしていると期待して良さそうだ。
予防安全装備が大幅に充実したのも、プラットフォームがDNGAに一新された恩恵のひとつ。最新のステレオカメラを用いた「スマートアシスト」が全車に標準装備され、昼夜とも車両と歩行者に対応する衝突被害軽減ブレーキや、ブレーキ制御付き誤発進抑制制御、車線逸脱抑制機能、標識認識機能などが実装された。
さらに、全車速追従機能付きACC(アダプティブクルーズコントロール)とLKC(レーンキープコントロール)がターボ車に標準装備、NA車の上級グレードにメーカーオプション設定。BSM(ブラインドスポットモニター)と、専用の電子カードキーによるドア解錠で急アクセル時の加速を抑制する機能が作動する「プラスサポート」が、全車にディーラーオプション設定されている。
前述のとおり、 リヤにスライドドアを備える背高軽ワゴンは初代ムーヴキャンバスがパイオニアであり、長年にわたり市場を独占してきた。しかしながら2021年9月、スズキからワゴンRスマイルが発売され、今やムーヴキャンバスの前に強力なライバルとして立ちはだかるようになっている。
そんなワゴンRスマイルに対する新型ムーヴキャンバスの強みは何なのか、李さんに聞いてみると……。
「女性ユーザーに対しこれまで以上に深くヒアリングした結果として、ホッとカップホルダーを新開発したり、電動パーキングブレーキ+オートブレーキホールド機能を設定したりしています。女性のドライバーには、たとえば有料駐車場で駐車券を取る際に発券機へ幅寄せをするのが苦手な方が多いので、そんな時にオートブレーキホールド機能があると、ブレーキペダルを踏み続けなくとも安全かつ楽に駐車券を取れるんですね。そのように、ターゲットユーザーにとって便利という観点から、ワゴンRスマイルにはない技術や装備を盛り込んでいるのは、ひとつのポイントだと思います。ですが、可愛らしいスタイルを持ったリヤスライドドアの背高軽ワゴンという市場が、お互いのふたつのモデルで大きくなってほしいというのが、とくに期待している所です」
今後は両車が競い合いながら、少しずつ着実に進化していくことを、心から期待したい。
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みんなのコメント
狭すぎず大きすぎずで丁度いいサイズ感なので
次の買い替え候補に入るかな。
毎日毎日醜いねぇ。