■「クワトロ」の走破性をアピール
スタジオジブリが手掛ける長編アニメーション映画は、独特な世界観や物語を引き立てる壮大な音楽、微細かつ精巧な作画などが人気を博し、映画史にも残る名作が数多くあります。
なかでも、実在するクルマが物語で登場する作品もあるのです。そのひとつが2001年7月に公開された「千と千尋の神隠し」です。
【画像】「えっ…!」 これが「映画に出てくるクルマ」です! 画像で見る(30枚)
同作は主人公である荻野 千尋(おぎの ちひろ)が、両親と共にクルマで引越し先へ向かう途中で道を誤り、森の中の奇妙なトンネルから人間が立ち入ってはいけない神々が住む異世界に迷い込んでしまうというストーリーです。
作品の冒頭シーンで登場するクルマは、アウディのミディアムセダン「A4」(初代・B5型)で、ボディカラーはグレー。千尋の父親の愛車という設定です。
A4はアウディで代表的な車種のひとつで、同じセグメントに属するメルセデス・ベンツ「Cクラス」やBMW「3シリーズ」の対抗馬として登場した「90」シリーズの後継車として1994年に登場しました。
エクステリアやインテリアは歴代モデルから大幅に刷新され、スポーティでかつ高級感を押し出したことから人気モデルとなり、ドイツだけでも登場から1年で12万台を販売しました。
同じフォルクスワーゲングループのセダン「パサート」と共有のプラットフォームを採用し、基本的な駆動方法はFFでしたが、アウディの4WDシステム「クワトロ」搭載車も設定。
日本仕様車のパワーユニットは、画期的な5バルブの直列4気筒エンジンと同ターボエンジン、V型6気筒エンジンを用意し、ボディは4ドアセダンに加え、ステーションワゴン「アバント」も設定されました。
このうち、作品で登場するモデルは1.8リッター4気筒ターボエンジンと5速MT、クワトロを組み合わせる「A4 1.8T クワトロ」(左ハンドル車)と見られます。
なお作品では、未舗装路の険しい山道をA4が車体を大きく揺らしながら走行するシーンが描かれ、その過激な走りに千尋は「お父さん大丈夫?」と問いかける一面もあります。
これに対し、千尋の父親は「任せとけ、このクルマは四駆だぞ」と意気揚々に語ってクワトロの走破性の高さをアピールし、アクセルをさらに踏んで進んでしまいます。
A4走行時の音は、実際にA4を用いて録音されていたという逸話もあり、エンドロールにはアウディ ジャパンのクレジット記載もあります。
千尋を乗せたA4はそのままアグレッシブに走行しますが、突如としてなぞの祠(ほこら)とトンネルが出現。
千尋の父親は、あわてて急ブレーキをかけて停車します。このときもブレーキペダルが振動するなど、ABSが動作する様子がリアルに描かれています。
なお、A4はその後トンネル手前で放置され、3人で異世界へ進入。壮大なストーリーが展開されることとなりました。
※ ※ ※
スタジオジブリの作品では、このほか「崖の上のポニョ」や「借りぐらしのアリエッティ」、「耳をすませば」など、多くの作品で実在するクルマが巧妙に描かれています。
こうした劇中車に注目してみるのも、面白いかもしれません。
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みんなのコメント
いくら四駆でも大きめの枝とかあったら走破できないし。